第5話 宇宙人は眠らない

 佐希子は頭を抱えた。やはり人間の姿をしていても人間を理解させるのは難しいのか。なんとかして特殊能力を消せないだろうか。この調子なら家に居ながらなんでも手に入れてしまうだろう。金が必要と言ったら、あの不思議な機械で好きなだけ取り出しかもしれない。

「あのね。ドリューン人間として生きて行くなら、その機械を処分して。そうしないと私は貴方を面倒見切れない。私は帰るわ。あとは一人で生きて行きなさい」

「佐希子そんなに怒るなよ。人間になる為に学習しなくてはならない。その為にこの機械は必要なんだよ」

「それならその機械で人間社会を勉強して。一週間だけ待ってやる。その間に全てを吸収して宇宙人なのだから一週間あれば充分でしょう。それでパソコンの操作も学んで出来るようになったら次からパソコンを使って、そしてその機械は処分して便利過ぎると努力をしなくなるから」


 佐希子の凄い剣幕にドリューンはシュンとなった。以外と素直で可愛いところがある。

「分った。一週間でマスターするよ。その後はこの機械を処分する」

「約束よ。破ったらもう面倒見ないからね」

 納得した佐希子は機械から取り出した料理を摘まんでみた。普通の料理だ。何処かのレストランから出来た物を電送したのだろうか。理解出来ないが捨てる訳にも行かず二人で食べ捲った。残った物は冷蔵庫に入れ、佐希子はワインを持って来た。

「それは何、食べ物にしては液体のようだが」

「人間は飲み物も必要なの。これはワイン。アルコールが入っているの。ドリューンは馴れてから飲ませてあげる」

「ふ~ん人間って面白い生物だね。私も早く本当の人間になれるように努力するよ」

「そうして、じゃあ今日は色々あったから疲れた。寝ましょう。と言ってもドリューンは寝る事が出来るの。ベッドで寝るのよ」

「私は寝る事は知らない。だから立ったままでいい」


「立ったまま? ああ疲れる。人間は睡眠が必要なの。寝るとは横になって目と閉じて寝るの。ドリューンが立ったままで居たら私が落ち着いて眠れないわよ」

 それから三日が過ぎた。その間ドリューンは不思議な機械で地球や人間の事を学んでいるようだ。人間なら三年は掛かる事をたった三日間で学んだ。その証拠に料理を作るようになり掃除も始めた。恐ろしいほどの吸収力だ。それから更に二日が過ぎ休暇は無くなった。仕方なく体調壊したと三日間有給休暇を使わせて貰った。取り敢えずドリューンを車に乗せ家に帰る事した。



つづく

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