第7話  第二章 宇宙人二世マリア誕生

 やがて二人の間に女の子が生まれた。二人は真理亜(マリア)と名づけた。聖母マリアのご加護かありますようにと名付けた。

 だが母の佐希子は内心穏やかではなかった。なにせドリューンは宇宙人なのだ。その宇宙人との間に生まれた子供だ。いつ細かい粒子となって消えるかも知れないと思った。だが父のドリューンはマリアが生まれてから驚くほどマリアの愛情を注ぎ可愛がった。宇宙人でもやはり我が子は可愛いいのだろう。

 ただマリアには不思議な物がいくつかあった。瞳は日本人と同じ黒だが瞳の下に小さな黒子のような物がある。しかも両目にあるが普段は分からないが怒った時だけ現われた。更に人さ指と中指の付け根にも小さな穴のような物がある。場所が場所だけに両親しか知らない。まだ小さいのでそれだけだったが後に、これが人間にない能力を発揮する事になる。


 ドリューンはまったく普通の人間として働き、ただのイタリア人になりきった。やがて何事もなく月日が過ぎて、マリアが大学生になった二千年五十一年七月七日の事であった。そうドリューンと佐希子が会った記念すべき日にあたる。

 マリアもまた、一人で大学の夏休みを利用して八ケ岳の高原に立っている時の事だ。マリアの眼が青白く輝き、星にでも届くような強烈な光を放ったのだった。

 やはり宇宙人二世は特殊な物を身に付けている事が判明された。だがマリアは父が宇宙人だとも両親からは知らされていなかった。しかし己の体が普通の人間と違う事を感じ始めていたマリアは自分の秘められた能力を試していたのだった。この後マリアの運命はどう変わって行くのか? 

 マリアの放った光線は一直線に伸びて行き、宇宙の彼方にある夏の大三角形にあるアルタイル星まで届いた。アルタイル星は恒星で主に水素、ヘリウムの核融合エネルギーにより自ら輝く天体である。アルタイル星は別名(彦星)とも呼ばれている。父と母が遭遇したのが七月七日であるが、マリアが生まれたのも七月七日である。マリアは自分とその七月七日が何か関係あるのではないかと感じていた。マリアが眼から光を放ったのは今日が初めてではない。やはり昨年の同じ今日七月七日の事だった。

 現在、両親の東野佐希子と東野ドリューンは東京奥多摩の奥深い所に住んでいる。


 マリアの祖父と祖母はマリアの母佐希子が結婚し間もなく役所を辞め民宿を営んでいた。祖父母の手伝いをして民宿を盛り上げて居たがマリアが中学生になった頃、祖父と祖母は他界し今では父母が祖父母の後を継いで民宿を継いで三人で暮らしている。東京と言えば都会というイメージが濃い。だがここは想像もつかない田舎で周りは山に囲まれた谷の麓にある集落みたいな場所である。マリアは山が好きだ。景色を眺め珍しい草花を探すなど年に五度来ている。今日は八ヶ岳連峰の蓼科山の頂上付近に登り星を眺める事も多かった。今日もまた蓼科山の山頂付近に来ている。


 つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る