002 謁見の前に

「ユタ殿は、どの様な職業、スキルなのですか? その体格ですと戦闘職では、あっ、先ほどのあの少年を戦闘不能した動きは中々のものでしたね!」


 イケメンが隣の部屋ヘ進む俺の横に来て、そんな事を聞いてくる、あんた今からそれ調べるんやろ!


「俺のですか? 鍛冶士ですよ、俺は若い子達の体力にはついて行けないし、スキルも鍛冶に必要そうな、鑑定、身体強化、アイテムボックス、後は精神耐性ですね。俺達は戦争のほぼ無い境遇で育ちましたから命の取り取られはまず経験しません。この耐性が無ければみんなは精神が耐えられないと思いますよ」


「ほう、その様な事まで考え選ばれたのですね。しかし、精神耐性は、他の皆様はお持ちなのでしょうか?」


「そうなんですよね~神様がオマケで着けてくれてると助かるんですがね~」


 そこのところどうなんですかね神様、後、帰れないって何なんスかっ!


『皆には精神耐性なんぞ着けとらんぞ。着けたのはお主と、あの少女の二人じゃ! ほっほっほっ。後の者は修練じゃの』


 (どわっ!?)


 思わずビクッとなり小さくジャンプ!


「ど、どうされました」


「いえ、何でもないです。裸足なので小さな石でも踏んだみたいです」


「そうなのですね、早めに靴を用意しますね」


「はい、宜しくお願いします」


(もしも~し、神様話せるので?)


『うむ、まだ召喚の歪みが残っておるからの。もうじきに閉じるがの、ほっほっほっ。して、先ほどの質問じゃが、お主は帰れないのぉ、子供達は相当苦労はするが可能性はあるがのぉ、そこの奴らの言っておった召喚時点に戻ることはまず・・無い、今この時点で向こうでは数年は時が進んでおる、そこまで戻すとなると千年はその世界の全の者が魔力を集め何とかなるレベルじゃの、ほっほっほっ。ちなみにお主は神に気に入られてるからの、その世界に順応しきっておるわ、ほっほっほっ。帰った途端に連れ戻されるの、ほっほっほっ』


(無理じゃん! ってか帰らせてもらえない俺って! まぁ、今まで、適当に流されて来て気が付いたらおっさんになってたもんなぁ~、はぁ~)


『そうじゃの、この世界に召喚されなければ流されたまま生涯を終えとったの、ほっほっほっ』


(はぁ~やっぱりそうか······)


『あやつは、その事も気にしておっての、じゃから今回の······ふむ、時間じゃの、お主達者での余裕があればあやつにも会えると良いの』


(まぁ、何とか? まだわからないがやってみます。神様もお元気で?)





 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





『こんなところで良いかの?』


『創世神様、ありがとうございました』


『後はあやつの努力次第じゃからのぉ』


『はい。心根が優しく良い人でしたので、健やかに歩んでくれると』


『じゃな』





 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





 はぁ、どうしよっかなぁ······詰め込み過ぎだよほんま、ん~あかん! 悩んでるだけやと進まんな、まずは情報集めて行くしかないか、んで、タイミング見計らってこの国から脱走やね。


 良し、情報収集して、ステータスの向上やね、まずは聖と、紗々ちゃんと後の奴らは、時間が欲しいな、考えがまとまらんしステータスの調べるやつやった後やね。


 おっ、結構進んでるな、ふむふむ次は、糞ガキか、ほっといて、自分のやね。


 ステータス!


 名前 ユタ

 性別 ♂

 年齢 9歳 ※48

 状態 健康·※奴隷

 職業 鍛冶士Lv 2 ※神鍛冶士Lv MAX▼

 スキル

  鑑定Lv 1 ※神眼

  身体強化Lv 2 ※神体強化

  アイテムボックスLv 1 ※無限収納

  精神耐性 ※完全耐性▼

  HP  3 ※測定不能

  MP  3 ※測定不能

 STR 3 ※測定不能

 DEF 3 ※測定不能

 AGL 3 ※測定不能

 DEX 3 ※測定不能

  MIND 3 ※測定不能

 INT 3 ※測定不能

 LUK 3 ※測定不能

 装備 サイズ自動調節の腕輪

 生活魔法·アイテムボックス·※奴隷


 なるほどなるほど、※印が隠してるんやね、このままでいっかな、そろそろ順番だよね?


 糞ガキはヨタヨタ歩いてたから最後の方みたいやし、次は俺かな?


