もしかしてこれって……デート!?


プナが警察に自首してはや3日。福音の家に新しい家族であるラスがやってきた。初めは緊張していたようだが、今ではすっかり打ち解けている。


さて今はと言うと、俺はなぜか福音と共に買い物に来ている。うん、ラスの服を買いに来たついでに、福音と俺の服も買いに来ているという訳だ。


「それで福音。どんな服が好みなんだ?」


「えっとですね、こういう無地の服が好きです!」


確かに白一色は似合いそうだなぁ。清楚の極みって感じで可愛いね。ところで福音金持ってんだっけ?基本的に福音が財布持つことないし、と言うかあのジジイ、俺に使えって渡してきたしな財布。


「……財布の中にカード一枚しか入ってねぇ……」


何このクッソ黒いカード。上限も使用期限も書いてないんだけど何これ?こんな物が存在していいのか?これはいわゆるブラックカードという奴では……?


「それを出すと服を売ってくれますよ!」


「あぁそう言う認識なんだね……」


福音はそんなにわかってないみたいだ。いやそりゃそうか。それより福音の服どうするかな。ラスのはもう買ったからあとは福音の服だけ。


「何がいい?」


「これがいいです!」


うーん真っ白な服。基本的に福音が着てる服って、上着みたいに羽織る感じのが大半だからいいんだけど。いわゆる十二単って奴?いや凄い薄いから福音でも着れるんだけど。


ちなみに、外に行く時に着る服は一枚上に羽織るだけ。荷物は俺が持つから特に気にしなくていい。


「んじゃこれ買うぞ」


「はい!」


さて服は買ったし、これからどうするかねぇ……ってお?どうした福音、人の服を掴んで。


「どこかに行きたいのか?」


「は、はい!上の階で何かやってるみたいです!」


上ねぇ。ま、いいか。誰が攫いに来ようがボコボコにするだけの話だ。にしても上に何があるんだか。


「占いフェス?」


「面白そうですね!」


本当にそうか?いや凄いウキウキしてるな福音。占いとか好きなの?


「で、どんな占いをするんだ?」


「どうしましょうか?」


「はー、じゃ適当に行ったところでいいか」


「そうしましょう!」


さーて。どうするかなぁ。と、おっと。福音はここがいいらしい。


「それでここはなんだ?」


「ここは恋占いブースだぜ!君らはカップルかな?」


「い、いえ!そう言う訳では……」


うーん、そう否定されるとちょっとなんか嫌だな。そう言う訳じゃ無いけど。別にカップルじゃないけど。だけど。


「ま、別にカップルじゃなくてもいいんっすけど?でもここ恋愛系のブースなんで恋愛でいいっすよね?」


「ん-適当!まぁ別にいいよそれで!」


で何するんだお前。水晶玉を取り出したぞ。それで何か見るのか?


「でぇい!」


「いやでぇいじゃねぇ!なんで割るんだ水晶玉!?」


「この占いは壊した水晶玉の破片で占うんでっしゃる」


「そんなのある?」


「この世界にはコーヒーを飲んだ後で占う物があります!」


へー、そんなのあるんだ。俺占いとか全然気にしてないけど。と言うかどういう調べ方をするの?こんなので。


「出ました!」


「出たのか」「はい」


「出たんですか」「はい」


具体的にどういう結果が出たんだ?よく分かんないんだけど?


「あー……ビックリするくらい相性ピッタリだ。この結果になるの珍しいっすね」


「分かんないんですけどぉ?」


「まぁ言っても分かんないと思うんですけど。この破片がテーブルに残ってると相性がいいんです」


「へー」


知らねぇよ。どうすんだよこの空気。マジで。福音が完全に何も言わなくなっちゃったよ。さっきから下向いちゃってるよ。


「他も行ってみるか?」


「は、はい!」


行くのか……。既に変人に絡まれて面倒な事になってんのに……。けど福音が行くと言うなら俺は構わん。よし行くぞ!


「ここは何の占いなんだ?」


「ここですか?普通の占いですけど」


「……何の?」


「普通です」


そもそも普通の占いってなんだよ?そこから教えてくれよ。何なんだよ占いって。頭がおかしくなりそうだ。


「じゃ福音を占って」


「では。こちらの羅針盤の針に触れてください」


「なんだこれ」


あっ、結構普通に触るんですね福音。大丈夫か?毒とか塗られてないか?大丈夫そうだな。


「短針が南南西、長針が五時の方向……出ました。あなたはおおよそ一か月程後、厄災に襲われます」


「……どういう厄災ですか?」


「それは分かりません」


やっぱ噓くさいなこいつ。ボコボコにしてやろうかな。金とるのかこんなんで。


「じゃ俺はどうなんだよ」


「触っていただかない事にはわかりません」


「はいはいそうですか」


……なんかどっちも俺の方向いたんだけど。なんで?いや何かいるのか?って誰かいる。お前誰だ……ってお前硝子か!?


硝子ガラスか!?なんだお前来てたのか!?」


「久しぶりだな、瑠莉奈。なぜこんなふざけた場所にいるのかははなはだ疑問だが。いやしかし、ここで殺しあうのは止めておこう」


「ねぇ主語抜けてない?」


コイツ基本的に主語消える喋り方するからなぁ。こいつと話してると読解力が上がっていくような気がするよ。まぁ基本気のせいだろうけど。


「んじゃ帰るぞ福音。追ってくるなよ硝子」


「そうか瑠莉奈。で、ってもういないじゃないか」


「なぜ帰るのですか?」


「……硝子は、俺の旧友で。心の奥底にどす黒い殺意を持っている奴だ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る