ラブコメ×恋人ルート ショッピングモール

僕たちはGyutto Partyのショッピングモールについた。

とはいえ、僕は何か買いたいものがあるわけではない。

何か欲しいものがあるかと聞いた。

「服!私は服が見たい!」

彼女は高らかと宣言する。

服か。

女性の服なんて、なんのアドバイスもできないけど。

それでも付き合ってあげるか。


一通りの店をぐるりと回ってしまった。

あれこれとアパレルショップに入ったが、どこにも気に入るものはなかったらしい。

「なんで!?なんで白衣は売ってないの?」

どうやら白衣を探していたようだ。

たしかに白衣はなかなか売ってないだろう。

そういえば気になっていることがある。


       → なんで白衣を着ているんだ ←


「そりゃ人間界に降り立つんだもの。多少威厳のある格好しなきゃいけないでしょ」

「神事に仕える女の子は白衣を着るって聞いたわ」

「だったら私も着るべきでしょって思って」


       → そんなことはない ←


白衣を着るのは神事に仕える人ではなく、科学者や医者だと伝えた。

「そんなはずないわ。私、人間界のことは調べたもの」

どこから手に入れた知識なんだろうか。


「他にどこか行きたいところはないの?」

彼女が僕に問いかけてくる。

そういえば、この前本を一冊読み終えていたことを思い出した。

新しい本を見に行きたいと僕は言った。

「本屋ね。了解」


「本はいいな」

「古から、人にものを伝えるときは本に記されてきたでしょ」

「それはインターネットが普及した今でも変わらない」


      → 本に詳しいのか ←


「そりゃあ下界はずっと見てきたからな」

「いつの時代も本は書かれていたし読まれていた」

「ところで今日はどの本を買いに来たの」


      → いや、どんな本があるか見に来ただけだ ←


「そう」

「それなら私は少し、立ち読みしてていい?」

そう言って、彼女は参考書コーナーのほうへと言ってしまった。


最近はミステリでもいろいろなジャンルがあるんだな。

タイムリープしたりゾンビが生まれたりなんてのもあるのか。

ミステリ小説のコーナーをぶらぶらと見ていた時――

「ねえ、見て」

彼女は一冊の本を広げて、僕の前に見せてきた。

「やっぱり私の知識は間違っていなかったでしょ」

その本には巫女装束について書かれていた

『巫女の服は、上に白衣、下に緋袴を着用し――』

「やっぱり神に仕えるものは白衣を着ているじゃない」

これは――

多分訂正したほうがいいのだろう。

僕は彼女に向っていった。

これは白衣(はくい)ではなく白衣(はくえ)だと。


「私が着ていた服は間違っていたのですね」

「恥ずかしいです」

彼女は頬を赤らめて言う。

こんな時、何て声をかけてあげたらいいだろう。


      他の服に着替えてみたらどうだ

      → その白衣も似合っているよ ←


白衣も似合っているよと褒めてあげた。

「そう言ってれて嬉しい」

「そうだね。神の服とかあんまり気にしないほうがいいよね」

「楽しかったね。今日は帰りましょ」

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