62『【#オンライブフェスDAY1】オンライブフェス注目情報!【宵あかり】part1』
【#オンライブフェスDAY1】オンライブフェス注目情報!【宵あかり】
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◇
【ようやく泣き止んだのか宵】
【結局泣き止むまで二十分くらいかかりましたね…】
【思ったより早かったな(感覚バグ)】
【ほんとに泣き止んだ?出てきて初手号泣したりしない??】
『お、おーす…オンライブ三期生、TS美少女Vtuberの…っておわっ!?』
【出やがったな!】
【急に奇声を上げるな】
【たぶん会場の声にビビったな…】
【宵リスナー渾身の叫び】
【こんよいよいって言えをリアルで言える日が来るとは…】
【現地のノリが良すぎる】
【TS美少女Vtuber!?!?】
まさか出てきた瞬間に厄介オタク達の声援…声援?? …で迎えられるとは思わなかった。どっちかと言えばさっきの
……てかやっぱ人多すぎない…? 会場の映像から努めて目を背けておく。それはそれとしてまずは…。
『えー…今回はオレの都合で来てくれたみんなや、見てくれてるリスナーさん達をお待たせしてしまってすみませんでした!』
オレ自身、あんなに涙が止まらないという経験は初めてだった。結局泣き止むのに十分くらい、その後涙やらでぐちゃぐちゃになってしまった顔を綺麗にして精神を落ち着けるのにさらに十分くらいかかってようやくこの場に出てくることができたのだ。たぶんオレを怒りに来たであろう
【初手謝罪から始まるステージイベント】
【まぁ宵らしいと言えば宵らしいが…】
【宵がちゃんと謝ってるの久しぶりに見た】
【全然いいよ♡】
【ちゃんと謝れてえらい】
【間を繋いでくれた桜ちゃんと永遠さんに感謝しろ】
『それはほんとにそう! ありがとうございます桜ちゃん永遠さん!』
『のーぷろぐれむ』
『私達のステージをすっごく喜んでくれたみたいで嬉しかったよっ』
『ひぇっ!?』
姿こそ見えないがいきなり二人の声が聞こえてきてびっくりしてしまう。司会進行役って言ってたけどもしかして他の人の出番でもこうして待機してるんだろうか…?
そんな大変な役割の人達に余計な仕事を増やしてしまって申し訳ねぇ…。
【天の声なさくはるコンビ】
【変な声多めで助かる】
【推しに見張られてる気分はどうだ】
【良い先輩を持ったなぁ】
【いいからさっさとこんよいよいって言え】
【こんよいよい欠乏症兄貴が多すぎる】
【今日はオーソドックスに頼む】
『え、えーとこんよいよいな、こんよいよい!』
既にやらかしてるし、ここは下手したでに出ておこうとコメントに従ってそう言えば、返ってくるのは「気合入れろ」「本気出せ」「日和るな」といった体育会系みたいな声。それにコメント。こいつらほんとさぁ…!
しかしここで爆発してレスバなんて始めた日には間違いなく後で怒られることだろう。生で怒られるのは通話やメッセージの比じゃなくキツいからな…よってここはグッと堪えて喉をプロト
『みんなの輝く一番星っ! オンライブ三期生、宵あかりだよっ! みんな、今日は来てくれてありがとー! こんよいよいっ』
【うーむ心地よい】
【現地大盛り上がりで草】
【ちょっと緊張した感じの声すき】
【俺も生こんよいよい聴きたかった…】
【50 件の onlive オンライブ - VTuber Group のメンバーシップ ギフトを贈りました】
とりあえずこれでこいつらも満足だろう…。まったく最初の挨拶からエネルギー使わせやがって…まだオレのコーナー自体は一ミリも進んでないってのに!
何はともあれようやく本題に入れそうだ。そう思い、この企画用の資料を画面に出そうとした所で、またしても邪魔が入った。
【宵も歌っていけ】
【一曲歌って緊張ほぐそう】
【遅れた分の詫び歌よこせ】
【いけ宵!】
さっきと同じくコメントのみならず会場の声からも同じような内容が聞こえてくる。こんよいよいはまだいいとして、それはさすがに無理あるだろ!
