最終章

僕は目を閉じた

それと同時に腹部に深い痛みを感じた

だが、それが心地よい痛みと感じてしまった


頭がふらふらしてきた

みぞおちが熱い


目を開けると案の定刺されていた

だが刺した本人は泣いていた

何故だろうと考えている暇もなく

僕は地面に倒れた












風の音がする


なんだ、まだ生きてたのか

お腹はまだ痛い

でも血は止まっていない

だが全然立てる

どうしてだろうか

それよりも


一体どのくらい時間が過ぎたのだろうか


辺りを見回すとそこは車を切られた時の

道路だった


僕はお腹を抑えながら歩いて道路の先に進んだ

とにかく進むことにした

何がなんでも、歩き続けることにした

とにかく目的を持ったからには

絶対に成し遂げたい





2日がたった

震えが止まらない

出血が少し治まったとはいえ

内蔵まで行ってるんじゃないかと思うようになった


だが道路の先に何かが立っていた


僕は目を見開く

そうあいつだ、俺を刺してきたやつだ


だんだん近づいていく


300m、、100m、、50m、、10m、、、、


そしてやっと手が届く距離まで来た


あいつは寂しそうな表情にも見えた

それに怯えている表情にも見えたが

ずっとニコニコしている


僕は切られた車から取ってきたナイフを

ポケットから、取り出した


そして僕は素早くナイフ突き出した

鈍い感触と共に

生ぬるい液体が手を伝う


この一連の動作の中で

周りがどう感じるだろうかと思う気持ちは

全くなかった

よくよく思えば今までは親や周りの機嫌を伺いながら生活してきた

自分の思った行動をすぐにできることは少なかった

だが気のせいだと思うが

この世界に来てからは

自分を主張できたような気がする


そしてナイフから手を離すと

あいつは道路に倒れた

そしてゲームのように

ちりみたいに消えていった


それと同時に手紙があいつが倒れた場所にあった

僕は一瞬読もうか迷ったが

読みたい気持ちが勝ったので読むことにした


宛先 本当の君へ


やぁ、俺だよ

そう君の気持ちの一部さ

びっくりしてると思うが

察してくれ

ただ気持ちが僕となって現れただけさ

それはさておき

実はおれは最初から同じマンションの屋上にいたのさ

なんだろうとおもったが

君がすぐそばにいたから

あれ。おかしいと思ったよ

鏡とかでよく見る君の姿がね。

もちろん戻ろうとしたさ

でも戻れなかった

そしたら君が起きたから僕は隠れたけど

ポケットに紙が入ってたのさ


君は自分を抑えている感情


それだけしか書かれていなかったが

僕は直感的に気持ちの一部だと思ったわけさ

君も思う節があったんじゃないかな?

マンションで起きてから

すごく大胆なことをするようになったよね

血の跡もついて行ったり、市役所に入ったり

お店で盗みもしちゃったりして。

それが君の本当の姿だと思ったのさ

君は自分の思うことをした方が

楽しそうだと思った

だから僕は君を邪魔していると思った

だから、僕が殺されればいいと思ったんだ

もちろんひとりで死のうとしたが

いくら自分を刺してもすぐ傷が治っちゃうんだもん

だから僕はわざとおびきださせるために地図に嘘の街を書き足したのさBlueSkyってね

車を切ったのだって、車のエンジンを壊したのも全部僕がやった

そして刺したのもだよ

君の性格上絶対許さねえってなるのは

分かってたし、避けないことを知ってた

だから刺した

そして刺されるのを待っていた

まあ多分この手紙を見ているということは

僕は死んでるよね

てか死んでろって願うよ


まあ死んでる前提で話すけど

これからどうするかっていう話だけど

これから歩いても何も無いし、そもそもここは君の心の中なわけさ

だから、君の心の中を彩ろうよ

もう君を邪魔するものは

無いんだから


まあそれも君次第だけどね

元いたマンションの屋上に出口がある

君はまた来るかもしれないけど、

次来る時は活気がある街にしてくれよ?

家族や友達、自分と向き合ってくれ

他人の機嫌を伺うのもいいが

自分の気持ちも大事にしろよな

それに早く空を見せてくれ

あの空の雲の上は愛情の空って言うらしい

だから、家族や自分を愛してあげてくれ

頼んだぞ?


僕は涙が止まらなかった

自分の気持ちに素直になることが大事だということ、そして、家族や自分を愛することも。

だんだんと雨が降ってきた

だがあの鬱陶しい雨ではなく

爽やかな雨だった


僕は無我夢中であのマンションに戻った

トンネルをくぐって、山を登って、

車に乗ったり、そして

あの手紙の通りEXITと書かれた白の扉が

あった。

よく周りを見てみると、少し空が晴れていて

虹がかかっていた。それに刺された場所も

痛みが少し引いた気がする

ぼくはやることを決めて扉の中へ入った













ピッピッピッピッ

何音がする

目を開けるとそこは病院だった

するとすぐに両親が抱きしめてきた


ごめんね、何も気づいてあげられなくて

私たちの理想を突きつけてしまって、、、、


母は泣いていた

父は普段は泣かない人だが

目にはうっすらと涙のあとが

光って見えた


お母さんお父さんごめんなさい、、

こんなことをしちゃって、、

今なら言えるけど

手をかけてくれてありがとう

ちゃんと自分のことを説明したり

すれば良かったんだ


その後僕は退院して、もうすこし家族を

そして自分も愛そうと思ったし友達とも上手くいくように願いながら生きていこうと思う


そしていつか自分の心の中の街が

人や思い出が多くあり、そして空が

晴れていてアイツにも喜ばれるような街に

していこうと誓うよ



終わり

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独りの世界 ゆーT @k_yuut

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