011 二度ある事は

「はい、今開けますね」


 カチャ


「朝食をお持ちしました」


「ありがとうございます、またそのテーブルへお願いして良いですか」


「はい、御用意しますね」


「「ありがとうございます」」


「今日はギルドまでお送りします。ユタ様と三葉様だけですが、本日は、聖様は紗々様と回復系の魔法を城にて修練するとお聞きしてます。葉月様はセバス様、執事ギルドマスターが登城いたしますので、この部屋のキッチンとリビングにて修練となります」


「そうなんだ、了解」


「では、時間になりましたら参ります」




「聖と紗々は二人だけで大丈夫なのか?」


聖「大丈夫! お薬の本もあるし、紗々ちゃん回復魔法全部理解してるって!」


紗々「先日レベルが上がった所、スキルが解放されてます、まだグレーの部分はありますが今の所は問題無いです」


「そっか、葉月はあの執事だな、なら大丈夫だな、カニは寝室に隠すか」


葉月「そうしますの! 大きいからつまずいてしまいますの!」


「虎鉄達は残ってお留守番かな? 円ちゃんどうする? あの島に行っとくか?」


葉月「部屋で凛達と待ってるって言ってますの!」


「了解、ご飯食べよう!」





「「ごちそうさまでした」」


「ごちそうさま、円ちゃん一日一回なんだね食事」


葉月「食べれるんだけど、そんなにもいらないって言ってますの!」


紗々「中々エコですね」


「昨日の一匹目まだ三分の一しか食べて無いけど、これなら狩り貯めしたら安心やね」


三葉「じゃの」


 コンコン


「はい開けますね」


 カチャ


メイド「お時間ですのでお迎えと食器を回収に参りました」


「ありがとう、あっ、執事のおっちゃんおはよう!」


セバス「おぅ、色々教えに来たぞ、最強に育てるから心配すんな」


「頼むよ、針は刺すなよ!」


セバス「なっ! チッ! アイツだな、またシバく!」


「おぅ、俺も二回シバいた!(笑)」


セバス「やるなぁ(笑)」


メイド「(苦笑)では、回収しますね、いつも綺麗にして助かります」


「うちの虎鉄達が綺麗にしてくれるんだ、スゴいだろ」


メイド「クリーンの方達が! 虎鉄様達ありがとうございます」


 と、頭を下げお礼を言ってくれる。


「そう言ってくれるとまた頑張ってくれます」


メイド「はい、よろしくお願いします、馬車へは入口の前で兵士がおりますので案内してくれます。では失礼します」


 カチャ


 台車を押し出ていった。


「じゃあ俺と 三葉はギルドに行ってくるよ、執事、セバスだったか頼むぞ」


葉月「執事のセバスなのです! チャンなのです!」


三葉「うむ、良いところをついておる、執事の王道であるな」


「「笑」」


セバス「名前変か?」


「いや、執事と言えば! って名前だから褒めてるよ」


セバス「そうか、まぁ、母ちゃんがつけた名だ、俺は気に入ってる」


「その名は誇って良いぞ」


葉月「他の名前は許しませんの!」


セバス「そっ、そうか、ありがとう?」


「強いって聞いたから、そっちの聖と紗々にも技とか教えてくれると助かる」


セバス「ふむ、そうだな聖ってのが大剣二刀流で、紗々ってのは大太刀だなよし、まかせとけ、こいつらなら今日中に物にするだろ」


「頼むな、帰りに酒でも買ってくるよ」


セバス「まかせとけ、アルバトの酒もパクって来い」


「あれ美味いしな、了解、んじゃ、行ってくる三葉行くぞ」


三葉「では、行ってくるの」


「「行ってらっしゃい!」」



 カチャ


「兵士さんお願いします」


兵士「はい、こちらです」


「他の皆はお城で修練ですか?」


兵士「はい、魔道士ギルドと冒険者ギルド、傭兵ギルド方達が来てくれます」


「移動が無い分時間が取れますね、城にも鍛冶場無いの?」


兵士「離れにありますが大分古く長い間使って無いそうです」


「勿体ないな」


兵士「アルバト様もおっしゃってましたね」


「今度見ることは出来ますか?」


兵士「はい、確認しておきます」


「よろしく、おっ! この馬車?」


兵士「はい、あっ! 商人ギルドマスター様おはようございます」


商人「おはようございます、そちらは今からギルドですね、アルバト殿は厳しいそうですが、グランドマスターですので腕は最高です、焦らずじっくりやると良いと思います」


