43『【オンライブ】登録者数20万人記念枠!…20万人!?!?!【宵あかり】part2』
――今回の配信の趣旨を説明し終わると、文句を言いつつもちらほらとシチュが書かれたコメントが流れ始め、少しするとそれらが大勢を占めるようになった。若干大喜利みたいになってるのはいつものことだし、仕方ないので見逃すとして…。
『お前らこれ一般向けのボイスだからな? なんかちょくちょくD〇siteとかにありそうなの挙げてるやついるけど!』
確実に一般向けじゃ無理だろと言いたくなるシチュや、もはやコメントしてるやつの性癖を疑うレベルのシロモノまでもが混ざり込んでいる。
本当にこいつらさぁ…ここは性癖を自由に披露して良い場所じゃないんだよ!
【だからサイト名を言うのはやめろっつってんだろ!!】
¥1,500
【これ自分がそのサイトでエッッなボイス調べてるって暴露したようなもんで【は??】
【あそこは一般向けのボイスも沢山あるんだよなぁ…】
【熱い風評被害】
【ちゃんと謝ろうな宵】
¥500
【罰として宵チョイスを教えろ】
『えっ? えーっとね、あの…なんかランキングの上にあったデッッなシスターさんとあまあま…コラッ!!!』
【コラはこっちの台詞だろ】
【性 癖 展 開】
¥5,000
【『甘やかし上手なシスターさんの日常~セイなる加護、授けます~』かな?】
【草】
【今見てきたらランキングトップのやつで草】
¥10,000
【宵の性癖・シスター←NEW】
【結構雑食だよね宵】
¥4,500
【いい趣味してんねぇ!】
¥800
【もう終わりだよ猫のVtuber】
【確かに宵は総受けなので猫だが…】
なんとかオレ渾身のファインセーブで致命傷こそ回避したが、このまま今の話題を続けたら遠からずまた同じような展開になるのは目に見えている。…ここは下手に言い訳はせず、強引にでも話を進めてしまうべきだろう。数多の敗北の経験は確実にオレを強くしているのだ。それはそれとして、買った音声作品はめっちゃ良かったのでこれからも定期的に漁っていきたい。
『とりあえずその手のやつ除いて候補リスト作ったから黙ってまず見ろ!!』
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□*無題-メモ帳
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病弱妹みたいなの
メイドさんが御奉仕してくれるやつ
なんか甘やかすやつ?
デートする系のやつ?
カウントダウン
膝枕
全肯定?
添い寝?
なんかオレが部屋に遊びに行くやつ?
寝息とか心音
・
・
・
|
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◁ ▷
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1行、1列 100% Windows(CRLF) UTF-8
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【?マーク多すぎる】
【もっとシチュエーションボイスの勉強しろ】
¥1,000
【無知無知宵あかりがよぉ】
【カチャカチャ打ってると思ったら】
【宵特有のメモ芸】
¥200
【しれっとカウントダウン入ってて草】
【カウントダウン拾うな】
【カウントダウンはダメだろ】
『えっ、別にカウントダウンはよくない??』
使い方は個々人に委ねられるとはいえ、それ自体は別にただ数を数えてるだけだし。オレのそんな反応を勘違いしたのか、【ワンチャン意味知らない説】、【ただカウントダウンするだけだと思ってるのかもしれない】【宵ならマジで知らないかもしれん】といったコメントが流れてきた。そんなわけないんだよなぁ…でもオタクくんの幻想を守るのもVtuberとしての使命かもしれない。あと知らないってことにしておく方が何かあったときに怒られずに済みそうだし。
高速で脳を回転させ導き出した答えに従おうとしたその瞬間だった。
¥50,000
【宵カウントダウン頼む…】
『さん、にー、いち、ぜろぜろぜろっ♡』
¥7,200
【やっぱり知ってるじゃねーか!!】
【しかもかなり気合入ってて草】
¥10,000
【あっあっ】
【こいつさぁ…】
【これ大丈夫なやつ?消されない??】
¥50,000
【】
¥300
【札束で叩けば大抵の言うことは聞きそう】
¥3,000
【俗物すぎて逆にすき】
衝動的にやってしまったが後悔はしていない。スパチャを投げてくれるリスナーさんの夢を守るのもVtuberの使命だからな! …それはそれとしてマネージャーさんから何か来てたりしないよね? まぁ来ててももう今日の惨状からしたら仕方ないし、このまま進めるんだけど…。
