61『【#オンライブフェスDAY1】オープニング【春乃桜/永遠遥歌】』

【#オンライブフェスDAY1】オープニング【春乃桜/永遠遥歌】

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【現地行きたかった…!】

【欲しいグッズが多すぎるし見たいもんが多すぎる】

【I will never forget today! It's a treasure of a lifetime!】

【やっぱ始まりはこの二人よね】

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【見てる側なのにすごいドキドキしてきた】

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【石油王もよう見とる】

【――来る】

【始まるぞ!】


『みんなお待たせっ!!』

『まずはお通し。私達の歌を聴いて』

『お通し!? って、驚いてる場合じゃなかった、いくよっ』


【きちゃあああああああ!!!】

【永遠!!さん!!!】

【桜ちゃん綺麗だ…】

【二人ともキラキラすぎる…】

【ペンライト多っ】

【ステージの演出しゅごい…】


 二人の歌が、会場全体へと響き渡る。こんなもん見せられたらそりゃそうだろって感じだけど、会場の盛り上がりは凄まじいものだった。

 アイドルのライブとかは行ったことないけど、たぶんこんな感じなんだろうな。ペンライトを振りながら叫びたくなる気持ちがよーく分かる。


 …で、そんな凄まじいものを見せられているオレはと言えば――


『う゛ぅ゛…さ゛ぐらち゛ゃん…と゛わさぁん゛…』


 ――二人のステージに、感情の赴くままに絶賛ギャン泣き中だった。


【ええ…】

【ガチ泣きしてんじゃん宵】

【本日最初の切り抜きポイント】

【初っ端からこれかぁ…】

【隅々まで切り抜け】

【泣き方が容赦なく汚くてすき】

【泣くにしてももっと可愛く泣け】

【寝坊してなくてえらいって褒めに来てみたらギャン泣きしとる…】


 涙で歪む視界の端で、オレに対するコメントが流れているのが見える。緊張に耐えかねてオレの出番前にちょっとだけ普通の配信をすることにしたのだが(もちろんスタッフさん達に許可は取った)、この分だと配信しててもしてなくてもあまり変わらなかったかもしれない。感情が高ぶりすぎてとてもじゃないけど何かを言うどころじゃないし!


『うう゛うう…』


【嗚咽配信】

【出番直前にこんなボロボロになって大丈夫か…?】

【それを言うならそもそも出番直前に配信してるのがおかしいからな…】

【宵に常識は通用しない】

【そもそもこの配信運営さんに許可取ってるんですかね…】


 3Dモデルの動きも相まって、さくらちゃんと永遠とわさんがまるで本当にステージにいるかのように感じられる。いやこれもう間違いなくそこにいるな?? てぇてぇを通り越してもはや神々しい。もしやオレの推しは神様だった…?


【888888888888】

【次は絶対現地で見てやるからな】

【これでまだオープニングって嘘だろ…】

【この満たされた感じたまんねぇ】

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【桜ちゃんもめっちゃ歌上手くなったよなぁ】

【ちょくちょく二人で見つめ合ってたのすこすこ侍】


『うっ…うっ…二人とも…生まれてきてくれて本当にありがとぉ…』


【涙と鼻水で顔すごいことになってそう】

【宵のアバターは泣き顔までちゃんと完備してるのか…】

【美少女の汚い泣き方からしか摂れない栄養がある】

【公式配信の綺麗なコメントとこっちのコメントの落差で草】

【こいつ本当にこれから出番なんだよね??】

【そろそろ落ち着け宵】


『ありがとー! みんなありがとっ! ほんとすっごい緊張しちゃった…でも上手く歌えたかな、ね、ハル!』

『もちろん。桜の歌声は最高だった』

『ハルもね! 私達のライブは明日にもあるから、ぜひぜひ見ていってね!』

『今日のこれはあくまでもフェスのオープニング。本番は明日のライブだから、みんな首を洗って待ってて』

『なんか言い方が怖いよっ!? オープニングも済んだところで、このまま今日最初のステージイベント! 三期生、よいあかりちゃんのオンライブフェス注目情報! が始まるよ!』

『あかりがオンライブフェスの楽しみ方をみんなに教えてくれる。乞うご期待』


 本当に最&高としか言いようがないライブだった…。一曲でこの満足度、もし複数曲聴いたらいったいどうなってしまうんだろうか…? できればオレもこのスタジオからではなく、あの盛り上がっている観客の人達のように生で見たかったなぁ…。