「ありがとうございます。少し焦らないといけないですがしっかり学んできます」


商人「獣王様ですね(苦笑)、頑張って下さい、そちらは錬金術のお師匠様ですね、あやつも良い師に羨ましいです」


三葉「おはよう、あやつは見所があるでの、して商人殿、塩は入り用か?」


 とツボを出す。


商人「塩でこざいますか、ふむ、白く良い塩の様ですが味見よろしいか?」


三葉「うむ」


 胸の内ポケットから袋を取り出し中から耳かきくらいの匙を出し塩ツボから少量取り手のひらにのせ舐める。


商人「おぉ! 雑味の無い良い塩です!」


三葉「じゃろう、売りたいのだがどうじゃ?」


商人「ツボ抜きで五キロと言った所ですね、通常の塩で売値が二十万プル、これは輸送費も上乗せされておりますので利益は少ないのですが、買値は十七万プルでどうでしょう!」


三葉「どうじゃ旦那様」


「十キロ、九万プルだな、売値は十万プルまで抑えられるか?」


商人「なっ!」


三葉「今ならトン単位で卸せるぞ」


商人「市場価格を下げる気ですか?」


「安くて美味しい物が食べれるのですよ皆が、この国海無いので全て輸入ですよね?」


商人「確かに」


「それも帝国と教国みたいで」


商人「その通りです、ふむ、しばらくは流しませんが多めに引き取ります、倉庫を開けツボも用意となると······十日後はよろしいですか?」


「はい、大丈夫です」


商人「では、よろしくお願いします」


 俺達は握手を交わした。




 やっと馬車に乗り込む。箱馬車で小さな窓が、一か所開いているだけ、席は背もたれが申し訳程度斜めになっておりまだ座りやすい。


兵士「では案内しますね(苦笑)」


「よろしくお願いします(苦笑)」


 扉を閉め御者は私服の兵士さん。


三葉「ずいぶん安くしたのう」


「元の世界だと一キロで千円しないのに、こっちだと五キロがニ十万だよ! もっと安くしようよ全く!」


三葉「ふふふふ、確かにの、肉等は安そうだが野菜も、調味料は産国が有利過ぎじゃな、輸送手段がこれじゃろ」


 床を指差す。


「だな、まぁ、ここにいる間だけでも安くて美味しいがいい! まぁ、我儘だな」


三葉「人間手の届く範囲で精一杯じゃ、ん? 動くの」


「痛っくないけどこの振動は、座布団二枚だな、ほい座布団」


三葉「おうすまぬ、ビックリじゃの石畳の振動でこれじゃろ外の道など座ってられんぞ」


「異世界の人はお尻強いのか? それともエアーチェアー!」


三葉「なわけ無いのじゃ! この振動の中 空気椅子出来たら変態じゃ!」


「婆ちゃん家で乗った軽トラックも、なんじゃこりゃ! だったがこれだと軽トラック乗り心地良かったのな」


三葉「クルマはバネで衝撃を吸収しておるのじゃろ? 馬車には付けられんのか?」


「物がなぁ、あ、クルマあるよ、こっちで作れるか見てくれるか?」


三葉「車あるのかの、見る分には良いが早めにの、これは毎日はツラいぞ」


「今晩見せるよ」


三葉「たのぉぉぉ~! なんじゃ!」


「急に止まったな」


三葉「盗賊!」


「マジか! 武器出して俺の横に!」


三葉「うん!」


「くそっ! まだ防具用意出来てないってのに!」


 三葉は俺の背につかまり震えている。


「絶対お前だけは護る、俺がヤバかったら転移で送るから安心しろ」


三葉「嫌です! せっかく、やっと好きな人とこうして一緒に居られるようになったのに!」


 三葉は俺の前に回り込み


 ちゅ


三葉「ずっと大好きです」


「わかった二人とも生き延びるぞ!」








三葉「静かです······」


「そうだな······」


三葉「動き出した?」


 窓を覗くと、門が開いており、兵士さんがいました。


「外門前で······止まっただけやん! そういや、まだ城の中やん! 盗賊いるわけ無いやん!」


三葉「うぅ······本気告白してしまいました」


「あぁ、ありがたく受け取っとくよ、はぁ、いつからだ」


三葉「駅前の商店街にある本屋で釣り雑誌を立読みしていて、付録の仕掛けを落とした時 バラけてしまって棚の下の隙間に入って取れなくなった時にその雑誌を旦那様が私から取り上げそのまま買って帰りました」


