003 謁見

 メイドさんが退室した後、皆を起こしに行くと見せかけてキッチンへ、棚からコップを五つ取り出し水で洗い、トレーに清潔そうな布を敷き、コップ裏返しに乗せておく。


 更に棚からポットも取り出して、こちらも洗浄。トレーに逆さまにしておきますね。って、所で


 (ナビさんナビさん! 美味しいフルーツジュースが飲みたいので、甘くて美味しい熟れた果実有る所って、表示できる? 後、危険でなく、人の居ないところで!)


『了解しました、検索件数十八万件以上有ります』


 (ぶはっ! 多いよ! んじゃ、ジュースにしやすい果物で、種類が数種類有り、手軽に採取出来る所ってのは?)


『了解しました、検索件数五百八十一件有ります』


 (そんなあんのね)


『ちなみに先日転移した島も検索結果に含まれます』


 (おいっ! それ早く言って! 一生懸命ワード考えたじゃん!)


『申し訳ありません』


 (よし、まぁ、良しとしましょう! では転移準備!)


 おおっ! 夕方なんやね島は、暗くなる前に飛びますか!


 転移!

 パッ


「到着! って目の前果実だらけですやん! Let's 果物狩り!」


 ものの一分も掛からず両手で抱える程の果実が取れました。


 (ナビさん、戻るので表示お願いね)


 ではでは、転移!

 パッ


「到着っと」


「何処いってたですの?」


「ヒャッ!」


 急に後ろから声かけられ、抱える程の果実を、落としそうになるのを必死で耐える!


「おうっ! おはよ果物でジュースでも飲みたいなぁって思って」


「ひょわ! 美味しそうですの! すぐ作りますの! 任せてくださいの!」


 シュン! と音が鳴りそうなスピードで葉月が目の前に移動してくる。


「貸して下さいの! 私がやりますの! 早くですの!」


「了解! テーブルに置くね、何か手伝う?」


「大丈夫ですの。調理士に任せるですの! あっ!氷が欲しいですの、······有りますの?」


 すごく不安そうな顔をしてこちらを見てくる。


 よく見ると、普段は綺麗な黒色の前髪が鼻の頭まで掛かっていて目がみえないが、先程のダッシュのせいで全て後ろに流れ、大きき瞳が見えているってか可愛い! おでこ丸出しちゃん!


 伸ばし放題の髪の毛もきちんとセットすればアイドル顔負けレベルやん! 身長も今の俺と変わらないくらいか? まぁうちのパーティー背が低いのばっかやね。スタイルはスレンダーと言っておこう! 名誉の為に!


 まっ、朝から良いものが見れました。


「氷か、この冷蔵庫みたいなのには······」


 俺は扉を開け、何といわゆるスリードアータイプの冷蔵庫みたいなので、ってか冷蔵庫でいっか! 一番下が冷凍庫の様で、氷も沢山有りました、一応鑑定! よし、問題なし!


「有ったぞ、後で入れるとしてどうやって搾る?」


 見つけたのが嬉しいのか満面の笑みがこぼれました。


「良かったですの! こちらの葡萄みたいのは皮を剥いてこちらのボールで潰した後この布巾で搾りますの、こちらの林檎ぽいのは、ウサギさんカットして冷やしてデザートに追加ですの!」


 ほう、美味しそうだ。


「後、そこの棚のお酒が少しと、お水を、冷やして、飲む前にまぜまぜしますの! 後、お塩が隠し味ですの!」


 流石は調理士って事なのかな? でもお酒良いの?


「お酒入れちゃうの? 今日は王様との謁見有るらしいよ? 酔っぱらったりしない?」


「大丈夫ですの! このポットにスプーン一杯だけ入れますの! 香りが良くなりますの!」


「了解、んじゃ、お水とか冷やしておくね」


「お願いしますの! 後、皆を起こさなくて良いですの?」


「あっそうだ! 後十分くらいで朝食来る予定だ、ヤバい忘れてたよ······」


「わかりましたの! ジュースはやっておきますの!」


 急いで水をポットに入れ、冷蔵庫へ入れかけて、冷凍庫に変更。急速冷却じゃ!


 パタンと扉を閉め、起こしに行きますかね。


「起こしてくるな」


「よろしくですの!」


 キッチンからリビングに出てって、リビングでもう良いよね、寝室へやってきました。


 ベッドの上には三人が、仲良く寝てる、左から聖、真ん中三葉、右に紗々が、三葉が、左右から抱きつかれ苦しそうだ、三葉も超ロングだよなぁ、紗々だけ肩くらいまでしかないし、聖は寝癖がヤバそうな感じやね。


 三葉は更にベッドに髪の毛が広がるようになってしまってるので髪の上に寝られてる感じやん。先に起きると頭あげられないんちゃうかな。


 と思いながらベッドサイドに移動しペチペチと皆のおでこを叩いていくと三葉が眼を開け、俺と目が合う


「うぬっ? 夜這いかの?」


 デコピンを、お見舞いしてやる!

 ペシッ


「キャっ!」


 可愛い声が! ってか声可愛いじゃないですか!


 おでこをさすろうと手を動かそうとしても動けない。


「なっ何身体が動かない! どうして! 何をしたの!? 襲われるの!? 言ってくれれば覚悟は出来『ペシッ!』キャっ!」


 パニくってたから更にデコピン


「落ち着け、誰が拘束してるかわかるだろ」


 三葉は、顔······は髪の毛踏まれてるから動かせないが目を左右にキョロキョロしている。


「うぅ~聖ちゃんと紗々ちゃん······」


「三葉ちゃん、普通にも喋れるんやね」


 三葉ちゃんは、目が見開き顔が赤くなる


「うぅ~内緒にして欲しいのじゃ······この喋り方は趣味を貫いていたがため、ほぼ癖の様でな、余程の事がなければ元のは、出てこんのじゃ」


「ははっ。良いよ内緒でちょっと待ってろよ」


 (ナビさん、三葉だけ手元に転移出来る?)


『はい、可能です。三葉さんのデータを、記録しました。いつでも宜しいかと』

 (了解!)


「んじゃ、三葉ちゃん脱出させるからビックリしないでね。」


 んじゃ、転移!

 パッ


 俺は腕を前にのばし、掛かるであろう重みに覚悟し落とさないように神経を尖らせた。


 ズンっと少しの重みと、ん? 軽いな。


「······」


 三葉が腕の中でお姫様抱っこ状態で、見詰めて首に手を回してきた。


「······」


「何で首に手が?」


「お姫様抱っこ······全女性の憧れ······旦那様」


 うるうる瞳が閉じられ近づくが、エイっ! とベッドへダイブさせてやった!


「きゃっ!」


 三葉がまた可愛い声を


「「クハッ」」


 聖と紗々は、いつの間にか抱き合う様な寝相になってたので二人の上に三葉が、乗っかった形だ。


「おはよ~もうすぐ飯だぞ! 顔洗って目を醒ませよ」


「酷いのじゃ、昨晩もお休みのキスキスもしたろうに、おはようのキスが欲しかったのじゃ」


 などとほざいてますが、やっぱりナビさん情報通りやりやがったのか、最近の女子はませてるのかね······


「「苦しいぃ~潰れるぅ~」」


 ったく


「ほら三葉起きろ!」


 手を引いてやり聖、紗々ちゃんの上から下ろしてやる。


 聖「ふぅ、苦しかった。三葉ちゃん、寝相悪すぎだよ!」


 紗々「イキナリ乗り掛かられるとは思いませんでした」


 皆がベット上で起き上がった。


 ふむ。聖、その寝癖ナイスだ! どこに出しても恥ずかしい非の付けようがない寝癖だ。


 紗々はふわっと手櫛で、いつも通りの髪型に。


 三葉は何もしなくても、前髪パッつんの日本人形の様な黒髪ストレートに纏まっている。こいつも美人タイプだ、残念な所が多いが。


「後、十分もしない内に朝ごはんを持って来てくれるから身支度しとけよ、今日は王様と謁見あるって言ってたぞ」


 聖「王様かぁ、王冠被って赤いマントで、白いお髭があるんだよね!」


 おい! それってトランプのキングだろイメージが!


 紗々「そうですね、後、杖か、剣も持ってなかったかしら? 後は王妃様もお髭以外はそんな感じね。王子様は少し小さめの冠にお髭は無しで剣でしたね」


 それもトランプのクイーンとジャックがイメージな。ってか王子様か? お姫様のが見てみたい気もするが。


 三葉「んん? 王様との謁見か、王とはでっぷり太ってるのが多いぞ! "デュフフッ" とか笑い、脂ギトギトで、頭が悪くて変態で、国政は実は宰相が握っていて破綻一歩手前が多いぞ、王妃は、美人だが性根が腐っておるな、先の宰相とデキており、ドロドロじゃ! 王子は、これもバカが多いぞ、体型は王と変わらん笑い方は、"ゲヘッゲヘッ" って感じかの。」


 と、見てきたように言うがそれ本当になら、ヤバ過ぎるって。


 多分どっかで読んだ本のキャラなんだろうが、嫌すぎるな。


「はぁ、良いから支度しろよ、俺はリビングに行くからな」


 と、部屋を出て行く


「起きます起きます!」「は~い♪」「ほれ急ぐのじゃ」


 と背中からバタバタとする気配が感じられたが、無視してリビングへ、ちょっと気になったのでキッチンへ方向転換。


 覗くと


「ふん! ふん! ふん!」


 と葉月が唸っている


「どした? 搾れないのか?」


 見ていると、布巾の四隅を麺棒みたいなのに引っ掛けくるくると捻りを加え搾りたい様だが、力が足りないのか?


「あっ旦那様ですの! そうです、固すぎですの······」


「貸してみ」


 おう! バスケットボールくらいあるな! 確かに女の子には厳しいか。


「このボールに搾るんやろ?」


「はいですの! お願いですの!」


 ぐるぐる······ポタポタ······ジョロロロ······

 結構出るな!


 ぐるぐるジョロロロ

 ぐるぐるジョロロロ

 ぐるぐるジョロロロ

 ぐるぐるチョロチョロ

 ぐるぐるチョロ···ピチャン


「こんなもんかな? これで良いか?」


 スゴいなバスケットボールがピンポン玉くらいまでになった。


「ほわわっ! 完璧なのです! 三リットルくらいありますの! 半分は生ジュースで朝御飯に、残りは少し煮詰めて冷やし、さっきの水とお酒まぜて飲みますの、早速煮詰めて冷やして置きますの! 晩御飯用ですの! お塩はお好みでその場で入れますの!」


 なるほどね。どっちも美味しそうだ。


「了解。もうすぐ朝ごはん来るからなるべく急いでね、でも火傷とか気を付けや」


「任せておいて下さいの!」


 と、言ったとたんにボールからお鍋に半分より多めに取り別けコンロにかけていく、ボールの残りは一旦冷蔵庫へいれておくみたいだ。


 それを見ながら振り返りリビングへと移動、三人共揃っているようだ。


「ちゃんと支度してき······た? 紗々ちゃんと三葉ちゃんはOK! おい、聖、何だその頭は······」


 聖「ん? これ、ヘアゴムまだしてないからちょっと待ってね」


 聖が、適当に後頭部に髪を纏めヘアゴムでクルクルヘアゴムは黒色で赤色の玉が、2つ付いていて玉を1つ根本と一緒に掴み、もう片方を、持ちのばしながら髪にぐるぐる、最後に根本で持っていた玉に巻いていた方を、ゴム部分で引っ掛けるようにし止めた。


 うん、いつもの残念なポニテだ。


 聖「完成! 『ぺしっ』痛っ!」


 俺は無理矢理ほどき、とりあえず手櫛で纏め、ちょっと考えながらサイドに移動し、サイドテールしてやる。


 三葉「ほぅ、チエちゃんみたいじゃの、そのヘアゴムの玉の色といいホルモンでも焼くかの!」


 紗々「あら、チエちゃんと言う方がいらっしゃるのね、どちらのクラスにいました? 一組ではないですね」


 三葉「ん? あぁ、これはな、大阪が舞台のじゃりん『ぺしっ』痛っ!」


「それ以上ダメだから! 俺はファンだから! 猫も好きだから!」


 三葉「わ、わ、わかったのじゃ」


 頭をさすっている三葉。


 俺は、最近見た動画を、思いだし、また観たいなぁと心の底から思うのであった。


 聖「ユタさん、髪型、鏡で見てきていい?」


「いいぞ、すぐ戻ってこいよ」


 聖「うん!」


 パタパタと走っていった。


 さて、ナビさん、メイドさんどんな感じ? すぐ来そうかな?


『先ほど厨房から出たようですね、ほらノックが来ますよ』


 コンコン


 ほう、俺は立ち上がり、返事をしながら歩きだした。


「はい、朝御飯ですね、今開けます」


 カチャ


 扉を開けメイドさんを招き入れる。


「皆様おはようございます。朝食を、お持ちしました」


「「ありがとうございます」」


 キッチンから「ありがとうですの!」と葉月


 洗面所から「ありがとうございます!」と聖


「ありがとうございます、ソファーの所のテーブルにお願いします」


「かしこまりました」


 素早く丁寧あっという間に、並べられた朝食見て見るとやっぱり昨日と同じ薬が、入っておりました。


「以上です、本日は謁見がありますので扉のベルはつがえませんので御了承宜しくお願いします。約二時間後にこちらに来ますので支度よろしくお願いします」


「わかりました、ありがとうございます」


 メイドさんは「では」と部屋を出て厨房の方へ戻ったみたい、んじゃ、分離して貰いますか。


「三葉ちゃんまた頼める?」


 と料理を、指さし、三葉ちゃんは頷くと紗々ちゃんを見て


 三葉「補助頼めるかの?」


 紗々「はい」


 ものの一分ほどで分離完了、ってか昨日より多いな、昨晩は小指の先ほどで、今朝は親指くらいありそう。


 これ、やっぱり一月ひとつき以内に行動しないとまずいよな。


 謁見の後、時間取れるなら、相談しなきゃな。


 聖「ユタさん、この髪型いいよ! 髪の毛くくるの上手いよ! 毎日お願いします!」


 と、洗面所から駆け出てくる。


「自分で頑張れ!」


 紗々「あら、髪の毛まとめやすそうよ? 私、ふわふわだからのばすと綿菓子みたいになるから短くしてるのに、良いわね。たまになら私が結ってあげるわよ」


 聖「本当! 紗々ちゃん大好き!」


 と、抱きつく


 聖「ヘアゴムも、も~二個あるから宜しくね!」


 紗々「あらあら、それは楽しみです、色んなヘアスタイルが出来ますから悩みますね」


 三葉「ふむ、妾は、髪を結うにはこの祖母から頂いた着物の生地を使い、シュシュにして貰っておる! 残念ながら、ポケットに1つしか入れてなかったからの、体育がある日なら二つ三つ持ってたのにのぅ」


 葉月「私なんかヘアゴム持って無いですの!」


 葉月がキッチンから戻ってきた。


 紗々「あら、葉月さんもロングなので持っているとばかり」


 葉月「無いですの! 結った事ほとんど無いですの! ママさんはいっぱい買ってきたけども、ストレート過ぎてすぐ落ちちゃいますの! 輪ゴムなら落ちませんの! 十本くらい有りますの!」


 輪ゴムって取る時痛そうやな······三つ編みとかすれば良さげやけども、ヘアゴム落ちるのか、あはは。


 聖「輪ゴムなんだ!」


 葉月「カラフル輪ゴムですの!」


 とポケットからピンク、ブルー、オレンジ、グリーン、パープルと、色とりどりな輪ゴムが出てきたってか物凄く多くない?


 葉月「あっ! 学校行く前に、ゴムの色分けるの時間無くて一握りポケットに入れたの忘れていましたの! 多いのは良いことなの!」


 紗々「ふっ、普通の輪ゴムより小さく二センチくらいかしら内径、だから一握りでも百本くらいありそうね」


「そうだ、三葉ちゃん、これ、錬金術で材料あれば作れそう? たぶんゴム系この世界無いみたいだし」


 三葉「ふむ、材料は、解ったがこの世界にあるかの?」


「それはわからんが、現状この部屋には使われて無さそうだからなぁ、蛇口きちんと閉めても漏れてくるしパッキンが無いよね。お風呂場のシャワーも出っぱなしだったよね、だからこのゴム量産出来たら儲かるかもね」


 聖「そっか! ゴム無いとパンツも紐パン!」


 紗々「靴下などもすぐ下がってしまいそうですわね。」


「まぁ、その辺は追々って事にしておいてご飯食べようか」


「いただきます」




 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「ご馳走様でした」


 お皿を軽く水洗いし重ね、台車に乗せまだ少し時間ありそうなので


「葉月ちゃん、ジュース出す?」ニヤリ


 葉月「出しますですの!」ニヤリ


 聖「えっ! ジュースあるの!」


「まぁ!」「ほぅ!」


 葉月「朝、旦那様と作りましたの! 持ってくるの!」


「手伝うよ!」




「塩はこの入れ物毎持っていくか?」


 葉月「はいですの、洗ってあったコップも綺麗に乾いてますの!」


「んじゃ、コップとお塩持って行ってくよ」


 慎重に足下を注意しリビングへ戻ると


「きゃー!」


 聖が感激のあまり立ち上がり、胸の前で手を結んでいる、あははは。


「ほら座ってろ! 今から入れてくれるから」


 葉月は、俺がコップを表向きにした後、少しづつ全てのコップへ入れていく。


 ほぅ。大人数に入れる時のルールかな? これなら多い少ないが出にくいって聞いたことがあるな。あれはお茶だったか? 濃い薄いのが出にくいだったか? まぁいっか、それを聖、紗々ちゃん、三葉ちゃんが、わくわくした感じでじっと葉月の手元に集中している。


 五つ全てのコップにジュースが良い感じに入った。


 葉月「生ジュースですの! 甘酸っぱいから美味しいですの! お塩ちょびっと入れると甘さが引き立ちますの! どうぞ召し上がれですの! あれ? この果物どこから持ってきたですの?」


「あっ! それはまた後でって事で」


 葉月「では、どうぞですの!」


 ゴク


 美味!


「美味いなこれ!」


 聖「本当! いくらでも飲めるよ」


 いやいや遠慮しなさい、お腹痛くなるよ。


 紗々「うん、凄く美味しいわね、私、塩をひと舐めして二口目飲んだけど、凄く甘さがスッキリする!」


 俺もやってみよ、 甘っ! 俺は無しでそのままのが好きだな。


 三葉「ふむ? この果実は美味いな、葡萄のようじゃが、以前飲んだ物と段違いに美味じゃ!」


 同感。これ、そのまま食べても絶対美味しいやつだ。


 葉月「異世界ブランドの葡萄ですの! 種無しでしたの! 皮も剥きやすいですの!」


 わいわい飲み終わり、コップやポットを洗いさて落ち着くかって時にノックが聞こえてきた。


 コンコン


 メイドさんが来た、俺は声を出しながらドアへ向かう。


「はい、今開けますね」


 ドアを開けると、メイドさんと兵士さんがいますね。


「食器の引き取りと、謁見の為に案内役引き合わせの為参りました」


「ありがとうございます。食器はそちらの台車に乗せましたのでお願いします、後、謁見はこの格好で良いのですか?」


「ありがとうございます。女性の方達は、そのままでよろしいですが、ユタ様は、お召し物をお持ちしました」


 流石に、シャツがワンピースで袖まくり、ズボンも裾捲りまくってますからね。


「ありがたいです。流石にこの格好では恥ずかしかったので助かります」


 ふむ、質素だがシンプルなデザインでドレスコードあるお店でも、子供ならオーケーな感じかな。


「では私は先に失礼しますね」


 と、台車を押し部屋を出ていった。


 兵士「では、お着替えをお願いします、まだ少し時間はありますが」


「了解しました。すぐ着替えて来ますね」


 寝室に向かい、着替えようとして、ふと思い出した、ヤバい! 寝室鑑定し忘れてる!


 焦って鑑定しようとすると


『大丈夫ですよ。寝室には仕掛けがありましたが、昨晩勇大様をベッドヘ四人で運ぶ際に、枕元にあった聞く耳ドールが落下し、聖様が踏み潰しました。そちらのゴミ箱に入っていますよ』


 ゴミ箱を確認し、聖ナイスだ! 後で頭撫でてやろう。


 とりあえず着替えやねっと、パンツ迄用意してくれてあるやん! ってか、カボチャパンツ······でやっぱり紐ね······


 はぁ、とりあえず脱ぐか······ふむ?


 パオン増量パオォォーン?


 おかしいぞ、待機状態賢者が、臨戦態勢バーサーカーに?


 うん、今は見なかった事にしておこう!


 そそくさとカボチャパンツ、シャツを羽織りボタンは同じ感じでズボンも紐で縛ると、おっ! 思ったより履き心地良いんじゃないかな!


 後は靴は? 編み上げ? ギリシャの歴史の写真に出できそうな? とりあえず足を入れて、おおっ! 爪先が親指と人差し指で挟む様になってるのか! 掃いてみると踝まであるしハイカットスニーカー? スニーカーではないが、それでこの紐で爪先側からこうかな?


 右左右左右左と金具に引っ掛けながら、締め込みながら足首まで丁寧にっと、余った紐はおっ! 長さ的に2週回して後ろで結ぶ? 結びズライやん! 前で結ぼう。


 んじゃ、もう片方も······


 良し、履けたっと! 立ち上がり少し足踏み、もも上げ、反復横跳び!


「ぷふっ」


 え? 後ろを振り向くと皆さんが······。


「おい······何見てる? いつから見てる?」


 低い声が出てしまったがまぁいい


 葉月「パパさんより大きかったの!」


「あっ、ありがとう? ございます······」


 そうじゃない、そうじゃない············。


「なっ、何覗いとんじゃ!!」


「きゃ~!」


 兵士「あはは、賑やかですね」


「止めて下さいよ」


 兵士「すみません、いつもこうだと勘違いをしてしまいました」


「はぁ、時間は大丈夫ですか?」


 兵士「はい、少し早めですが頃合いですね。」


「では行きましょうか」


 兵士「宜しくお願いします、後、私よりも大きいのでちょっとショックです」


「グハッ!」


 立ち直りかけたのに······。


 兵士「も、申し訳ない······」


 何とか立ち上がりリビングへ、扉前で皆が集合し、扉を開け部屋から出る。


 兵士「謁見中に部屋の掃除をすることが出来ますがどうしますか?」


 ん? そうだな、また聞く耳ドールって言いにくいし、聞く耳君でいいか!


 仕掛けるだろうし、要らないか。


「あっ、私物も置いてありますし、今日は良いですよ」


 兵士「わかりました。では、そちらの札をお取り下さい。それで外出時の鍵になります」


 ほうほう、これか、テレホンカードサイズって古いな、名刺サイズ? のが良いか、抜き取ると


 カチャッ


 音が鳴ったな


 扉のノブを捻ると


『外出中です』


 と音声案内が!


「おお!」


 ガチャガチャと扉を開けようとしても、しっかり鍵がかかっているようだ。


「しっかり施錠されてますね」


 兵士「貴重品などは持ち歩いて貰った方が良いかと思いますが、ある程度の物とや、大きな物でアイテムボックスに入れるほどの物でも無い時には安心出来ます。」


「なるほど。容量少ないですからね」


 俺はいっぱい入るけどね。


 兵士「皆さんのレベル1でも購入には、金貨十枚です、一般の男性が一年間働いて稼ぐ金額くらいですかね。冒険者の銀クラスになると一月ひとつきくらいで稼ぎますが、金クラスなら一回の依頼報酬で稼ぐ事もありますよ、ちなみに私は兵士になる前は銀でした」


「冒険者?」


 三葉「ほぉ、やはりあるのじゃな」


 三葉ちゃん?


 葉月「私は冒険者になる! ですの!」


 葉月ちゃんはちょっとヤバげですが。


 兵士「おぉ。冒険者になられるのですね、確かに支援職と聞いておりますが、冒険者の依頼で討伐依頼があります。最初は簡単で安い依頼しか受けられませんが、ねずみ色っと、正式には灰色ですが、駆け出し、半人前の可愛いやつって事で、ねずみ色と呼ばれてます。そして、ねずみ色→鉄色→銅色→銀色→金色→白金→黒とランクがあります」


 ほぉ。ランクで受けられる依頼ってのが違って金額も変わるって感じかな?


 三葉「何じゃ、アルファベットタイプでは無いのか」


 葉月「ふん! 俺のギルドカードだ! 『なっ!Sランクだと!』とか言わせたかったですの······」


 何だかわからんが残念だったな。


 兵士「ははっ。その伝承は、前回、七十年前かな、その時の勇者様がランク表記を変えろと粘ったそうですが、その方は銅ランク迄しか上がれなかったそうです、魔法剣士だったが、修練を真面目にやらなかったのでしょうね」


 やっぱり、真面目にやらないと強くはならないのね。こいつらは、危なくないように俺の目の届く所で出来るだけ強くなって貰わないとな。


 兵士「おっと、そろそろ良い時間ですね。では私の後に続いてください」


 兵士さんが歩きだし、俺達は、続いて歩きだした。


 葉月「言わせかったですの······」


 小さな声で、葉月ちゃんが、本当に残念そうやね、仕方ないので頭を撫でてあげた。


 三葉「じゃったら早々に黒? ランクに上がり、絶大な力を我らが手により示してやらねばな」


 葉月「やってやりますの! 調理士の力を知らしめてやりますの! ドラゴンでも一捻りですの!」


 いやいや葉月ちゃんドラゴンさんは、お強いと思われますよ、それとも胃袋掴み? 何だかやれそうで恐ろしい。


 兵士「ははっ、ご期待してますね、その際はご相伴に」


 兵士さんも、料理でドラゴンにって思っちゃったね、あはは。


 葉月「任せるの!」


 頑張ってね。そして歩く事数分、葉月ちゃんは鼻息ふんす! ふんす! って感じで興奮気味。三葉ちゃんは邪悪そうな笑みをしている様で、見ているこっちは可愛く微笑んでいる様にしか見えない。残りの聖と紗々ちゃんは何を話しているのかわからないが楽しそうに微笑んでいる。


 曲がり角を右に曲がると前方に、まだ五十メートルくらいあるがデカい両開きの扉が見え、えっと、ひい、ふう、みい、よっ······十二人かって事は全員で十七人も拉致されたのか、何て奴らだ。


 後十五メートルくらいで向こうも気がついたみたいだ。


 おっと、結構良い子にしてるじゃないですかね、もっとガヤガヤしてるかと思ったが、どれどれ、糞ガキでいいか、鑑定!


 状態 打撲·緊張·(奴隷)


 ふむ、緊張してるだけか、奴隷で喋れなくしてるかと思ったがなぁ。しかし、この奴隷やけど、押せるかポチっ


 (奴隷)

 off状態

 奴隷解除しますか YES/NO


(どわっ! なるほどこの状態で解除出来るんやね)


『はい、すぐ解除しますか?』


(いや、まだ良いよ、も少し様子見かな)


『わかりました。現状ここに皆揃ってますのでデータを記録しておきます。そうすれば、離れていても解除することが出来ます』


(了解。それは個人別かな? 一斉に解除?)


『個人、全体、識別してのグループ解除も出来ます』


(それは便利だね。宜しくお願いします)


『中の人員が整列しだしましたね、そろそろの様ですよ』

(了解っと)


 扉の両サイドにある扉から一名ずつ出て来たと思ったら、大扉の前で、取手に手をかけそこで一時停止。しかし、ごっつい人やね。するとまた右の扉から今度は、ひょろっとした人が出てきた。


兵士「では、ご案内いたしますので三列に、戦闘職の方は真ん中に七名、魔法戦闘職の方は右に五名、支援職の方は左に五名でお願いします。先頭は暫定のリーダーでお願いします。では並んでください」


「誰がリーダーやるんだ?」


 と、振り向いて聞いたらもう並んで俺を指差していた。


「はぁ、了解やっとくよ」


 他の所を見ると、おぉ! あいつデカいな! 何か話してるみたいだが、あいつが先頭なら後ろの奴は隠れられるなって思ってたら先頭に行ったな、俺の推理は完璧だ!


