重く、強く、欺く。


「死ね!」


「なんてパワーだ!」


うわヤッベ。適当に殴っただけなのに廃工場の屋根吹っ飛んだ。これホントに宇宙で付けなきゃいけない装備なの?明らかにその……、別装備じゃないですか?あのアホ変な情報を教えたのか?


「ハッ!アレは殺戮兵器!」


「えっなんですか!?」


「アレは俺が聞いた殺戮兵器の噂、明らかに異常極まりない装備をした化け物と……、間違いないアレだ!」


俺そんな異名付いてたの?これ確かにまぁ、傍目から見れば兵器に見えなくもないけどさ、そんな名前付いてたの?えっマジで?


「何を考えている!」


「ぬおっ!?」


やべっ、咄嗟に防御を選んじまった!


「『私の火力は上がる』」


いやシンプルにヤバい!ぐぅうなんて火力だ!?普通に凹んだぞおい俺のスーツ!けど一応腕は無事だ、まだ舞える!


「と言うか滑るんだが!?」


「『更に私の触れた物は更に滑る』」


おっヤベッ更に滑る!立てねぇ!なんだこりゃ!?


「『+触れた物の摩擦による発火は加速する』」


うげぇっ!?ちょっと滑っただけで手に火が付いたぞ!?まるで全身マッチになったみたいだ!動けば動くほど体が燃える!


「くっ、的確に安達太良の行動を潰しているな」


「で、ですね……どうにか出来ませんか!?」


「俺でも無理だ。そしてこっちに向かって来ている。逃げましょう」


まずい!このままじゃまた福音が攫われる!二度と誘拐なんかさせるかよぉ!


「車輪生成!このまま滑る!」


「む、そんな追い方があるのか。なら『先ほどの法則違反の消去から摩擦関数はゼロになる』」


あっ車輪が空回り!と言うか軽くなった!なら車輪を捨て飛ぶ!両足を爆発!空中なら摩擦が無くなろうと問題なし!このまま突っこんでやる!


「……やはり、先にお前を倒した方がいいか」


「そうだぞ!狙うなら俺を狙いやがれ!」


「そしてもう小細工は不要!『我が身体能力は増加する』」


えっちょっと、普通に掴まれたんですけど。あの。普通に考えて秒速60キロなんですけど?なんで受け止められてるの?


「お前相手なら、真っ向勝負の方が勝ち目がありそうだ」


おいまさかこのまま地面にたたきつける気か!?待てよ俺は鉄の塊、投げられる訳……ッうおぉ!?


「どらぁっ!」


うごっやべぇ!普通に痛い!後さっきからもうスーツが紙屑みたいにボコボコにされてんだけど!?なんだこの火力!?いてぇいてぇ!


「だがやられっぱなしでは帰れない!生えろ腕ぇ!反撃!」


「見切った!貴様の能力、肌からのみ生成出来るのだろう!」


「クッ、流石に何度も見せてたからバレるか!」


「そしてそれさえわかれば反撃も可能!」


うおっ俺の生成した物質を叩きおられたぞ!?なんていう馬鹿力!?結構硬いんだぞそれ!?


「あとそのスーツ、脱いだ方がいい『そのスーツは真っすぐ飛ぶ』」


「なにっ!?」


うごっ!?なんだ!?ヤバいスーツだけが吹き飛ばされる!剥がさなけりゃダメージは計り知れない!


「緊急離脱!」


「蛹かな?」


「今比喩いらねぇよ!盾我ぁ!」


しかしスーツを脱いだ時の反動で逆に突撃!このまま殴ってやる!


「そりゃ防がれるか」


「まぁな」


「ところで、なぜスーツを脱いだと思う?」


「……衝撃を逃がすためだろう?」


「違うねぇ!さっきも言ったがありゃ宇宙用のスーツ!爆破する事で飛ぶ!」


スーツのほぼ半分は捨てた!足の爆発も既に使った!……じゃあ、残った機構は!?


「まさか」


「そのまさかだ、俺と共に吹っ飛べ」


そして奴が掴んでいた俺と共に、拳をぶつけさせる!これでいい!最終的に福音が無事なら問題なし!


「じゃ、このまま死んでくれよ」


「ぐぅ……ッ!」


あっヤベこれ結構痛い


「はっ!?福音は大丈夫か!?」


「気絶して起きた後でも福音の事を……」


「ちょっと嬉しいですけど……」


どうも気絶してたみたいだな。うん、考えてみれば腕二つあるから自然と俺にもぶつかるよね。でプナはと言うと同じように気絶してたようだ。俺は福音に直してもらったんで先に目覚めたが、奴はまだ起きていない。


「とりあえず手錠かけておくか」


「折らなくていいのか?」


「結構物騒だなお前。いいか?こいつにはな、なんかやむを得ない理由があるかもしれねぇ。さっきまでは単純にどっちも手を引っ込められねぇ理由があったから戦ってたが、今なら何か聞けるだろう」


「ぐ……」


おっ、ようやく目覚めたか。いや回復してなかったら俺より先に目覚めてたんだろうな。そう考えるとマジでこいつの強さおかしい……。


「さてと。なぜ福音を?」


「……話を聞いてくれるのか?」


「まぁもう決着ついたし。これ以上何かしても無駄かなって」


さていったい何の目的で福音に近寄ったんだか。


「なら頼みがある。俺の妹を直してくれないか」


「ん?お前その能力で治せないのか?」


「……俺の能力はあくまで法則を書き換える能力。無くなった物は帰ってこない」


おっと、この能力でもどうにか出来ないことがあるのか?ぶっちゃけそんなぶっ壊れた能力で治せないの、福音なら……いけるか?いけるのか?


「悪いが過去の話をするが……聞きたいか?」


「いや、シンプルによろしく」

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