 などと考えてたら呼ばれ、確認され、皆が終わったようだ。


「はい、これで皆様のステータスが確認出来ました。戦闘職七名、魔法戦闘職五名、支援職五名、と、なります」


「ふむ、支援職が思ったより多いが」


「支援職と、言いますが、武器、防具、アクセサリーを作成出来る鍛冶士、治療薬、毒消し薬、を作成出来る薬士、ポーション系、HPやMPの回復はもちろん、薬士では回復出来ない魔法系の状態異常の回復ポーションの作成が出来る錬金術士、ヒール、キュアなどの回復系、戦闘系ではありませんが回復魔法士、最後にもっとも得難い、食事に関して、召喚以前の食生活がないと精神的に厳しいのですが、今回は調理士の方がいらっしゃいました!」


「ほぅ。召喚されて下さった人数に対して多いと思ったが良いではないか」


「はい、後方支援部隊としてパーティーを組む事を提案します」


「良かろう。そのように進めよ」


「はっ!」


「では、戦闘系十二名と支援系五名に分かれ、修練担当のもとで説明だな、戦闘系側には冒険者、魔道士、傭兵ギルドのマスターを、支援系側には鍛冶士、薬士、錬金術士ギルドのマスター、回復魔法は、教会だな、調理は、執事·メイドギルドのギルドマスター呼ぶか」


「はっ!」


 一人の兵士が、部屋から駆け出て行く。


 結構な人数呼ぶんやね~白髭爺さんとイケメンは、何やら話してるし、このまま待ってれば良いのかな?


「ねぇねぇユタさん。」


「はぁぁ、勇大な。んでどうした? 腹でも空いたか?」


「そうお腹ペコペコで······違っ!」


「ノリツッコミ上達してきたか?」


「そうじゃなくて、これからどうなるのかな? って不安で······」


 そうだよなぁ、俺は神様にある程度聞いてしまったからマシだが、コイツ達は神様に職とスキル貰って戦うぞ~くらいしか分かってないしなぁ。


 説明出来なくはないが、こっちに来て間もないから不安だろうし、も少し後にした方が良いかな。


 聖の頭をなでなで


「ふみゅ~ユ、ユタさん? 今のユタさんだと顔が目の前にあって······ゴニョゴニョ」


 ん~も少し様子見だな。


 ん? 聖の顔が目の前、赤くなってる?


 おう、可愛いとこあるやん! ちょっと悪戯······


 下を向いているので聖の顎にそっと手を添え軽く正面を向かすと目と目が合い、じっと見つめてやる······


 すると、胸の前で手を組み、うるうるしている眼を少しづつ閉じていく······。


 ん? ヤバっ! これはキス待ち!?


 はっ! 完全に眼が閉じられた! ど、どうしましょう······


 わたわたしてると真横に紗々が、······ガン見!


 コクコク、って頷きクイックイッっと行け行けと聖の方を指差す。良いのか? イヤあかんやろ! ってか寄って来てるし! ヤバいヤバい! はっ? 俺の後頭部に手が添えられグイっ!


 ちゅっ


 なっ!?


 微かに残る唇の感触、やってしまいました? やってしまったのだろう、父と娘ほど年齢の差があるのに······。


 あれ? 何だか抱きつかれてますけどいつの間に? 完全に俺に抱きついている聖、俺の左頬に聖の左頬が引っ付いている。いつの間にか聖の背後にまわった紗々が聖をサンドするように抱きついてくる。


「勇大さん、私もお慕いしておりましたのよ」


 ちゅっ


 へっ?


 いやいや! なっ! 何が? どうなって? 左頬は聖、右頬は紗々······


「あの~」


 返事は無い


「もしもし?」


 返事は無い


「お二人さん」


 返事は無い······


 背後に気配が······


「あの~、支援職で集まってとの事ですの。お邪魔ですの?」


「これこれ葉月、これぞ異世界名物ハーレムじゃ、邪魔するでないぞ」


「はっ! ハーレムですの! みっちゃんに読まされた本にあったのですの!」


「そうじゃ、異世界召喚でのテンプレ、元の世界で同じ屋根の下の女性、家族ぐるみでの付き合いのあった女性、まぁ、幼馴染みのレア版じゃの。しかも! ユタ殿は、クラス転移に巻き込まれたとなると、主人公の可能性大じゃ!」


「ほわぁ~! あっ! それに生産職ですの! 成り上がりですの! 王女様に聖女様に他種族の王女様に貴族令嬢から奴隷の女の子ですの! 後は、ダンジョンでは最下層に落っこちてレベルアップですの!」


