松の湯に集まる面々

羽弦トリス

第1話同僚とお風呂

中古車を輸出する会社に勤める西野幸太(42)は、ゴールデンウィークと言うのに働いていた。こどもの日だけは休みをもらった。

働いているのは現場だけ、総務課は何連休しているのか分からない。

腕時計の安物G-SHOCKは、11:55を表示していた。

今日の相方は、西野と同期の土田純一(42)である。

「つっちー、昼飯にしようぜ」

土田は、頷いた。

冷房が効いてる、社食で昼食を済ませると、西野は缶コーヒーを買い、喫煙所に向かった。

土田もタバコを吸いに来た。


「ねぇ、つっちー。今日は近所の松の湯に行こうよ。疲れを取りたい。そして、ビールでも、どうかな~」

土田は煙を吐きながら、

「西ちゃん、それいいね。足伸ばせる風呂にはいりたいね」

2人の家はご近所さんなのだ。

6時に仕事を済ますと、一旦、家に帰り銭湯グッズを持って、松の湯の前で西野は土田を待った。

銭湯に行く事をかみさんに言うと、またぁ~と言われた。


15分待って、土田が現れた。

「俺んちの母ちゃんとケンカした!銭湯はいいけど、飲みに行くって言ったら、はたかれた!」

「でも、飲むのが男!」

「西ちゃん、かっこいい」


2人は松の湯の暖簾のれんをくぐった。

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