『カウントダウンは今やったから消すとして残りから決めるぞー。…ちな早く決めて定時で終わってこの後ある
【ダメに決まってんだろ】
【何窓するんだよお前】
【物怖じしなくなってきたなこいつ】
【定時上がり系Vtuber】
【残業しろ】
【一個一個実践して♡】
『一応言ってみただけじゃん! でもこれ試すのにしても無理そうなのも多くない? 心臓の音とか。…いや、もしかしてマイク胸に直にくっ付けたら心臓の音聞こえたりする…?』
実際、心音ってどうやって録ってるんだろうか。アニメで胸の辺りに耳を押し当てて相手の鼓動を聞く、みたいなシーンを見たことがあるし、それならマイクでもいけそうな気がするけど。
【普通のマイクじゃ聞こえなさそう】
【asmr用の収音マイクとかじゃないと無理じゃない?】
¥1,000
【ばっちり聞こえるから今すぐ押し当てろ】
【まず脱ぎます】
【コメント真っ二つで草】
『コメント見ててちょっと思ったけど、実際全裸で配信してたとしても分からないの今思うとなかなか夢ある…あるくない??』
【思うだけにしろ】
【思ってもいいが口には出すな】
【わかる】
【ええ…】
【思考が飛びすぎだろ】
¥2,000
【怒られろ】
¥900
【次に描かれるイラストは決まったな…】
と、時間を見てみるとそこそこいい時間が経っている。そろそろちゃんと決めに入らないと定時上がりは難しそうだ。
最悪この場で決まらなくてもいいのかもしれないけど、後に残しておくのもそれはそれで面倒そうだし、できればこの場で決着をつけてしまいたい。
『んー…じゃあ心音とか無理なのは一旦退けて、できそうなのだけちょっとやってみるか…』
【宵にしては素直やな】
【駄々こねて結局やらないパターンかと】
【絶対永遠さんの配信には間に合わないと思うけど本当にいいのか】
『そんなオレ普段から駄々こねてないだろ! まぁ配信は最悪いつもみたく横で流せば見れるし』
【横で流すな】
【懲りるという言葉を知らない男】
【反省はしてもやめない女】
¥6,000
【分からせたいからメスガキもシチュに追加してくれ】
『ほらいくどー』
◇
『ごほごほ…あ、来てくれたんだお兄…ここってちゃん? それとも様?』
【様】
【宵ならお兄ちゃん呼びの方が合う】
【声質変えるの地味にすげぇな】
【相変わらず病弱要素が咳しかなくて草】
【宵が妹とかクソ我儘言いそうだな…】
◇
『紅茶をお持ち致しました、お兄ちゃ…じゃなくてお坊ちゃま』
【混ざってる混ざってる!】
【宵がメイドとかお茶運ぶ途中で溢しそう】
¥1,000
【たぶんお茶菓子とか勝手に食ってる】
【こいついつも紅茶お持ちしてんな】
¥700
【宵メイドは主人に隠れてサボって配信見てそう】
【駄メイド宵】
『お茶かけるぞお前ら!!』
【本性表したね】
【ク ビ】
【このシチュエーションボイスちょっと欲しくなってきたな…】
◇
『甘やかす…えっと、お前は本当に頑張ってるぞー、よしよーし…』
【まぁまぁ悪くないな】
【もっとシスターから学べ】
【お前呼びすき】
【甘やかし慣れてない感が俺を狂わせる…】
【これはこれでアリ】
¥4,000
【こーよーが欲しがりそう】
『すごいぞー…あっ永遠さんの配信始まった』
【台無しだよ】
【せめて誠意を持って甘やかせ】
【vtuber狂いのママはやだな…】
◇
『ざぁーこざぁーこ! えーっと…アレだ、前髪すかすか!』
【ライン越えたな】
【宵ガキが…】
【言っていいことと駄目なことがあるぞ】
【髪はダメだろ、髪は】
【せめて♡を付ける感じで言え】
¥5,000
【メスガキってかただのクソガキじゃねーか!】
◇
『言うほどオレとデートしたいか??』
【コンセプトを否定するな】
【したいかどうかで言えばしたい】
【してやってもいい】
【焼肉行こうぜ、宵の奢りな!】
『人の金で食う焼肉が一番美味いからお前の奢りなんだよなぁ…』
【は??】
【わかる】
¥8,000
【焼肉代】
【とりあえず美味いもの食わせとけば満足してくれそう】
【宵とのデートはこんな感じか…】
◇
『オレが部屋に遊びに行く…大真面目に今まで一度も友達の家とか行ったことないんですが…』
【あっ…】
【急に悲しい話するのはやめろ】
【泣いた】
¥200
【隙あらば自分語り】
【隙を見せる方が云々】
『ってわけでこれはパス! えっと、次は――』
◇
『——お前らこれ本当に決める気ある? 実はオレに演技させたいだけだったりしない??』
途中で増えたやつも含めて、やってみたシチュの数もかなりのものになった。永遠さんの配信を横で流し始めてからも既に結構経っていることからも分かる通り、予定していた配信時間を余裕でオーバーしているのだが…まだ肝心のシチュ決めは終わっていない。
どのシチュも結構反応はいいのに、じゃあこれ? と聞くとうーん、みたいな反応が返ってくるのだ。…これもしかしなくても上手いことコメントに操縦されてるな??