「うむ。その通りじゃ、そして妾と葉月、お主もハーレムメンバーじゃ!」


「ほえぇ~! 用務員さん確かにダンディーマンでしたの! 今は凄く可愛いですの! 美味しいご飯食べて欲しいですの! 宜しくお願いいたしますですの!」


善き哉善き哉よきかなよきかな。ユタ殿、妾は三葉、こやつは葉月、葉っぱ繋がりで幼少の頃よりの友なのじゃ、良しなに頼むのじゃ!」


 まだ理解出来てはいないがこのメンバーがパーティーのようです······。





 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





 ······はっ! ここは!? キョロキョロ


「ユタさん、気が付いた?」


 どこかのリビングのような場所で、俺はいつの間にかソファーに座り、ピッタリ寄り添っている聖がいる。


「勇大さん、十分ほど気が抜けておりましたよ。大丈夫ですか?」


 逆側には紗々ちゃん。Lの字型のソファーの長い方に腰かけている、斜め向かいには後から来た二人が座っている。


「うむ、気が付いたようじゃな、妾は、三葉、改めて良しなに旦那様よ」


 え? 旦那様って?


「良かったですの、心配しましたですの、未亡人になるところだったですの、あっ、葉月ですのユタ様宜しくですの! お茶入れますの!」


 へっ? 未亡人? 何があった? 確か、······聖が不安がってたのを悪戯して······キス!


 しちゃったよなぁ······。


 そんで紗々ちゃんも······。


 その後は良く覚えてないが······何かやったのか?


「えっと、良く覚えてないが、聖と紗々なんかすまん」


「ユタさん! あっ、あの、私嬉しかったんです! ずっと······好き······だったから、······きゃぁ!」


 聖は左腕を抱き込み顔を俺の脇に埋めてしまった。


「勇大さん、私もお祖父様と仲の良い勇大さんを、幼少の頃よりお慕いしていました。聖とはお友達として何度も相談していましたのよ。同じ方を好いてしまいましたもの、日本国内では達成出来ない事柄でしょうが、この異世界では先ほどお聞きしたところ、一夫多妻が、良いとの事です」


 マジか······。


「それでの、妾と葉月も同じにして欲しいのじゃ」


「お願いしますの!」


 二人は頭を下げてくるけどなんで?


「ちょっ、ちょっと頭を上げて! お願いだから! 一夫多妻は、理解した、それでなぜ二人共なのかな?」


 聖はまだ顔を埋めてるので不参加だが、紗々ちゃん、三葉ちゃん、葉月ちゃんがお互い顔を合わせ頷き合い話し出す。ちなみに今はこの五人だけだ。


「ん~そうですね、こちらの三葉、葉月なのですが、少々クラスの中で浮いていると言うか······」


「そうじゃ。妾と葉月は病気なのじゃ。それも重度の。中学で治れば良いが、この病気の大先輩に話を聞いたのじゃが、病気と認識している者は治らない可能性が高いとの事での、小学生の時分より既に九年もの年月を共にする病ゆえほぼ諦めておる」


「そうですの。小学生二年生の冬休みからですの、みっちゃんのお姉ちゃんが持ってた本に魅せられましたの!」


 あっ何かわかってきたかも。いわゆる中二病? やったかな? それが私生活、学校内にも持ち込んじゃったら引いちゃう子もいるよな。


 まぁ、俺もアニメはさすがに卒業したが漫画はまだ読むしなぁ、男のオタクより女のオタクのが可愛くて良いんじゃないかな。そう思ってる同級生も居るかもだが、入って行ってオタオタしてたら陰キャ認定とか前に漫画で見たな。


「うん。女の子のオタク、そう言うのも可愛いと思うよ」


 よし、うまく言えた感じかな。


「本当ですの! 嬉しいですの! 小学生四年生ぶりに認められましたの!」


「良かったのじゃ~もう先は無いと思っておったのじゃ~」


 聖が抱き抱えている手を外してもらい、三葉ちゃんと、葉月ちゃんの頭を撫でてあげた。


 二人は頬を赤くしうるうる······ヤバっ!


