勉強とメイン盾


お嬢様の護衛になってから一夜明け、俺は福音の部屋にいた。福音の部屋は他の部屋に守られるように囲まれており、入ることはかなり面倒な部屋となっていた。それは良いとして、俺はこいつに授業を受けさせることにした。


「今日から授業をしますよ」


「え?できるの?」


「俺結構頭いいんだぞ?とりあえず一般常識から教えていくからな」


一応俺、生成は学年トップです。これでも。という訳で早速教えていくことにしますかね。何を教えろってのはぶっちゃけアレだが、とりあえず片っ端から詰め込んでいくぜ。


「とりあえず教える事はー……っと、一般常識以外はそんなに気にしなくていいか」


「まず何を教えてくれるんですか?」


「と言っても、何が重要なのかは分からんか」


「です」


うーん、一般常識って奴は面倒だよな。なぜなら一般常識ってのは大体何歳かになるまでに身に着けた偏見だって誰か言ってた。誰かは知らん。てかどうでもいい。さてまずは……


「とりあえず日本地図から教えていくか。ここ俺らが住んでる国。んでここが俺らが住んでる場所」


「なんか変ですね。凄い形です」


「俺もそう思う。俺らが住んでる県は宮城県な、ここだ」


「上の方にありますね」


ぶっちゃけ俺の地元、スラムだしな。海埋め立てて出来た人口大地に変人が集まった結果スラムになったって感じだ。俺?逆に俺をどうにかできる奴いると思う?ボコボコにするぞ。


「んでここが住んでる場所の近くだ」


「いっぱい建物があります!」


「そうだな」


「えへへ」


褒められて喜ぶの可愛いね。とりあえず重要なのは家に帰れる手段を得る事だな。やっぱり。地図も読めないんじゃ、どっかに攫われて逃げる時に帰ってこれないからな。


「とりあえず変なところに連れて行かれたら、ここに帰ってくるんだぞ」


「はーい!」


「自力で帰ってこれるようになったら凄いからな」


「がんばります!」


一々可愛いなこいつ。もちもちしてやりたい。ってそんなことを考えるんじゃないよ、授業中!しっかりしよう俺!


「でまぁ知らない事があれば質問してね」


「はい!外に行きたいです!」


「うん、知らない事って言ったからね。そう言うのは後で言おうね」


「うぅ……」


うーん、そんな悲しそうな顔すんなよ。今度外に連れてってやるからな。マジで。とは言え、ハッキリ言って知識事態は普通にあるんだ、多分出力が少ないって感じなんだろう。まぁ使う機会が無かったから衰えるのは当たり前なんだけど。


「そう言えばもう一人の護衛って誰だか知ってる?」


「知ってるよ!えーっと、確かー」


「お嬢様、お久しぶりです」


おっなんかやって来た!誰だこいつ!?と言うかなんだその盾!?派手だな!って事はこいつが護衛だろうな。うーん普通の人間って感じが凄い。一般人に交じってもマジで誰にも気が付かれないんじゃね?


「あっ盾我!お久しぶり!」


「えぇ、この二日間お暇をいただきましたが、ただいま帰ってきました」


「……」


こいつは間違いなく一人二人始末してるな。多分平気で人を殺せるタイプの人間なんだろうよ。まぁその方がいいんだろう護衛って奴には。ちょっとヤバい方がちょうどいいって感じ。


「それで、この人は?」


「あっはい!その人はですね!新しい護衛さんです!」


「ん-そうか。了解了解。おいちょっとこっち来い」


「行くから掴むんじゃねぇよ」


おっと福音はこの部屋にいてね。多分この先血を血で洗う地獄絵図になるはずだから。多分こいつ、間違いなく俺を殺す気でかかってくるだろうから。そしてしばらくして庭。


「ここでいいか」


「あぁ。それでーってうおっ!?」


「お嬢様の護衛は俺一人でいい」


この野郎初手で殺しにかかってきやがったぞ!?後ろにあった木に突き刺さってんだよなぁ!おいこんなものを人に向けて飛ばすんじゃねぇよ!しかし武器を失ったならもう対抗手段はねぇだろ!


「戻れ」


「うおっアブねっ!?」


自由自在に戻せるって訳だなこの野郎!だがこのまま盾ごと貫いてやるよぉ!ヤリを俺の体から生成!気絶してもらうぞ!


「うわっ弾かれた!?」


「そりゃこの盾は『メチャクチャなんでも弾く凄い盾』だからな」


「名前長っ!」


何だその……なんだ!?えぇい略して『メチャ弾く盾』でいいか!ともかくそれに触れた物は大概弾かれる!って事は迂闊にあの盾に攻撃は出来ないって訳だ!じゃあ盾が無い場所を攻撃すればいいか!


「これならどうだ!」


足から生成した槍を直角に曲げ地面からぶっ刺す!流石にこれに対応は厳しいだろ!


「下か」


コイツ、心が読めるのか!?いや見てから防いでやがるこいつ!マジかよぉ!?だったらこうだ!


「ぶっ潰す!」


「四方八方からか」


流石にこいつは厳しいだろ!盾は一つ、攻撃する物は大量だ!それで防げるなら防いでみやがれ!


「ふん!」


普通に跳んで逃げたぞ!この野郎マジかよ身体能力もかなりの物じゃねぇか!いやそもそも盾だけで護衛やって来たって事だもんな!そりゃ強いか……!


「逆に燃えてきたぜ……!」


絶対にこいつをぶっ飛ばしてやる!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る