86『【3D配信】ももよいほのこらぼっ!!【オンライブ】part1』

【3D配信】ももよいほのこらぼっ!!【オンライブ】

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オンライブ三期生の宵あかり(@ONAkari)、暁仄(@ONHonoka)、獣王百々(@ONMomo)の三人が3Dで初コラボ!是非チャンネル登録とフォローをお願いします!


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【ももよいほの!?】

【もも→よい←ほの】

【宵は挟まれた方がいい味出るからな…】

【めちゃくちゃ安心感のあるメンバーだぁ…】

【久しぶりに宵が腹痛に悩まされずに済みそう】

【正〇丸くんの休日】

【存分に甘やかされろ宵…】


『せーのっ』

『こんよいよーいっ!!!』


【こんよいよい!!!】

【こんよいよーい!!】

【久しぶりのこんよいよい助かる…】

【清楚とクールと濁点が合わさり最強に見える】

【仄ちゃん両手でメガホン作ってるの可愛すぎるだろ】

【宵ちゃんと声出ててえらいぞー】

【宵が挟まれとる!】

【宵包囲網】

【やっぱ宵ちっちゃいな】

【このソファーめっちゃいい匂いしそう】


 そう、コメントでも言われている通り、私達は今三人でソファーに並んで座っていた。暁仄百々ももであかりちゃんを挟む形で。特に何も言わなくとも自然とこういう形に落ち着いたんだよね。以前なら間違いなくそわそわしてたであろうあかりちゃんも今では何の疑問もなく私達に挟まれてくれている。それも満面の笑顔で!

 それにしてもあかりちゃんってなんでこんなにいい匂いがするんだろ…シャンプーの匂いとはまた別のほんのり甘い香り。このいい匂いの正体を探るべく、我々調査隊(総員一名、私のみ)はあかりちゃんのさらさらの綺麗な髪に隠れたうなじへと向かった──ってそうじゃなくて!


(今日は百々を素直にさせるんだってば!)


 あかりちゃんの後ろ髪に触れていた手をそっと戻しつつ(この際あかりちゃんは撫でられると思っていたのか「あれ?」みたいな顔をこっちに向けていた。は?? 可愛すぎか???)、悶えそうになるのをなんとか笑顔で誤魔化して『ようやく3Dコラボができましたね!』と二人へ向けて話す。切り替えていけ私!


『確かに! オレ一人だけ先に3D化しちゃったから正直寂しかった感ある!』

『フェスの時も永遠とわ先輩とのコラボの時も、あかりは一人でもしっかりやれてて偉かったよ』

『頑張った!』


【ドヤ宵感謝】

【VS永遠さんは激戦でしたね…】

【フェスの3D化は完全に運営さんの術中だった感ある】

【宵は運営のおもちゃ】

【ももよいの供給でまた一つの村が救われた…】


 むふーと得意げになったあかりちゃんを、百々が撫でようとして、その直前で手を引いた。…これ、もしかしたら私が考えているよりもずっと重症かもしれない…前は普通にやってたコミュニケーションまで遠慮がちになっちゃってるし。見てよあかりちゃんの顔! 絶対頭撫でられると思ってたのに今回もお預けもらって「えっ??」って顔になっちゃってるよ?

 さっきのこともあるし、とりあえず今回は私が代わりに撫でさせていただきますけどほんとこの女は…! ちょっと意識しすぎでしょ!!


(もう少し遠回りに攻めようと思ってたけどやめやめ! もう正面から話題振っちゃえ!)


『ところで、百々の3Dはいかがですか、あかりちゃん? 私も思っていたんですけど、百々の尻尾ってとっても感情豊かですよね!』

『わかる…さっきからゆらゆらしてていいよね…』

『ん、そう言われると少し恥ずかしい』

『あっ、隠さないで百々ちゃ!』


【仄ちゃんも尻尾に狂わされてる…】

【百々ちゃの尻尾からは人を狂わせる魔力が出てる説】

【もっといちゃいちゃしろ】

【ほのよいで百々ちゃを挟む…そういうのもあるのか!】

【その尻尾隠せたのか…】


『日常生活で尻尾と耳が出てたら大変だから』

『意外と切実な理由なんですね…』

『耳と尻尾なしバージョンの百々ちゃ…!? ……これはこれでアリだな…』


 さらにその後もあかりちゃんが興味を持っていた百々の3Dのパーツの話を振りつつ、百々が痺れを切らして私の3Dの話に話題を変えようとしたところで本命を打ち込む。今っ、ここっ!!


