第18話 マリアの超能力が明かされた。

「他に何かご質問がありますか。私が分かる範囲なら説明致します」

「東野さんは、いつでもアルタイル星人と交信出来るのですか」

「いつでもではありませんが、私がまたはアルタイル星人が交信したい時は互いに信号を送ります」

「信号といいますと、交信出来る方法はそのコミポートとか言う機械ですか」

「会話というか音声というかその辺はコミポートを使いますが、まず用事がある時はテレパシーと言うか私の脳波から信号を送ります」

 すると全員が驚いた。機械じゃなく脳波だと言う。みんなは薄笑いを浮かべた。いくらアルタイル星人の使者と言っても信じられない。マリアも分かっていた。しかしなんと答えれば良いのだろう。説明して分からないだろう。もう話しても無駄と思い終わることにした。

「以上、私の説明は終わりです。どうぞその鉱石を日本の為、人類の為に役立てて下さい」


 二つの石は文部科学省の関係者に渡された。

 すると一人のスタッフがマリアに質問した。というより興味本位なのかも知れない。何故か疑わしい眼つきだ。こんな小娘が宇宙人の使者というのが気に入らないのだろう。

「あの~東野さんと申しましたか。特殊能力の持ち主だと伺いましたがどのような能力をお持ちなのでしょう。出来れば披露して頂けますでしょうか」

 マリアはその男をギロリと睨む。先程までの穏やかな雰囲気で話していた表情が一変する。あの瞳に下にあるホクロのような物が光った感じがした。

 「そんなに特殊能力に興味がありますか? 特殊能力は見せ物じゃありませんよ。興味本位な考えならお止め下さい」

 その男は尚も挑発的な行動に出た。ニヤニヤしながら更に続ける。同僚は失礼だぞ。止せと小声で言っているが聞く耳を持たない。

 「やはりな。今どき超能力なんてマジックか漫画の世界でしかない。出来ないなら超能力なんて言わない方がいいよ。人に笑われるよ」

 挑発されている。もはやマリアは我慢の限界に来た。やはり宇宙人の使者と言うのは信じられないだろう。それでは私の役目は疑われる。こう小馬鹿にする奴は許せない。マリアはその男の前に立った。名札には秋口義弘と書かれてある。マリアの眼が青白く光ったような気がするが、それに気づいたのは正面にいる秋口だけ。その秋口が何を思ったか部屋から出て行った数分すると何故か珈琲を持って来てマリアの所に置いた。次に何を思ったかハンカチを取り出しマリアの靴を磨き出した。周りは何が起きたのか、先ほどまで挑発的な態度が消え、マリアに操られているかのようだ。


 周りはざわついた。秋口はマリアに心を支配されと思った。さきほどの挑発的な態度から一変、

それで終わればたいした事なく終わるのだが、マリアの手がスーと上に挙げられた。それと同時に秋口の身体が少しずつ浮き上がる。周りが騒めき出した。秋口の身体は更に上がり始める。そして何故か会議室の窓ガラスが勝手に開きその外から風が入って来た。すると秋口の身体が窓に向かって泳ぐように頭から突っ込んで行った。そのまま秋口は窓から飛びして行った。周りが一斉に止めろと悲鳴をあげる。マリアは何も言わず両手を交差させた。すると窓に飛び出したはずの秋口が空中で浮いている。周りはまた騒めきマリアと秋口を見比べた。しばらくしてマリアは手を払った。すると秋口がフワフワと会議室に戻って来た。

 「御免なさいね。本当は見せ物じゃないかと言って置きながら使ってしまいしまた。秋口さんが珈琲を運ばせたのは私、そして宙に浮かせたのも私。窓を開けたのも私。では最後にもうひとつお見せしましょう。みなさんのスマホを出してください」

 それぞれスマホを取り出して画面を見た。何も操作して居ないのに画面にマリアの顔が出て来た。そしてこう語りかける。

 

つづく

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