「ん?」


三葉「二回目も同じ本屋で同じ雑誌月が替わり新刊ですが、今度は落とさない様に座って読んでいたら先月号を紙袋に入れて私にくれました帰って見ると手作りの仕掛けが、入っていました」


「あっ!」


三葉「三度はヨットハーバー横の堤防からあの時の仕掛けでアイナメ釣りをしていて、三十一センチのアイナメ、旦那様は網を貸してくれました、一緒に釣りをして帰りにラーメン食べたの憶えていませんか?」


「ごめん男の子だと思ってた名前聞いてなかったな」


三葉「うぅ、髪の毛全部毛糸の帽子の中でしたし、今も大きくないし」


「最初が十一月号で、次が十二月号の時で、釣りは一月か、そりゃ耳までかぶる帽子も普通だし、海なら潮風で ぱしぱしになるから俺も毛糸の帽子やもんな、それに防寒着だから大丈夫だ! まだまだ大きくなるって!」


三葉「はい、末永くお願いします」


「召喚初日の言葉がほんまになりそうや······ハーレムかぁ(苦笑)」


三葉「帰れないのでこの世界を楽しみましょう!」


「釣りもしたいな」


三葉「はい」



「また止まったな? 着いたか?」


三葉「ギルドは近かったの、一緒におりるか?」


『おらぁ! 下りて来い!』


「「盗賊?」」


 コンコン


「はい」


兵士『すいません、何やら用事がある様で囲まれてます、護衛は十名居ますが数が多いので』


「用件は?」


兵士『何やら誰か捕まったのがユタ様のせいだとか』


「冒険者ギルドのか、しゃーないか出ますので開けてください」


三葉「ん? 昨日のハゲチリかの?」


「みたいやな」


三葉「二十人か、昨日は二万プル、今日はいくらかの」


「(苦笑)だな、ちょい行きますか」


馬車を降りると、あらまあ団体さんですやん。



「俺がユタだが何の用だ?」


「先日冒険者ギルドでは世話になった」


「してないよ? どちら様?」


「ああ、俺は初対面だな、俺の部下が捕まったと言えば解るか?」


「ん? 誰か捕まったのか」


「······お前が蹴り倒した男だ!」


「あぁ~居たなぁ、いきなり蹴りかかって来たから足引っかけて転ばしてやった奴だろそれ」


「······そうだ、それの落とし前を付けてもらう決闘だ」


「お断りしますけど」


「なっ! なぜ受けん!」


「メリット無いし」


「決闘を受けないのは恥、笑われ者だぞ!」


「ん? 笑われて嫌なの?」


ハーゲ嫡男「そこの兵士! 決闘の書類を書け! 私はハーゲ男爵の嫡男! その男にパーティー戦を正式に申し込む! 良いな!」


兵士「はぁ、ハーゲ男爵領を賭け・・・・・・・・・決闘と、はい、こちらにサインを」


ハーゲ嫡男「うむ、よし! お前もサインだ!」


 兵士さんが書類を渡しながら小声で言ってくれました。


兵士「・・・・・・勝つでしょう・・・・ついでに・・・・・・・・男爵領も貰えます


・・・・・・・・・・いやいや要らないって


兵士「・・・・・・・・・ハーゲ男爵の領地は・・・・・・・・お米の産地ですよ・・・・・・・・・お好きと聞いたので」ニヤリ


 なるぼど! ニヤリ


 さらさらとサイン


米兵士「はい、両者サインを頂きました決闘を執り行います、場所は冒険者ギルド修練場となります、審判は冒険者ギルドにて手配いたします。では移動をお願いします!」


 ハゲ男爵嫡男が、肩で風を切りながら冒険者ギルドに向かうニヤニヤしながら後を追う。


三葉「嬉しそうじゃの?」


「お米の産地が貰えます!」


三葉「何と! 良いことじゃ!」


「米兵士さん場所はどのあたり?」


米兵士「王都の南門から出て、一つ目の領地ですね 馬車で半日でしょうか、平坦で川、湖があり農耕に適しておりますね、食肉の放牧もやっております」


「それに、お米の産地!」


米兵士「お米の産地です(笑)」


「良い仕事です(笑)」


「「はははは!」」


 冒険者ギルドで受付しているとやってきました。


お兄さん?「あら先日ぶりね今日はどうしたの?」


 お兄さん? が話しかけてきた。


「あっ、先日ぶりですおはようございます、今日は男爵さんの嫡男と決闘です」


お兄さん?「あら、そうなのかわいそうね男爵」


「そうですね、男爵の領地貰えちゃうんです」ニヤリ


お兄さん?「あらあら、当主様も気の毒に、サインして受付通ったら王様でも覆せないわよ、クスクス」


「それは楽しみですね、クスクス」


お兄さん?「あら~通っちゃった、クスクス」


「お米食べ放題ですね、クスクス」


お兄さん?「今度、食べさせてね、クスクス」


「炊きたてでおかずも、クスクス」


三葉「旦那様、ハゲが来るぞ」


「ハゲて」


ハゲ「書類は通った! これで逃げられんぞ!」


「みたいだね、王様でも逃げれないしね」


ハゲ「そうだ! 修練場へ行くぞ!」


「は~い」


 修練場にやって来ました!


アルト「これより決闘を開始するに当たり、冒険者ギルドの審判をする、白金ランクのアルトです。」


アルト「公平なる判断をする事を神に誓います」


アルト「挑戦者前へ!」


 ハゲが修練場中央へ。


アルト「受領者前へ!」


 俺も真ん中に向かって出ていく。


アルト「挑戦者ハーゲ男爵嫡男テール冒険者金ランク!」


 うおおおおおおおおおおおおっ!


 大歓声だ!


ハゲテルだ!


アルト「受領者ユタ冒険者ねずみ色ランク!」


 ························


 いいもん!


アルト「ギルドの規定により模擬剣での決闘とする!」


アルト「勝敗の後、勝者敗者のくつがえりは無しとする!」


アルト「敗者は速やかに掛け金を勝者に! これは王にも覆すこと叶わぬ!」


アルト「勝負の結果の死について罪には問われぬ事とする」


アルト「両者神に誓うか!」


「「はい、神に誓います!」」


 この台詞はお米兵士さんに聞きました。


アルト「では······始め!」


 ハゲテルが模擬剣を右下段に構えダンッと中々のスピードで向かってくる。


 範囲に入ったのか下から切り上げながら突っ込んでくる。


これはそのままショルダーアタックかな? トゲ着いてますやん!


 剣が振り上がりきる寸前に左前に進み、お腹が隙だらけなのでお腹に。


ドンッ

 ズザザザッ


 ハゲテルは起き上がってきませんね?


 アルトさんハゲテルの状態を確認。


アルト「テール気絶! 勝者ユタ!」


 ························


 いいもん!


アルト「ユタ君、この結果票を持って受け付けしてくれるか?」


「はい、あのハゲテルじゃなくてテールさんあのままでいいの?」


アルト「ハゲテルか(笑)、ハゲとるなぁ、ハーゲ男爵様も可哀想に王都で文官などの仕事があれば良いが、テールは廃嫡だろうなまぁ、ワシは知らんがな」


「俺も、お米が欲しいだけですし、テールなんてどうなろうと知りません(笑)」


「「はははは!」」


アルト「良し行け、王への書類はギルドから提出するからそのうち連絡があるだろう」


「ありがとうございます。買い取り作業頑張って下さい」


アルト「ありがとな」




「お待たせ」


三葉「弱い奴じゃったの、あれなら妾でもワンパンじゃ」


「金ランクであれだから俺達喚ばれたっぽいな」


三葉「くくく、かもしれんな、受け付けじゃな、行くか」


「だな」



 前に三人ほど居たので少し待ち順番が回っ来た。


「こんにちは、これおねがいします」


受付嬢「はい、確認しますね、ギルドプレートを提出お願いします」


「あっそうだった! 初めてだったから忘れてました(笑)、どうぞ」


受付嬢「確認しますね、ねずみ色のユタ君ね、昨日登録だと忘れちゃうか(笑)、次からは忘れないでね」


「はい(笑)」


受付嬢「あら、決闘を! 金ランクに勝利······」


 お姉さんが小声でぶつぶつ


受付嬢「危険なことしちゃ駄目だよ。でも勝ってるし書類も大丈夫? だし領地賭けてたのね、それで負けるなんて(苦笑)」


「向こうから来たので俺には何とも(苦笑)」


受付嬢「そっか、はい完了です。これはユタ君とギルドと王様で管理するから大丈夫だよ、ユタ領主様(笑)」


「(苦笑)お米が欲しいだけなんですがね(笑)」


受付嬢「(笑)では、本日はありがとうございます、次は依頼をお願いしますね」


「はい、ぼちぼちします」



「じゃあ行こうか」


三葉「うむ」


米兵士「ご免なさい、一度城に······」


「米兵士さん、仕方ないですよね、了解です」



「三葉どうする?」


三葉「奴に指導する約束があるでな仕方なしじゃ」


「頑張ってね」


三葉「うむ」


 錬金術ギルドまで少し歩いて別れまた馬車でお城に帰った。




「王さん忙しく無いの?」


王「忙しいわ! 面倒臭い事になってるではないか!」


「俺のせいか?」


王「違うが、違うがこの苛立ちはどこに向ければ良いのだ!」


「ハゲテルじゃない?」


王「ハゲテル?」


「ハーゲ男爵嫡男テールでハゲテル」


王「ぶははははは! 確かにハゲとったわ!」


宰相「王様、ハーゲ男爵様の登城を進めなければ」


王「宰相、ハーゲ男爵の召喚じゃ、テールも同席」


宰相「はっ!」


王「落としどころは管理監として置くくらいか、悪さをしてなければ良いが、宰相、ハーゲ男爵領に王の名を入れ書状を、全ての書類審査だ、ユタ殿は貴族ではないが領主だ」


宰相「流石に貴族位は必要かと、先日の医療の方法を見つけたでは?」


王「細菌の話しか、国内の治療院に徹底させれば数多くの者が救える事になる。この功績なら子爵は行けるな、伯爵は他の者の反発もあるだろうな」


宰相「そうですねでは、全貴族もまだ王都におりますし直ぐに手配します」


王「うむ」




王「名前だけの子爵だ、許してくれ」


「色々しがらみあるよな、まぁ、いつでも辞めれる様にはしといてね、帰れないならこの世界の色んな所を見てみたいやん」


王「はぁ、爵位は持ってけ、冒険者では入れない所もある、ちょっとは役に立つ、後パラミスを、泣かせるなよ」


「それ何とかならないの?」


王「ならんな、はぁ、酒飲んで良いか?」


宰相「駄目に決まってます! 職務に戻って下さい!」


「では鍛冶士ギルド行ってきますね」


 と言って執務室を、出た。


「メイドさん鍛冶士ギルドに行きたいんだけど」


メイド「はい?」


「城の出口まで道案内頼めないかな」


メイド「わかりました、ではご案内致しますね」


 ナビ、時間かかるね。


『ですね転移は見せない方が良いでしょうね』


(何か歩きながら修練出来るの無いかな?)


『危険察知はお勧めですが城内ですしね、隠密もメイドさんに気付かれなくなるとダメですし、気配察知等はどうですか? 壁の向こうなどの気配がわかるようになるスキルです、ダンジョンだと隠れている敵の気配がわかれば不意打ち防止になりますよ』


(よしそれ採用!)


 え~と上? ん!


「スラさん!」


メイド「きゃっ、どうされました!」


 上を指差してあげる。


「スラさん、鑑定!」


 ●スライム


メイド「ああ、スライムですね、この子はクモの巣とか食べてくれるんですよ、良い子なので苛めないで下さいね」


「おぉ! 良い子苛めませんよ」


メイド「黒っぽいのは苛めても大丈夫ですよ」


「悪い子も居るんやね」


メイド「その子は何でも食べちゃいます、お菓子取られちゃいました(苦笑)」


「それは悪い奴ですね、見つけたらしかっておきますね(笑)」


メイド「はい、では行きましょう」


『覚えましたね』


(ですね、次無い? 今のでレベル75とかまだ上がるのって感じやし)


『75ですか、MAXはいくつでしょうね(苦笑)、宝感知はどうですか? お城にはお宝有りますから、ダンジョンでも役立ちます!』


(お宝良いですね、やってみますか!)


 お宝ぁ~お宝~ぁぁ~


(だいぶ下なんだけど)


『ダンジョンでしょうか?』


(あるって言ってたね、でもそこまで深くなさそう何だけど、二か三階下? 地下室くらいかな、これは、ダメなやつかな宝物庫とかかもね(苦笑)、ってかこれレベル無いよ!)


『宝のみの感知だからでしょうか?』


(かもね、ダンジョンかぁマップとかあれば、助かるけどなぁ)


『あの、私が居ればマップ必要無いのですが』


(あっ! そうか! 世界地図出来るくらいなら固定範囲なら分からない訳ないよね)


『そうですよ、メイドさんに頼まなくても行けるのですから』


(あっ、ごめんなさい)


『わかればよろしい!』


メイド「この通用口抜ければ城外ですお気をつけて」


「ありがとうございます、行ってきます」


メイド「では」


(馬車じゃないんや、まぁ、ぼちぼち行きますか)


『はいナビしますね』


(頼むよ)


『言いにくいですが、ギルドの真逆に出てますね』


(え? 通用口は内鍵だったし門番居ないから、無理だな、転移は?)


『人通りが多く無理ですね、歩くと一時間くらいですか』


(歩くとしますか)


「きゃー!」


「何だ!」


『その角左です』


「了解!」


 荷台を引いたお婆さんと女の子が4人の男に囲まれている。


(やっつけて良いよね?)


『声かけをした方が良いでしょうね』


(了解)


「こんにちわぁ~すいませ~ん」


「何だガキ! 向こう行ってろ!」


「助けておにいちゃん!」


「黙れ! おとなしくしろクソガキ!」


「怪我させるな! 値が下がるだろ!」


(確定だからもう良いよね)


『はい!』


 シュ

 ドドドド


 ドサドサドサドサ


「大丈夫ですか?」


「······」


「おにいちゃん、ありがとうございます」


「どういたしまして」


「お婆さんも大丈夫ですか?」


「······」


「お婆ちゃん耳が聞こえないの」


「そうなんだ、この荷台のお野菜運んでるの?」


「うん、お城が終わって次は大通りの宿屋さん」


「そっか、気を付けてね」


「その人達大丈夫? 衛士さんに連れていかないと駄目だよ」


「おにいちゃん力持ちだから連れて行っとくよ」


「うん♪ ありがとう! じゃ~ねー」





 さて、縛るか······。


 ずるずるずるずるずるずるずるずる······。


「ぐぁぁ」


「起きたか?」


「お前は! さっきのガキ!」


人攫ひとさらいが誰の依頼だ?」


「誰が喋るか!」


「あっそじゃあ喋りたくなったら教えてね」


 ずるずるずるずるずるずるずるずる······。


「頼む止まってくれ」


「誰の依頼だ?」


「······」


「思い出したら教えてね」


 ずるずるずるずるずるずるずるずる······。


「喋る」


「誰の依頼だ?」


「ハーゲ男爵だ」


「ふ~ん、人攫って来いって?」


「ああ、女の子を欲しがっていて、あの子を城で見たそうだ」


「依頼書とかあるか?」


「俺の腰の鞄にある」


「見させて貰うね」


(金貨二枚って二百万プル?)


『ですね』


(安くない? 二百万って)


『命が安いですから』


はぁ、今日は鍛冶出来るのかな······。


(そだ円ちゃん聴こえる?)


『はい聴こえますよ』


(今、部屋だよね誰かいる?)

『部屋ですか? 誰もいませんよ』


(ちょっと転移するね)


 とりあえず気絶させるか。

 

ドドドド


 まとめて縛って転移!

