ラブコメ×恋人ルート 中間イベント
森の中で彼女と出会ってから数日が経った。
いろいろ出かけてはいるが、特に変わったことなど起きない。
――というよりも。
こんなことを繰り返していて、神通力に目覚めることなどあり得るのだろうか。
もっと修行などをする必要があるのではないか。
コン、コン、コン。
家の戸が叩かれる音がする。
「おはようございます」
戸の外には彼女が立っていた。
白衣に黒髪、凛とした目元、いつもと変わらない彼女だ。
少々奇抜ではあるが、そのかわいらしさに見とれてしまうときが何度もある。
そんな彼女が僕に好意を持ってくれている。
とても嬉しい事実だ。
だが、このままでいいのだろうか。
今日は、一度僕たちの状況について整理したほうがいいと思えた。
「今日はどこに遊びに行こうか」
適当にぶらつこう
→ 僕の部屋に来るか? ←
「へ、部屋に!?」
彼女は驚いたように声をあげる。
顔を赤らめて、モジモジとしている。
「先に聞くけど、なにをするつもりだ」
→ 僕たちの関係を確かめたい ←
「ええ!?」
「ま、まだ、そういう関係は早いんじゃないかな」
「確かに、私はあなたのことは好きだけど……」
「心は屈しても、体は屈したくない、というか……」
なにやら妙なことになってしまった。
僕は部屋で話すことをあきらめて、適当にぶらつくことにした。
南北に流れる川沿いをまっすぐと歩く。
おしゃれな店なども並んでいるが、特にどこにも入るつもりはない。
要するに、僕たちは当てもなくブラブラと散歩していた。
「神通力を修得する方法?」
「人間が神通力を修得する方法は難しいとは聞きますが」
→ 厳しい修業が必要なのか? ←
「いえ、修行というよりは」
「信じることと願うことが大事と言われています」
→ 信じること? ←
願うこと?
「多くの人は神通力の存在すら知ることもありません」
「見たこともない力ですからね」
「神通力を使うためには、神通力を知り、神の力を崇め、信じることが大事と言われています」
「つまり、あなたが神足通を使えるのは、私たち神を崇めてくれているってわけね」
→ 願うこと? ←
「神通力を使いたいと強く思うことですね」
「でも、念じれば使えるようになるわけではなくて」
「どうしても使わなきゃいけない場面に立たされて使えるようになるわけね」
神通力の習得の仕方を聞いたが……。
→ この世界で神通力を手に入れるのは難しいんじゃないか ←
「たしかにそうかもね」
「神通力を使わなきゃいけない窮地に立たされるなんて思えないし」
→ だったら別の世界に変えたほうがいいのでは ←
「……」
「……」
「……もう少しだけ」
「もう少しだけ、この世界で過ごしませんか」
「まだ、なにか起きるかもしれないし」
「……ダメ、ですか?」
→ わかった ←
ダメだ
「……ありがとうございます」
そう言って、彼女は静かに涙を流した。
「ああ、ごめんなさい。気にしないで」
彼女は顔を見せないように涙を拭く。
「なんか妙な空気になっちゃったね」
「今日は帰ろうか」
そう言って、僕たちは帰路についた。
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