 もう一つグループは女の子だけなんだなって、デカい奴のグループは男だけじゃん! また綺麗に別れたな、男子組に頑張って貰う感じで。


 おっと、女の子組も決まった······背の順? 低い子から綺麗に徐々に高くなっていく、その並び順は予想出来なかったわ、出席番号順くらいで決まると思ってたのに、ヤられたよ、脱帽だ。


兵士「そろいましたね、扉が開きましたら、私が先導します、そして私が途中で横にズレますのでズレた位置まで先頭は進みそこで停止してください」


兵士「その後、跪く事はしなくて良いとの事なので、そのまま立ったままでお待ちください、私は皆様のリーダーさんの横におりますので安心してください」


兵士「後は、王、王族、その他の者へも直言のお許しも皆様には出ておりますが、手をこのように肩より上に上げ、指して貰ってから話して下さい、指してくださるのは王からですのでわかりやすいと思いますが、よろしいでしょうか?」


 俺は後ろの皆の方を見ると全員頷いてくれた。


「支援職大丈夫です」


「魔法戦闘職大丈夫です」


「戦闘職大丈夫です」


「はい、では入って行きます」


 すうっ、と息を吸う音が聞こえる。


「勇者様方入ります!」


 と、馬鹿デカい声が、あのひょろっとした人物から出るとは思わずちょいビビってしまったじゃねえか! と思ってたら、扉が開きだしていた。


 前方に六段の階段が見えデカい椅子がある、チラチラと目だけで左右見てみると何だか高そうなきらびやか? ちょい金のモールみたいなのが付いてる服を着ている方が沢山、んと、王様だから、貴族とかそんな感じかな?


 視界を前方に戻すと、王座? ドンとある椅子に猫さん?


 ぬいぐるみ? にしてはリアルなって、ひょろっさんが方向変えたあそこまでやねよしよし、1・2・3、ストップ!


 良し、止まれたし、後ろの皆も止まれた感じ、戦闘職組は、あはは、後ろの奴が止まれなかったらしく、前方に詰まってきてるし。 ってそだ! 猫! やっぱりいますやん! 欠伸してますやん! 可愛いですやん! おいで~! 念力~! おいで~!


「王の御臨席っ!」


 椅子より奥のカーテンみたいな所からイケメンさんが出て来たよ。王冠あるし王子様? その後に、王冠? ティアラ? 乗っけた美人さん! 王女様かな? その後ろは、ちっこい男の子と女の子がって、身長は、今の俺と一緒くらいか、て事は王子&王女様って所やね。


 おっと、最後にお爺ちゃん、王様? 王冠無いよ? 杖は持ってるけど、あれ!? 王子さんが王座の前で苦笑いしてるね、猫さん座ってますもんね。


 どいてあげてね、お爺さん王が座るんだよ。


 と俺も目で訴えていると猫と目があったような気がしたが、王子さんの方を見て、しかたにゃいにゃぁ~って感じで伸びをして王座? から飛び降りこっちに歩いてくる。


 とことこと、真っ直ぐとことこ······ちなみに足音はしません。


 とことこピタ


 なぜ俺の足下? 猫さん?


『抱っこして欲しいそうですよ』


 (マジですか!)


『お久しぶりともおっしゃってますね』


 (へ?)


『猫缶持ってる? と、聞いてますね、とりあえず抱っこ~って』


 はぁ、まぁ抱っこくらいは。俺はしゃがんで猫さん両脇に手を入れ持ち上げ左胸辺りに抱き抱える様に抱っこすると


 ゴロゴロ······


『ありがとうにゃ~とおっしゃってますね』


 (まっ、まぁ良くわからんが、とりあえず謁見に集中っと前を見ると、王子様が、王座? に、あれ?)


 王座? の横にまた豪華な椅子が用意され王女様が座る。


 反対側に豪華ではあるが小さめの椅子が用意されちびっこ王子&王女が座る。


 お爺さん王様は、あれ? 一歩下がった所に立ったままだけど良いの?


 王子様が主役?


宰相「では王様、宜しくお願いします」


王「うむ」


王「よくぞ参った勇者達よ!」


 え!? 王子様✕→王様○って事! 若っ! めちゃ若っ! ってか間違えてゴメン! って事は、王女様✕→王妃様○なのね!


 ちびっこはそこまでの間違いではないが、第二王子ではなく第一ですね。申し訳ないです! ペコリ、おっと、話しに集中やね。

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