情報提供と修行 2日目
王から話された内容は主に2つ
1.世界を危機に晒している魔王の討伐
2.王国の守護
であった。
両方とも俺がこの世界に召喚された事ととても関係があった。
まず1についてだが、これはそのまま魔王の討伐をして欲しいという事だった。
魔王討伐はそんな簡単に成せる事ではなく、今まで4回討伐作戦が実行されたが全て返り討ちだったとのこと。
なので異世界から人を召喚しその知識を利用するべく俺を召喚した装置を作り出し、俺を召喚したんだと。
次に2つ目だがこれは俺がこの国に居ると他の国に手出しされにくいからなのだと。
仮に魔王を倒したとして、そんな魔王を倒した者がいる国に戦争なんて仕掛けたら何をされるか分からない、そのような理由で手出しされないらしい。
この説明を行ったあと王は玉座から降り、俺の近くまで来てこう言った、
「魔王を倒したら永遠に歴史に残るし、一生英雄扱いされるんだ、しかも知識提供をしてくれたらそれだけでカッポガポ。やってみたくない?こちらで全面援助するからさ。」
と、まるで詐欺のような誘い文句で誘って来た。
それに対して俺は小声で…
「…もしかして彼女とかも出来ちゃったり?」
「あぁ…彼女なんて作り放題、なんたって魔王を倒したら英雄だからね。」
それを聞けたらもう迷うことは無い。
「やります!魔王でもなんでも倒してやりますよ!」
そうして俺のこの世界での生き方が決まったのであった。
王の間を後にした俺はレドリーに聞いた。
「俺はこの後何をすればいいんですか?早速魔王討伐に…」
「いいえ違います。貴方にはこれから知識提供とそこから得られた情報による物品の作成があります。さらにこの世界に強制的に呼び出されたため、この世界の法則にあなたは慣れていません。そのため貴方には"リハビリ"をしてもらいます。」
ここからが地獄の始まりだった。
王からの説明が終わったのがちょうど昼時。
そこから30分休憩を挟んで夜中まで情報提供の時間が取られた。
問われたのはこちらの世界の武器のこと。
武器について話したのは銃の事だった。
驚くべき事にこの世界。まだ主な武器が剣と弓であった。よくアニメとかで見る"付与魔法"なんてものは存在しない。故に力が重要視されるのである。
これが魔王に勝てない理由のうちのほとんどを占める問題であった。力が全てなため素の力で魔物に劣る人間が魔物に勝てる訳が無い。
火球を飛ばしたり、爆発を引き起こす等の魔法はあるがそれは相手も使えるので戦況は常に劣勢。
道理で別の世界から人間を呼び出してまで魔物に勝つための武器などの情報を集めていたわけだ。
俺は銃の専門家では無いので「爆発で弾丸を飛ばすんだよ」といったようなふんわりとした説明しか出来なかったが彼等には十分だったようだ。
「なるほど!それなら爆発魔法の威力に耐えられる筒と弾さえあればどこまでも威力を高められる訳ですね!従来の爆発魔法等よりも格段に精度、威力、射程全てにおいて高い!なんて素晴らしい武器なんだ!」
と、とても感激された様子。
そこから他の武器のことも聞かれた。
ミサイルだったり爆弾だったり戦車だったり、
そんなことを話していたらとっくに真夜中だった。
「素晴らしい情報の提供感謝します!本当にありがとうございました!」
そうして情報提供は終了したのだった。
2日後
「ゼェゼェ…もう無理…」
レドリーの言ったことは本当だった。
俺は学生時代マラソンをやっていたのだがたった100mほど走っただけでこんなに息切れしている。
強制的に転生させられたので体の組織を1部機能停止させてしまうんだと。
命に別状は無いが、停止状態を解除するにはその部分周辺を動かさなければならず、このように運動をしなければならないのだ。
「ほらほら休まないの、もっと走ってくださいよぉ」
呑気にこんな事を言っているのは後に俺と魔王討伐のパーティーを組む事になるサクラだ。
年齢は24歳。隣国のアストラ王国の1番の強者なのだと。
力が重要視されるのに女なのか。と思った人も多く居るだろうが彼女は力ではなく体術。
投げ技、絞め技、何でもお手の物。
試しに試合をしてみたのだが3秒で瞬殺。
気づいた時には投げられていた。
まぁ、とても強い女性と思ってくれていて構わない。
「ほらほらぼーっとしてないで走って走って!」
そう言われ泣く泣く走る俺であった。
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