第17話 アルタイル星人の使者マリア
マリアは金属の箱から二個の石を取り出した。見た目はなんの変哲がないようだ。
「この赤みがかった鉱石はエネルギーを半永久的に産み出すそうです。因みにこれ一個で原子力発電所と同等のエネルギーがあるそうです。次に青みがかった鉱石はバクテリアを破壊する強烈な光が一点を攻撃し死滅されるものだそうです。もちろん癌も破壊出来るそうです」
「なっなんだって原子力発電同等のエネルギーしかも永久にとは? 私は素人なので分からないが科学者に見て貰おう。そしてこの青みがかった石が癌を死滅させるというのかね。信じられん。これも医学博士に見て貰う必要がある」
「そうしてください。因みにこの鉱石は地球にある三つの鉱石を組み合わせる事により同じような鉱石を作り出せるとか。その仕組みは分かりませんが詳しくはアルタイル星人に聞いて下さい。この石が日本の為、世界いや人類に役立ちものである事を祈ります。さてこんな若い娘がアルタイル星人の使者と信じがたいでしょうが私は何故かアルタイル星人に気に入られたようです。特殊能力かどうか分かりませんが私はアルタイル星人と接触してから気が付かぬうちに何らかの能力が備わったようです。この小さなパソコンのような物をご覧ください。まずこれは私しか操作出来ない構造になっており、如何にアルタイル星人の知能が高いからこれを見ると分かります。因みに私はこの機械をコミポートと名付けました」
確かにアルタイル星人もコミポートと名付けたと聞いていた。間違いなく彼女は指名された女性である事が証明された。
マリアはそのコミポートを取り出した。確かにパソコンに似ている。十インチほどの画面はあるがキーボードもマウスもない。更に電源コードもない。全員が中央のテーブルに置かれたコミポートを喰い入るように見つめた。マリアはその画面に手を宛がう。すると画面が放射線の輪が浮かび文字と絵のようものが空中に浮かび上がった。
『我々はアルタイル星人である。地球の諸君、例の石を受け取って頂いただろうか。きっと地球に役立ちと信じている。友好を結ぶと言っても我々は地球に降り立ち事が出来ない。その理由は御存じだろう。また人類もまた我々の星まで到達する技術もない。よって当面はこのような通信のみで友好を保ちたい。いずれ我々が地球の細菌に耐えられる体力を得たら、また人類がアルタイル星まで来られる技術が出来る事を祈る。当面はマリア嬢を通して良き関係を結びたい』
全員が読み終えるとマリアは画面の手を払った。するとみんなが溜め息をついた。
「まさしくこの機械も我々にない技術だ。だが不思議なのはなぜアルタイル星人は姿を見せないか」
「それはアルタイル星人に本来形はないのです。一言で云えば粒子の集合体だと彼らは言っています。人間の姿一人を作りあげるにしても大変な数の粒子が必要なのです。では何故物体のないのに人間の姿や色んな物体に形を変える事が出来るのか、また宇宙船を作る事が出来るのかという疑問が浮かぶと思います。そこでベガ星の存在があります。ベガは織姫、アルタイルは彦星。七夕での物語のような関係にありベガは物を作る体力を持っているが知力がない。そこでアルタイル星人は知力を使ってベガ星人に物を作らせ、その代わりアルタイル星人は知識を与える。二つの星が協力する事により発展しているのです」
「ほうでは七夕の物語はただのお伽噺ではなく既にそんな関係があったのか」
つづく
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