 サッと手を放しL字ソファーではなく一人掛けに座る。


 聖と紗々ちゃんはニヤニヤ。


 三葉ちゃん、葉月ちゃんはうるうる。


 どうしたもんか······。


「とっ! とにかくパーティーになるって事で良いのかな?」


「ぶぅ~ユタさん誤魔化したぁ~」


「うふふっ。まぁ、今は良しとしましょうか。そうですね、まずは役割分担ですが、職でほぼ決まりますね」


「ああ。まず俺はこのメンバーの装備品だな」


「ユタさん、私お薬造るね♪」


「私は回復魔法の修練が急務ですね。まぁ、ほぼ使える状態の様ですので素早く正確に行使するようにですね」


「妾はポーション系じゃの。素材が必要じゃが、そこは相談じゃな」


「料理! いっぱい美味しいの作りますの! アイテムボックスって時間止まってますの?」


「いや、時間は進むみたいだな。それにレベル1だと小さいな、一メートルの立方体くらいだな。後」


 皆に手招きし近くに寄って貰う、そして小さな声でこそっと言おう。


「実は俺、無限収納持ってる。更に時間の停止、早める、遅くする事も入れた品物毎に調節可能みたいだ」


 神眼で自分の無限収納を見ながら話す。


「なっ!」


「し~」


 三葉ちゃんの口に人差し指をあてる、ぷにぷにやん。


「内緒にね。この国怪しいからなるべく自分達の力は内緒にした方がいいよ。後、力の報告もしないとダメだと思うから下方修正して報告する方が良いかな。そうだ、その腕輪、奴隷にする魔法も付いてるけど俺が解けるから心配しないで良いよ」


 良し、今はこんなもんかな。


「なので、じゃんじゃんじゃん作れるだけ作って保管しちゃいましょう!」


「は~い♪」「はい!」

「分かったのじゃ」「はいですの!」


「では席に戻ってくださいな」


 声を戻して促した途端、見張られてた?


 コンコンコンとすぐにノックがされた。


「夕食をお持ちしました」


 聞かれてないよね? まっ、とりあえず返事して開けやんと。


「はい。あっ! 開けますね、ちょっとお待ちを」


 ドアまで素早く移動し、扉をあけた。


「ご苦労様です。ソファーの所のテーブルにお願い出来ますか?」


「はい。ではそちらに、こちらのポットは温かいお茶をご用意しております。魔道具でしばらくは温かいままですのでお食事終了後も美味しく頂けると思います。」


「ありがとうございます」


「では後程、お食事終わりましたらドア横のベルを鳴らして頂きますと食器を下げに来ますので、よろしくお願いいたします、後、寝具は隣の部屋に五組用意があります、分からないことがあればお気軽に相談してください。では失礼します」


 そう言ってメイドさんは深く礼をした後、出て行った。


 ふう、なんか疲れたけど飯でも食べるか······席には皆が付き俺を待っていてくれたみたいだ。


「ごめん、待たせたな、良し食べるか、あっ!」


 危ない、鑑定一応しとかないとな。


 皆に、し~と口に人差し指をあて待てと手のひらでナイフとフォークをとろうとしていた皆を止める。


 一つ頷き鑑定開始!


 ふむふむ、ヤバいね。何がヤバいって変な薬っぽいのが入ってる、それも、すぐ効く物じゃなくて何度も口にすると多分、五十日から百日位かな? 効きやすい人と効きにくい人が居るからやけど、飲み続けると自己判断が出来なくなってくる効果が有るようだ。


 それも、ご丁寧に全ての料理に、飲み物も見てみると同じだった。


 これは、錬金術でいけるのかな?


 ちょいちょいと三葉を呼び耳元で話をすると


「うむ。出来そうじゃが、全て抜くには魔力が足りんな。旦那様、魔力補助が必要じゃな」


「私出来ますよ。三葉に補助すれば良いのですね、回復魔法に有りました」


 おうっ! 今気づいたが皆顔が引っ付くくらい近い。


「うむ。頼むのじゃ、行くぞ、分離! 良し補助頼むのじゃ、分離!」


 数度の分離で小指の先くらいの量の薬が分離出来た。


 まぁ、それは俺の無限収納に死蔵しましょうかね、ほいっと!


 考えたら他の皆は食べちゃってるんだよなぁ、五十日以内に解決しなきゃあかんね。気張るかな!


「良し食べるか!」


 おお、美味いやんか! せっかく美味しい料理なのに勿体ない事するなぁ、それにしても、早い段階、一月ひとつきくらい位かな? せめて1月半ひとつきはんって所だな勝負は。


 それまでに地力上げて、情報集めて······。


 転移魔法みたいなの無いのかなぁ······。


 調べるか、ステータス&職業▼ポチっとな!


 おっと、色々有りすぎて、魔法系はと、整理出来たら良いのに、せや検索とか?


