ラブコメ×恋人ルート 他心通
突然彼女の持っている札が青い光を発した。
これは……。
神通力が発現するときの光か。
「……他心通」
「よかった。神通力を修得したのね」
「他心通は他者の心を読む力」
他者の心を読む力。
だとすると、今この力を修得したということは。
「私の心を読みたいんだよね」
「いいよ。読んで」
「ごめんね。言葉で伝えられなくて」
「素直になれなくて」
「さあ、その他心通を私に使って」
他心通を使えば、彼女の心を知ることができる。
でも、本当にいいのか。
彼女には言えないことや秘密にしたいことがあるのだ。
そんな彼女の心を読むことは彼女を傷つけることになってしまわないか。
僕は――
他心通を使う
→ 他心通を使わない ←
僕は他心通を使わなかった。
心を読むことで彼女を傷つけてしまうかもしれないと思ったからだ。
心なんて読まなくても、相手の気持ちを知ることはできる。
「……」
「……」
「……なんで」
「なんで、心を読んでくれないの」
彼女はまたポロポロと涙をこぼす。
「せっかく修得した神通力なんだよ」
「使わなきゃもったいないよ」
「無駄になっちゃう」
「私の気持ちを知りたくないの?」
「私がどれだけあなたが好きか」
「私が……」
「私がついた嘘のことを……」
涙を拭いて、表情を戻す。
「ううん、違うよね」
「あなたは恐れているだけ」
「力を使うことを」
「私の心を知ることを」
「私を傷つけてしまうことを」
僕は――
僕は恐れていたのか。
「でもね」
「私はあなたに知ってもらいたいの」
「私の心」
「私の嘘」
「私の本当の気持ち」
「だから、もう一回お願いするわ」
「他心通を使って」
「私の心を知って」
……
僕は他心通を使って彼女の心を読んだ。
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