第8話 マリア アルタイル星人と交信
すると宇宙の彼方から一筋の光がマリアに向かって伸びて来た。マリアはその光に無意識に反応した。その光が自分の脳に何かを働きかけている。それに応えるようにマリアもまた無意識に応答したのだ。その方向はアルタイル星という星だと思われる。どうやらマリアはアルタイル星と交信出来る機能が脳に植え付けられているようだ。その証拠にマリアは眼から光りを放つ事が出来る。それは人には見えない光の交信であった。マリアその交信で自分の出生の秘密と父が宇宙人、アルタイル星人である事を知った。
「君が我々に光線を送ったのだね。我々は地球で言われる夏の大三角形にあるアルタイル星の者である。信号キャッチをありがとう。日本では七夕と呼ばれ、その彦星(アルタイル星)が我々の住む星なのだ。君の父ドリューンが地球に送り込まれたが、細菌に感染したが奇跡的にも君の母、佐希子に救われた。ただドリューンはもう普通の人間になった。君も薄々感じていたであろう。だからこの交信も驚いた風に見えないのも、その為だ」
「……まさか私を貴方たちの星へ連れて行くと言うんじゃないでしょうね?」
「それは無い。アルタイル星は細胞生物バクテリアでしか生存出来ない。超微生物の集合体で知能を得た。では何故、宇宙船を製造出来たかは、やはり七夕で知られる織姫、ことベガ星とは友好関係にある。そのベガ星に依頼し作られた物である。優れた知能を持ったアルタイル星と物を作れるベガ星人と、我々はそうして協力し合い共存共栄しているのだ」
「難しくてよく分らないけど、私とコンタクトを取ったからには、目的があるのでしょう」
「その通りだ。マリアに頼みある。聞いて欲しい」
「一応、聞くだけは聞くけど条件があるわ。地球や私達家族に害にならないのなら」
「それは絶対にない。我々が地球に興味を持ったのは優れた知能と恵まれた身体だ。我々は知能があって物を作る事が出来ない。だからベガ星人と協力し合って生きているのだ。その両方を持つ合わせた人間が羨ましい。出来れば地球とアルタイル星の血を引く二世である君を通して地球の事をもっと知りたい」
「確かにアルタイル星人は知能が優れているようね。でないと十六光年もある地球に来る宇宙船に乗ってくるのだから」
「それはありがとう。我々の星は地球のような綺麗な星ではないが太陽の三倍以上もある巨大な星だ。だから資源はあるが物を作る身体がないのだ。だから我が星の建造物は全てベガ星人が作るのだ。逆にベガ星人は知能が低いが物を作る体力を持っている。互いに協力して生きるしかない不思議な関係にある」
「地球を知ってどうするの? まさか地球征服なんて事はないでしょうね」
「まさか我々は友好関係を結びたいだけだ」
「友好関係と言ってもどうして交流するというの。貴方がたが地球に来て誰と会うの」
「いや我々は地球には行けない。地球には我々に有害な細菌が渦巻いているその内のひとつが風邪という恐ろしい細菌だ」
「えっ風邪が恐ろしい細菌なの」
「そうだ君は笑うかも知れないが我々には脅威だ。だから君を通して地球を知りたい。そのお礼として君に贈り物をする」
「贈り物と言ってもどうやって届けるつもり?」
「宇宙船を使って届けることが出来る。大気圏を抜けたら小型無人船から地球の大気圏でカプセルを放出する。それを君が受け取ってくれ。地球に役立ちはずだ」
「それでは私に要求する事はなに? その前に宇宙船で地球まで何年、何百年? 確か十六光年よね。宅急便じゃないんだから」
つづく
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