『そういえばあかりちゃん、百々のネイルの話をしていましたよね?』

『うん、すっごい綺麗だと思う!』

『あれ、実は百々本人がデザインしたんですよ。ね、百々』

『ん、確かに3Dを作る時に要望を出した。採用されるとは思ってなかったけど』

『えっ、そうなの!?』


 そうなんだよあかりちゃん! これは私が二人同時の3Dお披露目配信前、百々と雑談していた時に出た話題だ。元々百々がよく手の込んだネイルをしてるなーとは思ってたけど、まさかそれを3Dの方にも輸入してしまうとは。私もマネージャーさんから3D化に際して何か要望ありますか? って聞かれはしたけど、あんまりいい感じのことは言えなかったんだよねー…あかりちゃんとお揃いのアクセサリーとか、とりあえず言うだけ言っておくべきだったかな。さて、あかりちゃんの興味を引いたところで次のフェイズだ。


『あかりちゃんもネイル、やってみたくありませんか?』

『えっ?』

『百々と前にネイルアートの話をした時に言っていたんです。あかりちゃんに合いそうなデザインを考えたって!』

『ほ、本当…?』

『それは…本当だけど。けど、ここには道具もないし…』


 ふふふ、とつい不敵に笑ってしまう。勝利を確信した笑みだ。もう逃がさないからね、百々!


『ふふ、というわけで──今日はスタッフさんにこんなものを用意していただきました!』



 


 ──ほのかの様子がおかしい。というか、怪しい。あかりが絡むと大抵いつもと様子の違う彼女だが、今日はより一層変に思える。例えば。


『ところで、百々の3Dはいかがですか、あかりちゃん? 私も思っていたんですけど、百々の尻尾ってとっても感情豊かですよね』


 これは私の3Dについての話題だ。別に仄が私の話題を出すこと自体は変じゃない。コラボだしそういうこともあると思う。けど…。


『お耳もすっごくもふもふしていて…』

『わかる…』

『それに髪の毛がちょっと癖っ毛なのが…』

『わかる…』

『いいですよね…』

『いい…』


【わかりすぎだろ】

【こいついつもわかってんな】

【プロ同士多く語らない】

【ライオンいいよね…】

【いい…】

【ほのももは本当にあったんだ…】

【百々ちゃの複雑そうな表情で草】

【困惑百々ちゃレアですき】

【急に目の前で自分についての推し語りが始まったらそらそうよ】


 これも、その次も、彼女の口から出てくるのは私の3Dについての話題ばかり。あかりが喜ぶ話題を選んでいる? 確かにそれもあるだろうけど、でもそれなら仄についての話題も出てきていいはず。コメントは【ほのもも】だなんて言っているけどこれは違う。絶対に何か企んでいる。それを確かめようと声を出したところで──


『仄…』

『そういえばあかりちゃん、百々のネイルの話をしていましたよね?』


 と、仄が被せるように言った。こちらにウインク付きで。


『うん、すっごい綺麗だと思う!』

『あれ、実は百々本人がデザインしたんですよ。ね、百々』

『ん、確かに3Dを作る時に要望を出した。採用されるとは思ってなかったけど』

『えっ、そうなの!?』


 いまいち狙いが見えないけど…ネイルの話は事実なのでとりあえず肯定しておく。それにあかりが目をきらきらさせて私のネイルの話を聞いている姿は素直に嬉しい。あまりあかりはそういうのには興味がないとばかり思っていたけれど、あかりだって女子高生。人並みに興味があるのだろう。…私が選んだ服を着て、私がやってあげたネイルをしているあかり。想像してみると、それはとても素敵な光景で……想像を強引に打ち切って、また心の中のこーよーに喝を入れてもらう。油断すると、こんなことばかり考えてしまう。まるで恋する乙女だ。もう乙女なんて年齢じゃないのに。

 そんなことを思っていると、仄はさらに爆弾を投げ込んできた。


『あかりちゃんもネイル、やってみたくありませんか?』

『えっ?』

『百々と前にネイルアートの話をした時に言っていたんです。あかりちゃんに合いそうなデザインを考えたって!』


 誰かをイメージしてネイルのデザインを考えるのは、最近の私の趣味みたいなものだった。そうは言っても、考え出すとあかりのことばかり考えてしまって、どれも自然と彼女に合いそうなデザインばかりになってしまうのだけど。


『ほ、本当…?』

『それは…本当だけど。けど、ここには道具もないし…』


 あかりがまたさっきのきらきらな瞳を私へ向けてくる。うっ、とその光に焼かれてしまったせいで、道具さえあればやってあげる、とでも言うような返答をしてしまった。あっ、と思った時にはもう遅く、仄が清楚キャラに見合わぬ不敵な笑みを浮かべている。そして。


『ふふ、というわけで──今日はスタッフさんにこんなものを用意していただきました!』


 その言葉とともにスタッフさんが運んできたのは──ベース用のクリアジェルから軽く三十色はあろうカラージェル、仕上げのトップコートジェルに筆ややすり、ネイルマシン…ジェルを固めるためのライト…つまりは一通り、ネイルアートをするための道具が揃った机だった。

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