 OK Go···あかん!


 良し、OK God! 転移魔法検索!


 とかしたら!


 ピコンッ!


『一件の検索結果があります』


『表示しますか? YES/NO』


 出来んのかい!


 神様、引っ掛からないレベルでのおふざけでお願いいたします。


 とりあえずYES! ポチっとな!


 古代魔法:転移

 現在使用不可

【修練により解放されます】


 ほう! 古代魔法ね。どないな修練でっしゃろ?


【修練により解放されます】

 を押してみる!

 ポチっとな!


『初回ボーナスにより解放しますか YES/NO』


 おっと! これは欲しいよなぁ、何にしても移動手段としては優秀だし、YES!


『古代魔法:転移のスキル解放しました』


『初回ボーナス使用に付きLv MAXに上昇、最適化開始します』


『最適化開始迄一時間です』


 何と! これはこれは神様ありがとうございます。これで複数人での転移が可能なら逃げるの完了したも同然やね!


 良し食べ残しもあかんし、残りも食べちゃいましょう!




 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





「どうにか腕輪着けられましたね」


「うむ、あのガキになったおっさん、ユタとか申したか、あやつの足首と言い出した時は焦りはしたが、問題なく機能したようだ。」


「はい、この成功例は、中々良いな、足首で効果有りなら、バレる事無く増やし、他国に潜り込ませる駒が······誰だ!」


 コンコンコン


「メイド長殿を、お連れしました!」


「入れ」


「はっ!」


 ガチャ


「良し、お前は下がれ、明日はガキ共の、王への謁見がある、準備を進めよ!」


「はっ!」


 兵士は、そのままバックし、扉まで下がりドアを閉め、カチャカチャと遠ざかる音がした。


「勇者様方への夕食の配膳完了いたしました」


「うむ、問題無しか?」


「はい。戦闘職様方は、男女別の部屋を用意し滞りなくお食事を開始しました。支援職様方は、男性? 幼児が一名であった為、五人同室にし、配膳後まだ話をしていたみたいですが、数分後には食事の音が聞こえてきましたので問題無いかと」


「良し。戦闘職は、城内での修練になるが、支援職は、ギルドと教会での修練。朝晩の食事の用意は戦闘職より少し多めにな。調理士は、執事·メイドギルドのマスターに連絡を、良し、ギルド地区で纏めておいた方が良いな。」


「はい。ギルド地区であれば治安もほどほど良いと思われます。」


「城の東門から出入り出来る様に手配だ、行け」


「はっ!」


 白髪の騎士が立ち上がり、部屋を行く。


「ふむ、騎士団長も、もう少し頑張って貰わないとな」


「うふふ、魔道士長様、騎士団長様はお歳ですし、全ては把握していないのでしょ。奴隷にするには、王家への危害の恐れと納得させましたが」


「堅物じゃからな。騎士団長には薬も精神安定の為、精神耐性が付くまでと言うておる」


「うふふ。この手の事は騎士団では難しいでしょうね。暗部は、いかがですか?」


「暗部か、奴等も使えん、あれ達は、王命のみでしか動かん、ワシですら誰一人とも会ったことが無い、本当に存在るのか? と考えが出るほどだ、忌々しい!」


「うふふ、そうですね。では、今宵はいかが致しますか? お酒でもお持ち致しますか?」


「あぁ。少し強いものを頼む」


「はい。では後程」


 メイド長は、音もたてず立ち上がり部屋から出て行った。


「魔道士長も困った方ね。まぁ、もっても少しですね、うふふ」


 メイド長の独り言の後、静寂に包まれた······。





聖「美味しかったね~」


紗々「はい、中々のお味でした」


三葉「うむ。デザートはもう少しというところじゃな」


葉月「やっぱり異世界! お砂糖高いとか? お塩もありそうですの!」


 では、食器お片付けしてメイドさん? 呼びましょう。


 チリンチリン


 鳴らしてテーブルに向かう為振り返る。


 カチャ


「お呼びでしょうか」


「「早っ!」」


 扉前に居たの? まだベル鳴らして半身返した所だよ!


「あっ、驚かせてしまった様ですね。このベルは魔道具となっておりまして、このベルと対になるこちらのブローチなのですがベルが鳴らされると魔法が発動し、ベル側へ転移されます。」


 ほぉ、鑑定しちゃおう!


 ★呼び出しのベル:綺麗な音が鳴る


 へっ?


