11 『【オンライブ】三期生全員集合!デビューから今日までの振り返り配信!!【初コラボ】part1』
【オンライブ】三期生全員集合!デビューから今日までの振り返り配信!!【初コラボ】
28,997 人が視聴中・0分前にライブ配信開始
⤴3707 ⤵ ➦共有 ≡₊保存 …
オンライブ公式チャンネル✓
チャンネル登録者数 38.7万人
◇
【三期生全員参加とかこれマジ?大丈夫??】
【恒例行事と化した個性の暴力披露大会】
【濃い配信になりそうですね…】
うう……とうとう始まってしまった…。
光陰びゅんびゅん矢の如し、とでも言うべきか。かくして、あっという間に一週間が経ち、今日。
オレは三期生(強制)全員参加のコラボという一大危機に直面していたのだった。
配信開始三十分前くらいになって開かれたグループ通話では入るだけ入って息を潜め聞き専に徹し、そして迎えた本番。せめてあそこで軽くでもいいから喋っておけばよかったと今更ながら深く後悔する。
配信で大人数に見られながら、実質初対面みたいなものである人達と会話とかもはや曲芸と言っていい難易度なのだ。多少なりとも慣らしておくべきだったのは間違いない。…そもそも仮にやろうと思ったとしてできたかは別として。
てか、そうだよ。実質ほぼ初対面のはずだよな。一回全体で顔合わせならぬ声合わせという形で通話したとは言っても、その後の絡みなんてほぼ皆無だったわけだし。うむむ…やはり天下のオンライブに応募するような人達にはコミュ強しかいないのか…。それともロクに同期と絡んでこなかったのはオレだけで他の人達は裏で話してたとか…?
『というわけで今回の司会進行役は我、
【まおー様司会なのは知ってた】
【魔王なのに常識人すぎてすき】
【三期生の清涼剤】
【三期生の良心】
【実質まおー様か仄ちゃんの二択しかなかったからな…】
ちなみにオレが用意していた相槌デッキは今のところまったく役立たずである。そもそも周りは自然と相槌を打ちながら弾切れなどなく次々と話題をぶっ放していくコミュ強軍団なのだ。一人だけ相槌しか打ってないやつがいたら逆に浮くまである。…決して委縮してしまって相槌もまともに打てなかったとかそういうのではない。ないったらない。
『手始めに自己紹介から回していくとしようかの。それじゃあまずは──』
さて、始まってしまったものはしょうがないし…いつまでもグチグチと言っていてもどうにもならない。何とか最小限の犠牲とアクションでこの場を乗り切ることはできないだろうか。例えば腹痛で、とか。実際お腹は痛いし、これならみんなしょうがないなぁと笑って許して──
『聞こえておるか、あかり』
『ひゃいっ!?』
どこか幼げな、可愛らしい声で現実に引き戻された。慌ててチャット欄を見れば、どうやら自己紹介をやっていたらしく、その番がオレに回ってきていたらしい。
【ひゃい】
【かわいい】
【不覚にも可愛いと思ってしまった…】
【TSっ娘の悲鳴か?これが…】
『
続いて聞こえてきたのは甘くて優しい声。
始めの方が上手く聞き取れなかったが、どうやら気遣ってくれたようだった。
にしても自己紹介とは。学校でのアレを思い出してしまう。…さてはこれ微妙にトラウマになってるな??
『お、オンライブ三期生、TSバーチャルユーチューバーの
とは言えそのまま黙っているわけにも当然いかず、なんとか絞り出して自己紹介をする。
チャット欄は【普通にかわいいじゃん】だの【聞いてたより全然おとなしくてかわいい】といったコメントと【本性見せろ宵あかり】【誰だお前】といったようなコメントで真っ二つになっていた。
後者に関しては間違いなくオレのリスナー達だろう。なーにが本性見せろだ! 好き放題言いやがって! むしろこちとらこれが平常運転じゃい!
『それでは次は私ですね。初めましての方は初めまして。オンライブ三期生、
【仄ちゃんー!】
【うおっ急にすげぇ清楚…本当にオンライブかな?】
【正統派清楚枠すき】
暁仄ちゃんは青みがかった黒髪に、ところどころに混じった曙色の髪、そしてちょっと際どいエッッな服装の美少女だ。一度チャット欄に来てくれたこともあったのでこの中では唯一絡みがあったと言えなくもない。
さっきも優しくサポートしてくれたし、配信が始まる前の通話でも何かとオレに話を振ってくれていた…ような気がする。特有の勘違いじゃなければたぶん。…だとしたらまともに反応できなかったのが申し訳ない限りだ。ごめんよう、仄ちゃん…。
『はーい、じゃ次は私! こんばんゆいゆいー!
【こんばんゆいゆい!】
【こんゆい!】
【オタクに優しいギャルだ…】
柚月ゆいなちゃん。ラフな着こなしの制服を纏ったJKだ。初配信以降ゲーム配信ばかりしているゲームつよつよ系ギャル。そしてオタクにも優しいとか最高か??
ただ如何にも陽キャな見た目と立ち振る舞いはややオレに苦手意識を与えてくる。配信前の通話ではどちらかと言えばおとなしい感じだった気がしたのだが、この分だとそれもオレの気のせいかもしれない。
『ん、私は
【やる気のないがおーほんとすき】
【とってつけたようながおー】
【そのぴょこぴょこ動く獣耳と眠たげなおめめが俺を狂わせる……】
獣王百々さんはライオンをモチーフにした野生的な美女。所々が破けて肌色が見えるシャツを着ているのだが、そのお胸が凄まじい。Live2Dモデルが作り込まれているため、体と一緒に頭に付いた獣耳と後ろに見える尻尾が揺れ動いている。
お声はややダウナーな感じのハスキーボイス。歌が得意だそうなので今後歌配信も見られるかもしれない。正直めちゃめちゃ見たい。
『オンライブ三期生、バーチャルユーチューバーのあ、
【溢れ出るポンコツ感】
【くっころ】
【まだまとも】
『ポ、ポンコツではないし私はくっころなどとは言わん! それにまだまともとはなんだ、まだとは!!』
自己紹介の時点からチャット欄にいじられている彼女、秋風紅葉さんは委員長然とした真面目そうな美少女だ。クール系に見えて端々から滲み出るポンコツさが愛おしい。
リスナーからの扱いもどこかオレに似ていて勝手に一人親近感を抱いていたりする。
『さて、最後は我じゃな。初めにも言った通り、今回の司会進行役になった世統まおじゃ。よろしく頼むぞ』
【まおー様!】
【我らが王よ】
【臣下兼踏み台ここに馳せ参じました】
【本人はまともだけどコメントは一番ヤバいんじゃないですかね…】
最後、頭から二本の角を生やしたロリっ娘、まおー様こと世統まおさん。世界征服を目論む魔王…なのだがオンライブ三期生…もといオンライブ全体で見ても屈指のまともな人物であると評判である。
ちなみにオレもコミュ障なこととTSしてしまっていることを除けば人畜無害でまともな人物だと思う。
こうして、ようやく全員の自己紹介が終わったわけだが…もうこれで終了! 解散! ってことにならない? …ならないですか、そうですか…。
TS然り、今の状況然り…この世界には理不尽でどうにもならない事が山のようにあるらしい。
むしろここからが本格的なコラボスタートという非情な現実を前に、涙しか出てこないオレだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます