009 それぞれの

 ◇魔法戦闘職組 五名


「改めて 魔法士ギルドのグランドマスターです。よろしくお願いします」


「「お願いします!」」


「はい、元気があって大変よろしいです。さて、魔法戦闘職との事で属性魔法が使えるわね。火水風土それと、人族では珍しく植物魔法が使えると聞いています。」


「植物魔法珍しいって楓ちゃん!」


「あのにょきにょきって 農業するとすぐ収穫できるね!」


「動きは遅かったけど 縛っちゃう時は完璧!」


「言ってた 花吹雪出来るの?」


「珍しいんだ! リストの結構上の方にあったよ? あっ! 花吹雪出来る! 生活魔法の風使えば出来たよトイレでだけど! やってみるね!」


「ん~ひらひらはらはら~くるくるくる~」


 桜の花びらが舞い降りてきて、風がくるくると花びらを舞わせる、そして花びらの数が増え楓の姿を見えなくした瞬間そのまま静かに床に花びらが落ちた。


「あっ! 消えた! でも綺麗だった!」


「えっ! 魔法? って魔法だけど どこ?」


「スゴい! マジックショーみたい!」


「綺麗だった! 楓どこぉ~!」


 皆が座っていた場所の後方にあったテラスから楓がひょこっと顔を出した。


「どう、消えたの解った!」


「「全然解りませんでした!」」


「うふふ、解っちゃいました」


「えへへ、やっぱり先生には解っちゃいますか(笑)」


「え~」「むぅ~」「うぅ~」「でもスゴい!」


「種明かしは、花びらに紛れてテラスに走って隠れました!」


「「ずるッ子だぁ~!」」


「ずるではありませんよ、立派な戦術です」


「やったぁ!」


「で、お片付けは?」


「生活魔法! クリーンさんお願いします! ピンク色で!」


 ピンククリーンがくるくる螺旋を描きながらお掃除、終わると楓の元に戻って来た。


「偉いねぇ~ありがと~」


「貴方も普通に使えるのね、驚愕だわ(苦笑)」


「さっきの支援職の皆の見て羨ましかったから後ろでこっそり練習? あっ修練! でも形は簡単なのしか難しいの」


「「私もこっそり修練!」」


「いえいえ、先程も言った通り今まで出来なかった事です」


「次は可愛いフェレットに出来るように修練!」


「私 九尾の狐!」


「私は、黒猫さん! 箒に乗るの!」


「ん~私は八本足のお馬さん! えっと、すれいぷにる? スゴく速いって! 大きくして乗せてもらうの!」


「私 犬かなぁ~まだ決められないけど、可愛いのがいい!」


「ははは(苦笑)、私も修練しようかな、でもスゴいわ、魔力操作のレベルも高そうだし、他の属性スキルも修練してね。そうそう! 植物魔法がめずらしいって、エルフが主流なの。辺境の農業領や農村では人族でも見掛けるわね、この王都で確認しているのは皆がエルフね」


「「はい! エルフ居るんだ!」」


「では明日からになりますが、火水風土光闇の6属性をやっていく事になりますが、得手不得手がありますので、挫けずにね」


「私、雷バチバチってやりたい!」


「最近少し太ったから軽くなりたいから 重力」


「「うんうん」」


「農業したいから雨とか降らしたら楽かな 天気魔法?」


「テレポート! 念力! みたいなの無いのかな?」


「テレポートは、転移かな? ん~私はタイムトラベル! だから 時間? 時空間? 魔法かな」


「古代魔法にあったとされているわね転移は、後のは、天気は神様のお仕事ね、重力はわからないですが、雷も天気でしょうね、時間の魔法は聞いた事も無いですね」


「そっかぁ~静電気あるから行けると思ったけど ん~」


「重力も引力? だからこう中心に集まれ~や、あっち行け~で、出来るかと思ったのに」


「念力は私もそんな感じで思ってた! テレポート=転移は移動楽そうだしお城広いから(笑)」


「タイムトラベルやっぱり神様の係りかなぁ」


 とか思ってたら部屋の隅の方から笑い声が、用務員さんと髭もじゃのドワーフさん? と困った顔した宰相さん。


 元の世界では、カッコいいおじさま・・(おじ様だとカッコよ過ぎだし、平がながちょうどいいかな)だったけど、今はスゴく可愛い! 弟に欲しい! って心で叫んでしまいました。


「いたですのっ! こっちですの! おいで~ですのっ!」


 後ろで葉月ちゃんが空に向かって両手で手を振り何かを呼んでいる様だ······。


「いきなり現れたわ······」


 先生の方からは急に現れた様に見えたらしい、あっ前髪が上に上がってる! 顔見たこと無いからちょっと見てみたいかもとか思ってたら


 ズシン!


 なっ!


「よく来てくれましたの! 私は葉月ですの! お友達になりましょうですの!」


 と、葉月ちゃんの三倍は背の高さのある大きな鷹? に自己紹介して、お友達になりたいと······。


「ファイアーエンペラーイーグル! 黒ランクの魔物が何で!」


 黒ランクの魔物らしいが、鷹は首を傾げてちょっと可愛い。


 クエッ


 とひと鳴き。


「ふぁいあぁえんぺらいぃぐる! カッコいい名前ですの!」


 クエッ


「名前無いですの? つけていいですの?」


 クエッ


 会話が、成立している様だ······。


「府愛ちゃん? 円ちゃん? 井伊ちゃん? 井伊直弼さんみたいだから歴史の人? だから無しですの! ん~」


 悩んでいるようだ、井伊はその響きあるよね、私は府愛ちゃんに一票!


「円ちゃん! 円ちゃんはどうですの?」


 クエッ!


「やったぁですの! 今日からお友達ですの! 円ちゃんよろしくお願いしますの!」


 クエックエッ!


 円ちゃんで、お友達にもなったようです。


「戻りますからここに乗って下さいの!」


 と葉月ちゃんは手を広げカモン! 状態、円ちゃんはひょいっと少しジャンプして葉月ちゃんに乗っかった······持てるのね······。


 そしてくるりと方向転換してテラスから部屋に入ってくると私達に気が付いたらしく。


「あっ! 皆この子 円ちゃんですの! ふわふわですの! お友達に成りましたの! 皆も仲良くして下さいの! よろしくお願いしますの!」


 円ちゃんも頭を下げ クエッと挨拶をしてくれた。


「「よろしく! 円ちゃんカッコいい!」」


「良かったねですの! 皆ありがとですの! では行きますの!」


 とてとてと軽やかに立ち去っていく。


「テイムされた······黒ランクの魔物を屈服もさせずに言葉を交わすだけでなんて······テイマーの勇者······これは本当に冒険者ランクSに成りそうね」


「鳥さんもカッコいいね!」


「首傾げるのは可愛かった!」


 うんうんうんうん


「足をお腹にしまっても三倍くらい背が高いね!」


「羽抜けたら一本貰えないかな? 部屋に飾りたい!」


「それなら、ドリームキャッチャーだっけ? 輪っかにアミアミで羽がついてるヤツあれ作ろうよ!」


「私それ部屋にあったよ! いい夢捕まえるって? だったっけ? 悪い夢が入らないようにするんだっけ?」


「悪い夢の方を捕まえるってお母さん言ってたよ!」


「貰えるか後で聞いてみようか!」


「うん!」」

「「ファイアーエンペラーイーグルの羽は魔法の杖の素材にも成るわね、ファイアーなので火属性を強くしてくれるわ」


「スゴいね~」


「テイム? してみたいかも!」


「乗って空飛んでみたい!」


「「私も飛びたい!」」


「でも、今回本当に規格外ですね私も五回召喚に付き合ったけど ここまでのは居なかったわ戦闘職は、わからないけど貴方達も含めて規格外よ(笑)」


「そうなんですか? って五回?」


「そうよってそうか わからないわよね」


 と言って、立ち上がりフードを外しローブを脱ぎ椅子に掛け、大きなリュックも椅子に掛けた、声の若い腰の曲がったお婆さんだと思ってたら、金色の髪を結って後ろで束ねている 、そして緑色の瞳に少し長くて尖った耳、身長は私達よりも低く見た目は幼女なエルフ?


「私はエルフなの。二百六十年······とちょっと生きてるわ。人族で例えるなら十歳いかないくらいね、最年長のエルフは二万五千年ほど生きてるわよ しかも私より背が低いし(笑)」


「「ほぇ~! 可愛い~!」」


「ありがと(笑)、それだけ生きていても古代魔法はわからないのよ、スゴく昔にはそれはもう魔法が発展してお空の星にまで行けたらしいの、今はごく僅かな書物が残ってるだけで詳しい事はわからないのよね」


「転移はあったのよね! ピュンッてやりたい!」


「遅刻しそうな時は便利そう!」


「後 浮いて飛べるのあったら便利じゃない?」


「おぉ! バトミントンのシャトル屋根に引っ掛かった時便利そう、うちの家の雨どいにいっぱい詰まってるんだ······」


「お小遣いで買った十個入り三個が一日で半分に成ってラケットで取ろうとしたらラケット壊れるしね······あの月はお小遣いピンチだったよ······」


「今年のお正月の話よね? お年玉で助かったって言ってた!」


「そうそう、可愛いスカート買うつもりだったのに厳しくなるから我慢したよ······」


「私はコート······」


「ん~、浮遊は記述が無かったわね、残念だけど。はいはい、話を戻すわね、明日から朝十時から夕方四時まで魔法の修練になります。お昼御飯はギルドの職員用で食べれるはず、多分お城の御飯脂っこいでしょ? うちのギルドは身体動かしたり殆どないからあっさり系で食べやすいわよ!」


「物凄く助かります!」


「「うんうん」」


「じゃあ今日は終わりね! って貴方達もそこまで生活魔法使えるのよね······維持までは未だみたいだけど黒は、一旦保留で白金は、良いかな? うん! 明日には貴方達は白金ランクにするわ!」


「「やったぁ! ありがとうございます!」」






 ◇戦闘職組 七名


「戦闘職の皆、俺が冒険者ギルドのマスターだ、よろしくな」


「俺は傭兵ギルドマスター、主に戦術関係を指導する、よろしく頼む」


「私は、商人ギルドのマスターです。先程も言った、アイテムボックス、算術、鑑定、直感で、算術と鑑定をメインに馬車と、馬のお世話などを教えていく予定ですよろしくお願いいたします」


「「よろしくお願いします!」」


「まずはそれぞれの戦い方をメインに修練、座学も必要だ、戦術も地図の見方や、地形なども本来なら実地で行きたい所だが、今回は城裏での実地で後は図解入りで座学が落としどころだな」


「実地も今回は一月ひとつきは討伐禁止だと言うことで、見てもらう事は出来るから自分が出来るかイメージしてくれ討伐は、一月ひとつき後からのダンジョンからになる、レベルが上がると色々変わってくるから楽しみにしていろ!」


「魔法の修練は?」


「それは魔法士ギルドからサブギルドマスターが来てくれる」


「魔法は使いたいよな!」


「「うんうん」」


「喜べ! 立場はサブだが魔法の威力は大陸でも五本の指に入る大魔法士だ、只のファイアーボールで一メートルはあるからな、オリジナル魔法も使いドラゴンを退けた事も有る凄腕だぞ、俺もこっそり習うつもりだ!」


「俺もだ、あの方の魔法は傭兵でも役に立つしっかり学ぶぞ」


「私は以前に旅先が同じで同行した時に結界魔法を教えて頂きました。馬車と馬、テントの範囲を結界で守るだけでも、見張りが寝ている仲間を起こす時間が取れますから学ばれることをおすすめします。」


「「すげー!」」


「じゃあ、よし端のお前から順番に職と、スキルを教えてくれ」


「僕は、槍術士で身体強化です」


 こいつはデカい武器持たせると良さそうだな。


「僕は、双剣士で身体強化です」


 こいつは色んな武器持たせて行けそうかな。


「僕は、軽業士で身体強化です」


 こいつはオーソドックスに片手剣と盾だな。


「僕は、重戦士で身体強化·金剛です」


「金剛は良いな、レベルが上がってくるとケガしにくくなるぞ、後耐性系をつけるのも良いな、すまん続けてくれ」


「俺は、魔法剣士で火属性魔法·物理耐性だ」


 伸び代が感じられん······良い選択だが素質は何ともならんな······。


「俺は、魔剣士で呪い耐性だ」


 こいつもダメだな、そもそも魔剣は ほぼ手に入らない上に呪いは種類が多い、単純にピンポイントでの耐性が必要だ、だから出回らないで国庫に封印されているし、普通の剣士の方がステータスの上がりが上だしな。


「俺は、勇者で限界突破·光魔法です」


 こいつは馬鹿か! 勇者はトラブルメーカーじゃないか! 限界突破も使った後は筋肉痛で動けないし馬鹿か! 光魔法は良しだな しかしこいつも素質が見えん!



 こそこそと小さな声で。


「おい······勇者様とは言うが、本当の勇者いるじゃないか······」


「俺も聞いてなかった······抜けて貰いたいが······」


「私も知りませんでした、勇者は商人にとっても鬼門ですよ······護衛で雇ったら確実に盗賊に会い、魔物に出会います」


「ギルドでの登録の時は受付誰がした?」


「新人だ······」


「「知らなかったのか······」」


「宰相に······」


「「お願いします」」


「なっ! 俺がか? 傭兵は権力と金に弱いぞ······」


「商人もですね······」


「ぐっ······わかった、とりあえず自己紹介の順にパワータイプの武器が良い、次は万能タイプだあらゆる武器を習得させる、次はオーソドックスに片手剣と盾、重戦士はそのまま、こいつがこの中で一番だ、次は······バランス良いのに素質無し、次は馬鹿二号だな、最後が馬鹿の優勝で罠&素質無しだ、後の三人は体力アップだけにした方がいい。よし俺は宰相に文句言ってくる」



「ん? ギルドマスターどうされました?」


「勇者」


「あはは」


「知ってやがったか、どうするつもりだ? ヤツはトラブルメーカーだぞ一緒の行動は避けた方が良いが無理だよな?」


「はい、スキルも光魔法は良いですが、限界突破は頂けません自爆スキルです」


「軟禁でもするのが正解か?」


「まずは体力ですかね身体強化と、素質の方は?」


「無い!」


「どうしましょう······」


「まぁ何とか頼むよ俺は!」


「なっ!」


「ファイアーエンペラーイーグル! さっきから危機感知が反応すると思ったが······大人しいな?」


「そ、そうですね、あれ、あの方は調理士の」


「師匠の所か、ちょっと合ってくる、勇者の件頼むぞ」


「何とか······(苦笑)」




「座学は、マスター三人でやる事にする、しかしまずは体力だ! 一か月で、身体をある程度まで作る。個々に指導する者を付けていくが、重戦士は騎士団だな、同じ重騎士いるしな、最初のヤツもだが、団長さんが武器的に良いだろう、次は双剣だったか、器用そうだからうちのサブと同じタイプだな、三人目のお前は俺が鍛える残りは冒険者だな、お前達は癖のある職だから色んなヤツが居る冒険者が最適だ、アイツが振り分けるだろう。お前達運動で身体を鍛えていたか?」


「皆、運動系の部活でしたからある程度は」


「そうか、よし スタミナ系、スピード系、筋力系を合わせてまずは、身体強化スキルのレベルアップを進める、自己修練もやれるだけやった方が良い、自分から進んでやると習得も早いし、レベルの上がりも良いが、皆が同じ事同じだけしても素質で上がりが違うから気にするな、凄く早く走れるヤツと長く走れるヤツとは素質が違うわかるか?」


「「うんうん」」


「よし、今から城の外壁の内側を走るぞ! ついてこい!」


「「はい!」」


「って! なんだ!」


「デカイ鳥?」


「葉月じゃん」


「オタクちゃん」


「持ってるね」


「普通に歩いてる、軽いのかな、羽毛って軽いし」


「じゃないと持てないって女だぜ!」


「あの、ファイアーエンペラーイーグルですよね?」


「あぁ、うちの団でも過去に依頼で挑戦したが敗退した」


「そうなのですね、私は馬車移動時に空の点でしか見たこと無かったです、特徴は冒険者ギルドの資料でみましたが······」


「どうなってるんだ帰りたくなったよ」


「同感です······あっ、ギルドマスターが行きますね師匠さんもいますし、大丈夫ですよね?」


「わからん······」


「じゃあ私は、あそこでお茶飲んできますね······」


「俺は走って、頭整理してくる······」


「よし、行くぞ」


 力無く歩き始めるのだった······。





「薬士さんお疲れ様です」


「あっ! お茶一緒にどうですか?」


「私にもお願いします」


「商マスター! お疲れ様です」


「錬金マスターも入れますね」


「「ふぅ~」」


「何だか疲れましたね、私の担当の女の子、私より知識があって、本読むだけでマスターしますよ」


「私の担当もスゴいですね、既に私を超えていたので弟子入りしました」


「勇者がいました······」


「「なっ!」」


「それはなんとも······錬金術士で良かった」


「薬士で良かった」


「毎日顔を合わせるとなると、トラブルが怖いです」


「先程のファイアーエンペラーイーグルより、たちが悪いですからね」


「魔法士のサブギルドマスターの魔法教えて貰いたかったのに······勇者は無理······」


「ところで教会さんが見当たりませんね?」


「どうしたのでしょうか?」


「宰相が、捕まえに行きましたよ、師匠が、教国の回し者と見破って、今頃牢屋ですな」


「怖いわね、商マスターさん、何か情報は?」


「教国·帝国は、今怪しいですね、例年より鉄の輸入が約三倍ですね、後魔道王国のダンジョンの街の領主もキナ臭い、魔道具·魔法武器が産出好調の割に市場に出てません、出てもランクの低い物ばかりですね、ギルドのグランドマスターも警鐘を促してます」


「敵国では無いですが、友好的でも無いですからね」


「獣王国くらい仲良く出来れば良いのにですよね」


「獣王国と言えば今度来るそうですね!」


「レオ国王様旅好きですから、年の半分は旅ですからねぇ」


「ふと思ったのですが、勇者に教国か、帝国、魔道王国に表敬訪問して貰うとかどうでしょうか!」


「それは良いですね!」


「「宰相!」」


「その案、王に提案してみます、行くメンバーは、考えないとですが」


「それなら、勇者、魔法剣士、魔剣士の三人が無難かと、他の方はもったいないと、多大な損失になります、その三人なら良く言えば損害無し、悪く言えば大儲けですね(苦笑)」


「騒がしめの三人ですね、そんなにダメですか?」


「冒険者ギルドのマスターが、才能無しと」


「しかし、ユタ殿が、難色を示さなければ実行可能ですね、王にも相談します」


「勇者なら行くだけでトラブルになるので向こうの国内でトラブル起こってくれたら助かります」


「計画ですが、その三国以外で、獣王国も訪問を打診しているのですよね、四グループですが」


「戦闘職を三人と四人に別ければ!」


「表敬訪問ならユタ殿も良いと言ってくれそうです。すぐに王に相談してきましょう、良い話が出来ました。」


「「お願いします!」」





 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





「暗くなってきたな、今日はお開きか」


「そうやね、アルバト明日から頼むな!」


「おぉ、まかせておけ」


 お開きになり俺達は部屋に帰ることに。


 後片付けしてたら宰相さんが、王さんが時間空いたとのことで、皆とはそこで別れ、クリーン達と円ちゃんも、円ちゃん部屋は入れるのか? 一緒に帰って行き、俺は宰相さんと執務室へ、やっぱ王様が使う執務室は盗聴や覗きは無理らしい。


 コンコン


「どちら様ですか」


「私だ」


「お開けしますね」


 中に入ると王さんと、メイド長さんがいた。


「ご苦労、閉めてくれ、鍵も」


「メイド長さん良いの?」


「あぁ、嫁にもなる、信頼も置ける 問題ない」


「分かった、座るぞ」


 俺は勝手に1人掛けのソファーに座る。


 対面には王さん、左側にメイド長さんと宰相さん。


「まずこの場での王命を出して欲しい、俺が、その事柄について解いても良いと言うまで守って欲しい、良いよな?」


「良い」


「王命である ユタ殿のこの場の話は他言無用である!」


「生活魔法で、魔物が倒せる、魔力操作が必要だがアンデッド系、ゴーレム、非生物系、トラゴン上位種以外だ」


「「なっ!」」


 三人は『嘘だろ?』と言うような表情を浮かべる。


「これで国民全体でも、子供、女性、老人、動けない怪我人でもだ」


「「なっ!」」


「使用者には制限を掛けないと無理だ、危険すぎる、悪用すれば誰でも殺せる一歩も動かず」


「「それは?」」


「クリーン」


「なぜクリーンで人が殺せる! 魔物が殺せる!」


「デカい声出すな、聞き耳は無いのか?」


「この部屋なら中からの声は扉横の魔道具に触りながらしか外には聞こえん!」


「そうか、クリーンってどんな魔法だ?」


「ゴミなどを吸い取る」


「これがゴミだけじゃ無い、病気の元になる細菌、空気」


「空気! 窒息か!」


「そうだ、見えるクリーンにする前に色々遊んだ結果解った、そうだな、そこの水差しテーブルの上に置いて貰えますか」


「はい、少しお待ちを」


 コトリ


「メイド長さんありがとう、では実践してみますね」


「クリーン黄色で」


「まぁ色付きはイメージトレーニングですぐで来ます、次に形を変える」


 薄く引き伸ばす。


「ペラペラになります、そして水差しを魔物の顔に見立てて、まぁ口と鼻ですね包み込みます」


 水差しの蓋と、注ぎ口を覆う。


「見易い様に中の水より大きめの形にしますよ」


 風船の様に膨らませる。


「で中の空気だけ吸い取ります」


 空気を抜いていくと引っ張られた水が、注ぎ口からあふれる。


「なっ! 水が勝手に出てくるだと!」


 驚愕の表情で、水差しを見つめている。


「全部は出ませんが、空気が出る勢いで水が引っ張られて出て来たのでしょうね」


「確かに、これなら誰でも······それで王命か、なっ! ユタ殿の王命のスキルを」


「知ってました、だから今俺の許可がないとこの場にいる人以外に話せなくなります」


「これは、魔力の消費は?」


「普通のクリーンです」


「何て事だ、それで王命か、しかし」


「後は奴隷にするかくらいしか思い付きません」


「それくらいしか無いか······騎士団、魔道士団、宮廷魔道士、近衛騎士全てと、貴族、仕様は色を付けなければバレることは無いか」


「ん~この国には無いのかな? 影とか暗部みたいな情報戦の?」


「「!」」


「あるんだ」


「ある、ここに居るメイド長が暗部長でもある」


「あの時のメイド長さんの言い回しが、メイド辞めるだけとは思えなかったから」


「秘密の部隊はあると思ったですか」


「うん、だからやるならその部隊もだね」


「部隊限定して魔物の討伐専任みたいなのも良いかもね」


「うむ、この三人でまずは打ち合わせしてみよう」


「俺からは以上かな」


「しかし、これで回復の目処が立つ礼をしよう、何か欲しいものはあるか?」


「ん~今はあまり思い付かないな保留で」


「ユタ殿なら王位やっても良いぞまったく」


「要らん! またシバくぞ!」


「むっ、それは勘弁だ」


「宰相様、相談事は?」


「そうだ! 事の大きさに忘れてました。勇者様方の、表敬訪問が、打診されてまして、教国、帝国、魔道王国、獣王国の、近隣四国です」


「もし、行きたい所があれば支援職組優先させて貰いますが、まずは教国ですが、宗教主体の国で犯罪は少ないですが私共もひやひやする事もあります、神様をおとしめるような事をしたりすると他国の貴族だろうと捕まりますね」


「パス」


「帝国は軍事強国であり、犯罪は最も少ないです、しかし奴隷の、扱いが悪く、もし犯罪を犯し一晩牢に入ると一日は奴隷、冤罪も多発しますので、女性は行かない方がよろしいかと帝国はなしで」


「それは勇者組にお願いします(苦笑)」


「勇者様確か、いいんちょとか言われてましたね(笑)、それではそちらに回します」


「魔道王国ってダンジョンあるとこ?」


「そうですね、ダンジョンに興味が?」


「三葉と葉月が好きそうだと思ってね」


「なるほど何となく解ります、しかし犯罪が普通にあります、冒険者だらけですので喧嘩も無い日はありません、が、物凄く活気があってそれを楽しめるならありですね」


「面白そうですね、獣王聞いてからにします」


「獣王国は、名の通り獣人が主体でおります、獣人の中でも色々な性格、習性があり見所は満載ですが、力を求める種族であり、女性はまだ良いですが、男性は力競べをしたがります、特に獣王が······近々、後半月後ですが、こちらに訪問しますのでそれに合わせて勇者様方全員が表敬訪問に行くのが良いかと(苦笑)」


「それで良いの? でも悪者ならやっつけても良いけど、ただ単に戦闘はやだな、魔道王国だな、消去法は、教国は、戦闘職組の大人しい三人とあのおっきい子で四人かな、まともだし、帝国は戦闘職組の、うるさい三人、獣王国は、魔法戦闘職組の五人って所が落としどころかな」


「うむ、獣王の所も魔法職には力試しも無い、大人しい四人も教国なら安心だ、帝国は、勇者を出すとすれば歓迎もするだろうし良いな、宰相期日は」


「明日から入れて、遅くとも十三日後、良ければ十日後ですね獣王が十五日の予定ですので、二日は早くならないかと出来ればすれ違わない十日後か、十一日後が最適かと」


「修練は?」


「護衛に各五名ずつ、支援職には執事·メイドギルドのマスターがつきます、魔法戦闘職には魔道士ギルドのグランドマスターが、エルフなので一目置かれておりますし最適かと、戦闘職·勇者には冒険者ギルドのサブマスターが、あの方は教国出入り禁止なので、戦闘職組には冒険者ギルドのマスターが同行します」


「執事マスターか······アイツもヤバいぞ」


「ん? 一緒に酒飲んだぞ、むちゃくちゃ口の悪い執事だろ」


「知っとるのか、あやつに何度シバかれたか!」


「パーティーリーダーでしたものね、あの冒険者ギルドマスターとも、あなたが一番若かったからねぇ」


「ホントにむちゃくちゃで普通にケツを針でつつくしよ、俺が一番荷物持ってるのに早く行けって最悪だったよマジで」


「王さん口調砕けて来てるぞ」


「まあ、あやつならあそこは庭みたいなものか、それに知り合ってるなら大丈夫そうだな」


「まあ、出発も準備でき次第だな、うちは俺が一番時間がかかるかもな、アルバト基準高そうだしな、何とか十日で終わらせて十一日目に出発かな」


「では、お開きだな」


「とりあえず現状王命は解くなよ」


「うむ、独り言も、書き記すことも禁止だ!」


「「はっ!」」


「じゃあまたね」












「行きましたね、しかし生活魔法は凄すぎます、慎重にお願いします、訪問は上手く行きましたね最善では?」


「あれ以上は無いな」


「組分けも完璧でした」


「ホントに勇者引き取ってくれないかな帝国」


「祈りましょう教会以外の神に」





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