 ★彼氏に貰ったブローチ:彼氏が元彼女から盗んだブローチ


 おい! 全然魔道具違うやん! やっぱ部屋前に居たんやな、大事な話は小声でやるしかないな。


「すげー! 凄い物ですね! あっ、そうそう、夕食ごちそうさまでした!」


「「ごちそうさまでした~♪」」



「はい。では食器下げますね」


 メイドさんは素早く食器を寄せ、部屋のすみに置いてあった台車ヘ乗せて台車を押して行く。


「そちらの三つの扉は、正面が寝室、左の手前がトイレ、その隣がお風呂になっております。右の扉はキッチンがついておりますので、もし何か必要な物がありましたらお呼び下さい、この後、明日の朝まではこちらのベルも機能停止されますのでご了承下さいませ、では」


 そう言ってメイドさんは出て行った。


「なるほどねぇ」


 と振り返ると、あら? 誰も居ない?


紗々「きゃ~♪ おっきいお風呂ですぅ~♪」


聖「おおっ! キッチンも凄いよ! こっちこっち!」


紗々「あら! そうですね、こちらは冷蔵庫? きちんと冷えてますわ、お風呂上がりの飲み物冷やしましょうか?」


「「賛成~♪」」


「おーい」


三葉「ほぉ、これがコンロになるのか? ふむふむ、IHヒーターとよく似た感じじゃな」


「おーい」


葉月「いい感じですの、調味料もそこそこ揃ってますの、でもやっぱり塩、砂糖、後胡椒も少ないですの。みっちゃん、みっちゃん錬金術で増やせないですの?」


「おーい」


三葉「なんじゃ? 増やすのか? ん~このままだと難しいの。塩なら海にでも行けばいくらでも増やせるが、砂糖、胡椒は原材料が無ければ、モドキしか作れんのぉ。しかも、身体に悪そうな素材から作るのでな、おすすめはせんの」


「おーい」


 泣くぞ······


紗々「そろそろ、対応しませんと泣いちゃいそうですよ勇大さん」


三葉「仕方がないの、メイドなんぞガン見しとるから悪いのじゃ」


葉月「ごめんなさいですの、私は気が付かなかったけど、ごめんなさいですの」


聖「ユタさん、反省した?」


 はぁ~そうか、鑑定してたのをガン見してたって勘違いか······。


「あのね」


 ちょいちょいっと手招き小声で言いましょう。


「さっきのベルの魔道具ってだけど偽物ね。ブローチも」


「!!!!」


「普通のベルに、普通のブローチ、ずっと扉前で聞き耳立てていたみたい。後はお風呂に一つ盗聴用の魔道具、寝室はまだ見てない、キッチンは無いけどドアが無いから部屋の前から聞こえるかも。」


 皆少し青い顔をして、近寄ってきた。


「とりあえず、お風呂の潰すよ」


 コクコクコクコク


「良し、皆で入るフリして賑やかにしててくれる? そして何かの拍子にぶつかって壊したことにしちゃおう!」


「OK?」


 コクコクコクコク


「では、Let's Go!!」


聖「よ~し♪ お風呂入っちゃうよ♪」


「「は~い♪」」


葉月「一番乗りですの!」


 と葉月がお風呂へ向かう。


三葉「なっ! 待つのじゃ!」


 三葉も後を追う。


紗々「では、参りますよ」


 と、紗々に、右腕


聖「はいは~い♪ ユタさん行きますよぉ~♪」


 と、聖に、左腕


 まぁ、本当に一緒には入らないからいっか。


 ドナドナと、引きずられながらお風呂場ヘ。


聖「よ~し♪ 皆で脱いじゃお~♪」


「「は~い♪」」


 俺はその声を聞きながら、浴槽の縁にある金色の置物みたいな物、鑑定!


 ★聞く耳ドール:おしゃべりドールとセットでの魔道具、声は、聞く耳からおしゃべりへの一方通行


 よし、そろそろ入ってきそうだから、スタンバイ······。


 ガラガラ


 後ろを見ずに聞く耳ドールとにらめっこ。


聖「よ~し♪ 綺麗になるよ~♪」


 その声を聞いた瞬間に、聞く耳ドールを、掴み足元へ叩きつけた!


 パリン


 よし鑑定!


 ★壊れた聞く耳ドール:壊れています、修復不可


 よし! 振り向きながら声をかける


「壊したよ、これでぇ~!」


 皆様裸でバスタオル装備······ちょっと!


 神体強化!

 シュ


聖「あっ! 逃げた!」


葉月「ヘタレですの!」









 ヤバかった······何考えてんのやほんまに!