 それはそれとしてなかなか涙が止まらない。どうやったら止まるんだこれ。二人のさっきの姿を思い出す度に溢れてくるんだが?? もう出番直前なのに…オレのそんな姿を見てか、スタッフさんが何やらどこかへ電話をかけている。すると…。


『…えーっと、ごめんみんな! ちょっと今トラブルであかりちゃんの準備が遅れちゃってるみたいだから、もう少しだけ私達がお話するね!』

『私達のライブで感動して今話せる状態じゃないらしい。そこまで喜んでくれるとさすがに照れる』


【草ァ!】

【トラブル(機材とかではない)】

【なんならついさっきまでその姿を配信してましたね…】

【イベント前に配信するな】

【泣きすぎてスタッフに配信終了させられたっぽいの笑う】

【宵はやっぱ「違う」な…】

【ファンの鑑みたいな女】

【ライバーとしては失格の男】

【ほんま草】






「その、今朝はありがとね?」

「…まぁどういたしまして」


 配信前に配信を始めてしまったひかるちゃん…宵あかりちゃんの姿を見守りながら、私と獣王ししおう百々ももこと、深見ふかみ莉緒りおは二人で今朝あった出来事について話をしていた。


「確かに飛び起きてくれたから時間の短縮にはなったけど、最後のは何?」


 今朝、私は莉緒と一緒にひかるちゃんを起こしに行った。

 どうしてそうなったのかと言えば、あれは確か深夜三時くらいのこと。ひかるちゃんと添い寝するために幾度となく部屋から出ようとする私を、親友が止めていた時のことだった。ふと、彼女が凄まじく面倒くさそうな顔で言ったのだ。


「莉緒さんが朝ひかるのこと起こしに行くって言ってたしさ、それについて行けばいいじゃん。もうあと一時間ちょいの我慢だよ?」


「………!!」


 なんという神懸かった素晴らしい提案。さすが私のことを最も理解しているであろう私の親友である。あまりの素晴らしさにハグをしようとしたら「じゃあ今度こそ寝るから」と言って回避されてしまった。残念。

 それはそれとして莉緒にこのことを伝えておかないと。深夜三時だけど関係ない! 透かさず通話をかける。……出た!


『………なに?』


 すっごい不機嫌な声! 私結構莉緒と話してるはずだけど初めて聞いた! でもそんなことは今は関係ない。私もひかるちゃん起こしに行くからね! 絶対だからね! と伝えると。


『…分かったから。あともう少しだけ寝かせて』


 と言って通話は切れた。ヨシ!


(あと一時間でひかるちゃんの寝顔が見られる…! 歌祭りの時は莉緒に自分で撮れ! とか煽られたけど今回は生で見られる!!」

「うるさいんだけど??」


 後半が思いっきり声に出ていたらしく親友に怒られてしまった。あれでもここって私の部屋じゃ…? まぁいっか!


 …というとっても深い事情があって今に至るわけなんだけど…。


「い、いや! あれはトラブルっていうか! ひかるちゃんが可愛すぎるのが悪いって言うか…」


 結構ガチな感じで怒ってるっぽい。でも本当にあれは事故だよ!? そもそも私が顔に手を近づけても全然嫌がらないどころか、むしろ受け入れてくれてたひかるちゃんサイドに問題が…。


星奈せいな

「ごめんなさい確かにあれはちょっとよくなかったかなって反省してます…」


 圧のある声で私の本名である星奈と呼ばれ、素直に謝罪する。ちなみに苗字は明護あけもりで、もちろんどっちもひかるちゃんに教えてるけどまだ呼んでもらえたことはない。いつかは呼んで欲しいなぁ…と思いながら莉緒の「私はひかるのお母様からひかるを任されているからそういうこともしっかり見張っておく必要がある」みたいなマウント兼説教を聞き流していると…。


『う゛ぅ゛…さ゛ぐらち゛ゃん…と゛わさぁん゛…』


「…なんかあかりちゃんすっごい大泣きしてるんだけど…あれ今配信中だったよね?? ていうかこのあと出番だし…大丈夫…?」


『…えーっと、ごめんみんな! ちょっと今トラブルであかりちゃんの準備が遅れちゃってるみたいだから、もう少しだけ私達がお話するね!』


「……ダメそう」

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