『いや歌えって言われてもオレだけじゃなくてスタッフさん側というか会場側? の都合もあるだろうし…そもそももう時間押してて…っていいんですか!?!』
そっとやって来たスタッフさんにより差し出されたメモによると、数曲用意してあるのでこの中ならどれでも歌って大丈夫とのことだった。しかも選ばれてる曲はどれもオレが直近の歌配信で練習していたものばかり。ええ…? ちょっと準備良すぎない…?
『えー…なんか歌ってもいいらしい…けど! お前らよーく考えろよ、さっき桜ちゃんと永遠さんのクッッソ素晴らしいライブ見たあとだぞ?? せっかくの余韻をオレの歌で台無しにしたくなくない? …いやなんか言えよ!!』
急にシーンとなりやがる会場の連中に思わず叫ぶ。ドッと笑い声が上がった。そこ草じゃないが??
【草】
【往生際が悪いぞ宵】
【余韻なんてお前の号泣でとっくに上書きされたわ!】
【ここまでお膳立てされたら歌うしかないよなぁ】
【もっと自分の歌に自信を持て】
『うーん楽しみ』
『永遠さんまで!?』
会場の声に加えて再び急に現れた永遠さんのせいでいよいよ本気で逃げ道がなくなってしまった。…あーもう分かったよ! 歌えばいいんだろ歌えば!
半ばヤケクソ気味だが、今はむしろこれで良かったかもしれないとも思う。落ち着いてしまったらこの会場の人数を見て一言も話せなくなる危険性すらありそうだ。
少し待ってろ! と言ってスタッフさんに歌う曲を指定して準備してもらう。結構慌ただしい雰囲気だが、一方で最初からこうなると分かっていたかのようにテキパキと準備が進んでいく。…大した時間もかからず、準備は整ってしまった。
『じゃあいくぞ? よーく聴いとけよオタクども!』
ちょっとおかしテンションになりつつ、歌い始める。選んだ歌は桜ちゃんと永遠さんのチョイスに便乗して少し前のアニソン。きちんと照明まで暗くなった会場で、ペンライトがゆらゆらと揺れる。さっき見たときとは違い、ペンライトを振られている側に立ってみると、なんとも不思議な光景のように思えた。
『はぁ…はぁ…ふぅ…今度こそこれで満足だろ…うわっ!?』
今日何度目か分からない叫び声を上げてしまったのは、オープニングライブに負けず劣らずの拍手が響いたからだった。
【やっぱ上手ぇわこいつ…】
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【綺麗な宵すぎる…】
【本当にあんな汚い声で泣いてたやつと同一人物なのか】
【ポンコツだけど基本スペック高いんだよな宵】
【50 件の onlive オンライブ - VTuber Group のメンバーシップ ギフトを贈りました】
【3Dで見たかった…】
【運営さん宵にも3Dモデルをくれてやってくれ…】
会場の照明が戻り、ようやく拍手が収まる。…なんだかすごい体験をしてしまった気分だ。
『え、えと…ま、満足してくれたならよかった…けど…』
緊張からか興奮からか、普段よりもずっと荒れた息を整えつつ、なんとか声を出す。本来の企画はまだ始まってもいないのに凄まじく体力と精神力を持ってかれたな…。
『じゃ…じゃあ今度こそオレのコーナーに入ってくからな! こっからはたぶん時間的にお前らの要求は通らないだろうから変なこと言い出すなよ!』
フリかな? というコメントや会場の声へと『これはフリとかじゃなくてマジのやつ!』と返しつつ、ようやくオレ本来の企画に入る。もう十分頑張った気するし誰か代わってくれない?? …ダメですかそうですか…。
◇
「う゛ぅ゛…あか゛りちゃん゛…!!!」
「今度はこっちか…」
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