 パッ



(ただいま)


『お帰りなさい、そちらの方達は?』


(ん? 人攫いだよ、ちょっと人呼んでくるね)


『はい、見張っておきます』


 よろしく。



王「また······」


「すまんな、見てしまったからね」


王「今日夕刻に皆集まる、はぁ、この依頼書で、はぁ」


「ごめんなほれ飲め」


 酒をコップに注ぎ手渡す。


 ぐびぐび


宰相「部屋の奴らはとらえ投獄しましたって、王何を飲んでますか!」


王「酒を」


 ぐびぐび


「瓶ごと置いておくよ、俺は鍛冶しに行ってくる」


王「ユタ殿、今日は休まぬか? 次は泣くぞ」


「二回あっただけだろ、今度は馬車で行くから」


王「そうしてくれ、夕刻には戻るのだぞ」


「ハイハイ宰相さん、こんなだから大目に見てあげて」


宰相「はぁ、少し聞きたい事もあるのですが後程」


「行ってきます」



(はぁ、こっちがしんどいよ!)


『今なら冒険者ギルドの修練場が無人ですよ』


(すばらしい転移!)


宰相「ユタ様、ちょ!」

 パッ



(到着!)


『······見られました』


(何を誰も居ないよ)


『宰相さんです、転移の直前部屋から、扉開いたままでしたから音も鳴ってませんでした』


(マジか······)


『お二人には知られたかと』


(はぁ、しゃあないか、気を取り直して行きますか!)




 買い取りのアルトさんが居たので挨拶をしましょう。


「アルトさん先程はどうも」


アルト「何で修練場から?」


「外せない事情がありまして、修練場からです」


アルト「まぁ、良いか、あれがまだいるが」


「はぁ出れないじゃないですか! シバいても良いですか?」


アルト「良くはないがやって欲しいくらいだ、朝採りの薬草が入る時間だってのに俺がシバくか!」


受付嬢「あら居たのユタ君、アルトさんと仲良いのね」


「さっきの決闘で審判して貰いました! カッコいい采配でしたよ」


受付嬢「ですね、後十歳若かったら私からアタックしてたかもね(笑)」


「衛士さん呼んだの?」


アルト「衛士は、貴族に弱いからおさめられないな」


「こそっと出てみます、鍛冶士ギルドにアルバト待たせてるから」


アルト「無理だと思うが行ってこい、アルバトのじいさん怖いからな」


「はははは!」



 受け付けに集中してるから行けそう。


 とてとてとて、後四メートル! って入口から人が、いける!


「いたぞ!」


「げっ!」


 見つかった(苦笑)。


ハゲテル「貴様! やはり隠れていたか!」


「はぁ、ハゲテルさん家に帰った方がいいよ」


ハゲテル「ハゲテルではない! ハーゲ男爵嫡男テールだ!」


「どうでも良いです、また決闘ですか? 掛けるもの有るんですか?」


ハゲテル「取消せ!」


「なにを?」


ハゲテル「決闘の事だ!」


「はぁ、王様でも覆せないのに俺が覆せる訳無いでしょうが」


ハゲテル「でっ、では領地を掛け決闘だ!」


「何で?」


ハゲテル「なっ、ハンデをやる!」


「俺がさっき勝ったのにさらにハンデくれるの?」


ハゲテル「とりあえずこれにサインだ!」


 決闘の書類を、渡してきたが


「で、貴方の掛け金は?」


ハゲテル「は? 掛け金? 領地だ!」


「領地? 俺のだよ」


ハゲテル「き、金貨十枚だ!」


「ん~安すぎですね、不成立です」


ハゲテル「さっきはこれで通っただろ!」


「さっきは、領地を持ってる貴方からの決闘で、俺がその領地と釣り合う掛け金が無いにも関わらず採決しましたから通りましたが、俺は金貨十枚では領地出せませんよ」


ハゲテル「クソっ! どうすればいい!」


「ハーゲ男爵様に相談したら良いと思うよ」


ハゲテル「それが出来ればやってる! このままだと廃嫡になる何とかしてくれ!」


「何で俺が? 絡まれてるの俺だよね?」


兵士「そこまで! ハーゲ男爵嫡男テールだな!」


ハゲテル「あん! そうだが今は忙しい!」


兵士「王より登城命令が下されている、召喚に応じよ!」


ハゲテル「登城命令ですか、父は」


兵士「ハーゲ男爵他、全貴族だ」


ハゲテル「わかりました。おいお前取消しておけ!」


兵士「ユタ様」


「はい、何でしょう」


兵士「王が会いたいと」


「会いたくないって言ったら? 鍛冶がしたいし」


兵士「申し訳無いです、同行お願いします」


「はぁ、はい」







 本日三度目の執務室です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る