襲来、何某か。


「福音ー」


「なんですか瑠莉奈さんー」


「暇なら公園に行こうぜー」


「いいですねー」


特にない日。硝子と出会ってから大体五日位経ったんだろうか。ここ数日、特に何もない日が過ぎていた。盾我は今日も地下にこもって剣を作っているし、ラスは学校に行くことになったので家にいない。


「暇だなー」


「ですねー」


という訳でやる事もなく外に出て、暇をつぶしているという訳である。


「太陽温かいですねー」


「だなー」


特に何も考えていない。ただ暇だから適当言っているだけである。


「瑠莉奈さんー」


「なんだ福音ー」


「膝枕してくださーい」


「あー。いいぞー」


そう言うと福音が寝ころんでくる。考えてみれば、最近は福音の警備で忙しかったから、全然一緒にいれなかったなぁ。大体外で見張ってたからな。


「瑠莉奈さんの足、気持ちいですー」


「そうかー。平和だなー」


「えへへー」


しかし何か奇妙な視線を感じる。いったい何の視線だこれは?警戒はしておくべきだな。


「動くなよ」


「……誰だ?」


「誰じゃねぇんだよ、お前脳天に銃突きつけられてる事実が呑み込めねぇのか?」


「うるせぇよ」


どうやら後ろに敵がいるらしい。福音はまだ気付いていない。なので頭部から棘を生成!その後枷を作りまして。


「ってぇあっ」


「ん?何かありました?」


「何も無いぞー。気にするなー」


「はーい……」


さて、睡眠薬を生成し福音を眠らせた。こっからはちょっと見せられないからね。そもそもどこの組織に属してるかとかは聞いておくべきだろうし。その為にわざわざ殺傷性の低い武器で攻撃したんだからな?


「さてと」


「おいおい聞いてねぇよこんなにヤバい能力だって!」


「と言う事は、お前には雇い主がいると」


「アッ」


こんな目立つ場所で尋問は目立つな。家に連れ帰って盾我とやるか。


「こんにちわぁーっ!」


「うるせぇ!」


ってか誰だよ!?このラバースーツ着てる変人はよぉ!?うーわ無駄に乳首が出てるキモッ!福音を眠らせててよかったマジで!


「どもども。俺の名前は『ラバス』!お嬢さんを攫いに来たのよ?」


「あ?」


「反抗しないならもってっちゃうよぉ!」


うおっ、こっちに来るんじゃねぇよ!


「お前福音に触れたら殺すからな!」


「フーン!それがどうしたこのまま攫って行くからな!」


なっなんだ!?ラバースーツを飛ばしてきたぞ!汚い!キモイ!汚らわしい!


「そんなに欲しいならくれてやるよ!」


「おっサンキュー!じゃねんねん」


「ふぅ、何も情報が得られないのはアレだが、助かった」


咄嗟に持ってたあのよく分からん奴を投げつけてやったが、案外うまくいってしまった。どうするんだよこれ。相手側の人間を相手に帰しただけだぞこれ。なんの意味もない戦いだったぞ。


「ん-……うえぇ……?」


「おっ起きたか福音」


「ぴゃっ!?ね、寝ちゃいました?!」


「あぁ。まぁ気にするなよ」


「いえその!そうじゃなくてですね!」


「なんだ?」


そう言えば、いわゆるお姫様抱っこという奴をしているが、案外持ちやすい事に気が付いたぞ。気を失ってる相手ならこれが一番持ちやすいな。


「降ろしてもいいのか?」


「いえ……。このままで」


「ご了解」


それじゃこのまま家まで送りますかね。俺もこの体制のままの方がいいしな。


さてと。ようやく福音が寝たぜ。んじゃ安達太良と合流してだな。


「さてと。福音はもう寝たな」


「安達太良、何の用だ?」


「あぁ、福音が襲われた」


「なんだって」


「しかも二人」


と言ってももう一人の方は死んでそうだけどな。そう言えば最近デカい犯罪組織が崩壊したとか言っていたが……。何か関係があるのだろうか?


「マジか。これは厄介なことになったな。で、一応剣は出来た。……どうする?」


「明日、奴らのいる場所へ乗り込む」


「了解」


ホント盾我は話が早くて助かるよ。じゃ、福音が起きてくる前にさっさとぶっ潰しに行きますかね。


「という訳で出発だ」


「あぁ。剣も出来上がったしな」


あいつのいる場所?俺シレっとあのラバスとか言う変態に、GPS付けちゃったんだよね。という訳でその場所に向かえば問題ないという訳だ!ここからそう遠くはない場所にあるから、特に問題は無いだろうけど。


「あー。ここなのか?」


「あぁ。そのようだが……。どう見てもアレだな、単なるビルでしかないな」


「まぁいい、とにかく行くぞ」


乗り込んでも特に何も反応が無い。ホントにただのビルなのかよ。まぁいいやとりあえず盾我にこれを渡しておこう。


「おいこれはなんだ」


「トランシーバーだ、何かあったら連絡寄越せ。いいか?とりあえず上の階と下の階がある、二手に分かれるぞ」


「成程了解。俺は下に行く」


「なら上だな。硝子がいたら言えよ、お前でも倒せるだろうが面倒ってもういねぇじゃねぇか!?」


クソッ人の話は最後まで聞きやがれってんだ!ま、そのくらいは想定内。俺が倒すべきは硝子だが、最終的に誰が倒そうが知った事じゃねぇんだ。


「待ってろよ硝子」


上にいればいいんだけど。

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殺戮兵器としてメチャクチャ恐れられていた俺、クソザコナメクジなお嬢様の護衛になる~多分コレは恋の物語~ 常闇の霊夜 @kakinatireiya

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