 おっちゃんまいるわほんま。


 まぁ、聖と、紗々ちゃんは小さい時お風呂入れてあげたけど保育園迄やもん!


 高校生にもなってほんまに、勘弁して欲しいわ全く。


 はぁ、転移はどうかなっと、OK!習得してますな。ってか古代魔法、●転移の横にも一つ●あるね······


 ポチっとな!


 ●ルーム

 とな? ポチっ!


 ●ルーム


 ふむ、わからないか、修練しなきゃダメな感じかな? 名前的に部屋? 転移の次に来るから、お部屋を作る感じかな、異次元空間みたいなところに。


 まぁ、とりあえず置いておこう!


 転移さんドンっ!


 ●転移

 Lv 1~3 目視での転移が可能 自身と持ち物(非生物)


 Lv 4~6 目視での転移が可能 自身と持ち物(非生物)と一名の転移が可能


 Lv 7~9 以前行った場所ヘの転移が可能 自身と持ち物(非生物)と十名迄の転移が可能


 Lv 10 以前行った場所ヘの転移が可能 人数制限無し


 Lv 20 同行者の行った場所ヘの転移が可能 人数制限無し 他者を自身が行った事のある場所への転移が可能 人数制限無し


 Lv 50(MAX) 世界地図にて転移場所を選べる、転移制限無し


 ほう! これはこれは良いではないか!


 ってかMAXってレベル50! レベル10が最高とか言ってなかったか? まぁ、制限無くポイポイ転移出来るのはありがたいね。最悪パーティーメンバーだけでも連れて逃げられそうやし。


 とりあえずっと目視で部屋の端へ、ほいっと!

 パッ


「うおっ!」


 思わず声が、イキナリ目前に壁はビックリやわ。


 方向変えれるかな? 目視で、ほいっと!

 パッ


「どわっ!」


 良し、方向転換行けますな、流石に背中が壁に付いてたらビックリするわ! 後は行ったこと有るキッチンへは、ほう、頭にキッチンの映像が、これは便利やね。一応目視の延長みたいなもんか。


 よっしゃ! 転移!

 パッ


「成功!」


 これ慣れすぎると運動不足に成りそうやから、その辺は気を付けましょう! んで、MAXの地図はっと、うおっ!


 衛星写真みたいやん! ってか何処かわからん······えーっと、こういう時はナビなら、現在地の表示カモン!


『ナビゲーションを開始します』


『現在地を表示します』


『データを読み込み中しばらくお待ちください』


 ピコンッ


『正常に読み込み完了しました』


『現在地表示します』


 ピッ


 おお、ナビならって思ったら普通にナビやん! えっと、海に行きたいなぁ。綺麗な島で安全な所とか有ったら宜しくナビさん!


『検索完了地図表示します』


 ほう、結構離れてるのかな? 明るさが変わったし。


『現地情報 時間は午前九時 気温二十五℃ 晴れ』


 何と! これは便利やね、映像はっと、ほうほう何とも綺麗なハワイみたいな綺麗な海やね、行ったことはないが。


 まだ、出て来ないよな。一回行ってみよっと! 転移!

 パッ


「うおぉ~! スゲ~! ほんまに外や! っとあんまりゆっくりしたらまずいから帰りますか! えっと帰りはナビさんて、ここへの転移前に居た場所表示お願い!」


『表示します』


 よしよし、帰りますか転移場所を確認してOK! では転移!

 パッ


「よっしゃ! 完璧!」


『お疲れ様です』


『これより再起動を開始します』


『意識が落ちますので楽な姿勢でお待ちください』


 えっ? 何? 再起動?


 わわわっ! とりあえずソファーへ!


『開始十秒前』


 ヤバい! 早くソファーへ!


 タタタタタタ


 ボスッ! 良し!