『一旦疲れたからマシュマロ読んでいい? いい感じのクソマロ焼いて疲れを取りたい』
喉と、ついでに頭を使いすぎて疲れた。テキトーにあしらえるクソマロで一旦リフレッシュを図りたい感ある。
【疲れ取れるんですかねそれ…】
【疲れの取り方が独特すぎる】
【クソマロ耐性が上がってきたな】
【クソマロ見たら叫び散らすから絶対休憩にはならんでしょ】
【まあどうぞ】
『なんかちょうどよさそうなクソマロは…あっ、てかまたこれ来てるじゃん!』
オレのマシュマロ読み配信のトップ問題児が来ていた。ここ最近見なかったのにまた性懲りも無く送って来たらしい。やたら長いので受信箱を開いたらすぐに分かる。
────────────────────────
『お、お邪魔しまーす』
『ああ、どうぞ』
こうなってから初めて訪れるこいつの家。
前は毎日のように来ていたのに、ほんの少し間が空いただけで懐かしく思えた。
『飲み物とかお菓子持ってくるから待っといてくれ』
『あっ、う、うん』
部屋に案内されると、あいつはまたすぐ出て行ってしまった。
…せっかく頑張ってこいつが好きそうな可愛い格好をしてきたのに、
何か感想を言うどころか俺の方すら見てくれない。
きっと俺の可愛さが直視できないほどなんだろう、なら仕方ない。
慣れるまで待ってやろう。そう思って初めは良い気分だった。
…でも。
『……』
『……』
一時間経っても、こいつは俺の方を見てくれない。それどころか、殆ど話してもくれない。
俺から話しかけてもどこか上の空って感じで。
…俺の格好、似合ってなかったかな。なんて、そんなことを考えてしまう。
いつもとは違う雰囲気に耐えられなくて、自然と言葉が出ていた。
『…ごめん。こ、これさ…似合ってなかったよな…』
俺の言葉に、驚いた顔をする親友。その時一瞬目が合って…すぐに逸らされた。
『っ…』
逸らされた。目を。それだけのことなのに、すごくショックで。
『ごめん、俺、帰るね』
またごめんと口にして、立ち上がる。逃げるように部屋を出ようとした時だった。
『っ!? えっ、あっ…』
いきなり腕を掴まれて、体勢を崩してしまう。
気が付いてみれば、あいつにのし掛かられる格好になっていた。
顔が近い。熱い。目が、真っ直ぐに合う。次は、逸らされなかった。
『その、さ。正直すげぇ似合ってる。可愛いすぎて…顔、見れなかった。本当にごめん…』
『………おせーよばか』
【俺の親友がこんな美少女のはずがない】
アニメ3期、絶賛公開中
マシュマロ
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❏〟
────────────────────────
¥2,000
【おっ友びしょ久しぶりじゃん】
【何度聞いても友びしょで草】
【まだ続いてたのかこれ】
【アニメ三期!?!?】
【宵視点だしちょうどいいシチュエーション】
【このシチュやれ宵】
【切り札来たな…】
『えっこれやるの?? でもこれそこそこ長いしあと普通に恥ずい…』
【マシュマロ読みたいって言ったのはお前やろがい!】
【責任持って食べなさい】
¥1,200
【さっきまで散々恥ずかしいことしてただろ】
【恥じらうならもっと普段から恥じらえ】
¥6,000
【宵あかり役の声はいつもの声+ちょっと気弱な感じでお願いします】
【演技指導入って草】
【宵あかり(CV:宵あかり)】
『まぁいいけどさぁ…あっ、男の台詞の方は普通に読むからな』
言い出しっぺではあるのでとりあえず読み上げるだけ読み上げてみるけども。声は気弱、気弱ね…。
さっきから散々声色を使い分けているからか、そこそこ上手く読むことができた…気がする。で、読み上げ終わってコメントを見てみると…。
¥19,000
【おせーよばかすき】
¥10,000
【正統派TSっ娘って感じでいいね】
¥4,500
【は?かわいくてキレそう】
【この宵とならデートしたい】
【もうこれベースでいいじゃん】
【過去作のやつも頼む】
【練習して製品化していけ】
『ええ…』
なんか決まったな! みたいなムードになってるんですが…。オレがさっきまでコメントの通りに演技もどきをしてた時はうーんこの、みたいな感じだったじゃん! …でも疲れたし正直こいつらがそれでいいならもうこれでいいか! よろしくなぁ!
『決まったから終わるけど最後に一つ! オレのボイスはともかく他の三期生の人達のボイスはクオリティ凄いと思うから絶対買うように!』
【お前のボイスもちゃんとクオリティ凄くしろ】
【もっと自信を持っていけ】
¥5,000
【本当に友びしょにして頂けるんですか!?!?】
『てわけで解散! じゃなー』
【勝手に終わるな】
¥1,000
【初見はチャンネル登録を忘れるな】
¥700
【通知もオンにしろ】
【残さず切り抜け】
【今回は切り抜かれる場所多そうだな…】
¥30,000
【はよ30万人行って記念配信しろ】
【じゃなー!】
◇
この配信は終了しました
【オンライブ】登録者数20万人記念枠!…20万人!?!?!【宵あかり】
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宵 あかり
チャンネル登録者数 24万人
23,599 人が視聴中・〜分前にライブ配信開始
#アカリウム #オンライブ
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