『開始します』


 間にあ っ た······。




 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




聖「はぁ、良いお湯だったよ~! あれ?」


紗々「お先に頂きました」


三葉「温泉かの? 肌がツルツルするのじゃ」


葉月「楽しかったですの! やっぱり早く道具作ってなの!」


聖「寝ちゃってるね······」


紗々「皆さんお静かにね」


三葉「お疲れのようじゃな、ベットに連れてくかの」


葉月「賛成~ですの!」


「「しぃ~」」


葉月「ごめんなさいですの」






紗々「はわわわ、大きくなってきました♥️」


紗々「確か、こう上下に、そしてペロペロだった筈です、いきますね」


 ジュポジュポシコシコシコ

 レロンレロンシコシコシコ


紗々「先が膨らんできました♥️ そろそろの筈です♥️」


 ジュポジュポシコシコシコ

 ジュポジュポシコシコシコ

 レロレロレロレロシコシコシコシコ

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

紗々「んくっ♥️ ······シコシコ


聖「紗々ちゃん大丈夫?」


紗々「んあっ♥️」


聖「凄い、いっぱい出てる!」


三葉「おお! 味はどうなのじゃ!」


葉月「ほぇ~、あっ、まだちょっと出てますの! いただきますの! あ~ん」


 ジュッポッジュポシコシコシコ

 ジュポシコシコ

 レロレロレロレロシコシコシコシコ


聖「あっ! 紗々ちゃん飲んじゃった!」


紗々「うふふ♥️ 苦いですが癖になりそうです」


三葉「ふむ、そうなのじゃな、って葉月何を抜け駆けしておる!」


聖「あっ! 葉月ちゃんスゴく速いよ!」


葉月「んふんふんふんはっ、大きくなりましたの! それにちょっと残ってましたの! にがにがうまうまですの!」


聖「じゃあ次私も~!」


三葉「妾もやらせて欲しいのじゃ!」


紗々「順番ですよ♥️ 私はやっちゃいましたから♥️ 一人一回ずつね♥️」


三葉「分かったのじゃ!」


聖「うんうん、葉月ちゃん頑張ってね」


葉月「ふんふんはふんふんは」


 ジュポジュポシコシコシコシコ

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・




 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




(ん? 再起動終わったのかな?)


『おはようございます正常に再起動完了しました』


(おお、そうなのね、ありがとうお疲れ様!)


『これが私のナビとしての仕事ですのでお気になさらず』


(そうは言っても、助かるよ)


『ではそのお言葉お受け取りします』


(あれ?)


『はい?』


(受け答え出来るの?)


『はい神より勇大様の助けに成るようにと承っております』


(えっと、これから宜しくお願いしますね)


『こちらこそ精一杯サポートしますね』


(ほう、ビックリだがこれは助かる。ってか、ソファーで気を失ったはず·····だけどベットにいるし! 皆いるし! どないしょ! そや! 転移ソファーへ! ほいっと!)

 パッ


「ふいぃ~。ヤバかった? 手後れ? ってか疲れてる気もするし、スキル覚えるのもやっぱりズルはあかんのかな」


『昨晩は四人皆さんで勇大様を、ベットへお運びし、並び順を、ジャンケンで決めてお休みになりましたよ』


「では、一線は超えて無いよね?」


『はい、皆さんでお休みのキス♥️♥️をし、そのままお休みになりましたよ』


「ダメじゃん!」


『後、話はかわりますが、私と話す場合は声に出さない方が宜しいかと。独り言に聞こえますよ』


「なっ!」


(そうなんだ、了解)


(はぁ、よし、今何時?)


『午前八時を少し回った所ですね、後、部屋近づく者が居ますね』


(ほう、メイドさんかな? 転移の映像見るのでドアの外見れるかな?)


『可能です、ですが、よくその使い方思い付きましたね』


(昨日キッチンヘの転移練習の時ふと思ったんだよ)


『なるほど良い使い方だと思います』


(後声とか音も聞こえると最高なんやけどね)


『ほう。それは良いですね。行えるか確認しておきますね。到着したようです』


(では確認! ふーん、入って来る感じじゃ無いね、ベルの魔道具モドキの準備かな)


『魔道具モドキですか?』


(そうそう昨日ナビさんに会う前にね······)


『そんな事があったのですね』


(この国が怪しいって思っているから、色々調べて最終的にはとんずらかな)


『······おかしいですね』


(なにが?)


『いえ、後で確認してみます』


 さてどうするかな、まっ、お腹空いたし朝御飯頼もうかな。


 扉に近づきベルを手取り鳴らす。


 チリンチリン


 カチャ


「おはようございます。お呼びでしょうか」


 分かってるが、心臓に悪いなこれ、あはは。


「おはようございます。朝御飯を、お願いしようと思いまして」


「わかりました。二十分ほどお待ちいただけますか?」


「はい。大丈夫です、皆も起こしますので、で食事の後の予定とかわかりますか?」


「本日は、王様との謁見がございます、その後は修練に向かうと思われます」


「そっか、ありがとうございます。では、朝食お願いできますか」


「はいでは後ほど。失礼します」


 メイドさんは出て行った後、遠ざかって行った。


 んじゃ、寝坊助共を起こしますかね



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