たぶん巻き込まれだが、神になったので、まったり? あれ?なぜか奥さんが増えていくのだが······
いな@
第一章
001 召喚
「はぁ~夏休みどうするかなぁ」
購買室のレジから現金を取り出し、お釣り用をレジに残して残りを金庫に入れる。
お昼休み迄に売れた品物の数を、パソコンで管理のため打ち込む、けっこう品数がギリギリやね、ちゃんと確認して、別のファイルで、ほいっと!
「勇大さん、パンの残りどうします? 期限間近の少しあるよ。日曜迄はいけるよ」
購買にパンを卸してくれているパン屋さんがいつもの週末恒例の、押し売り? いや買うんだが、声をかけてくれた。
「おっ! 半値で!」
「バカですか! せめて七割は貰わないと娘のお小遣いにならないじゃないですか!」
「オヤジさんに言いつけてやる。······まっ、良いか。十五個くらいあるか?」
「ん~と、十七個あるね、全部買ってちょうだい、また持っていくんでしょ?」
「おう。下宿先にちびっこ共が、親の帰り待って大騒ぎしてるからなぁ」
思い出し笑いしてしもたやん。
「しかし、勇大さんもよくやるねぇ、自分の子でもないのに」
「ん? ん~そうだな、五十前で嫁無し、子無しの用務員。······考えると何してんのやろね、あはは」
「はぁ~、父に嫁候補でも探して貰う? 勇大さん、見た目は三十歳台でも何とかいけるよ?」
「そうか? まぁその辺は気が向いたらかな、よし!」
そんな話をしながら俺は、少し早いが夏休み後の注文書を作成していた。夏休み後の品物なのでそこそこ多かったが、今からチマチマ作っておくと、数字だけ変えるだけなので楽チンだ。
「おっ? 何だ?」
何か手帳のような物を俺に突き出してくるパン屋さん。
「これパンの保冷庫の隙間に落ちてたよ、生徒手帳、今なら終礼に間に合うんじゃない? 私もこれで引き上げるし早く閉めて持っていってあげなよ」
手渡してきた物を見るとこれ欲しい。
「了解、ありがとな、俺もこれ欲しいよ、駅前の商店街で割引あるし!」
「バカですか! 学生でもないのに貰えるわけないじゃないですか!」
パン屋さんと一緒に購買室を出て、鍵をかけながら扉横の札を開店から閉店に裏返す。まぁ鍵掛けたから誰も入れやんし大丈夫やけどね。
「んじゃ、ありがとうな。また来週も頼むよ!」
「はいはい、また来週ね」
手を振り遠ざかって行くのを見て、手元の生徒手帳を見る。二年生の物だとわかり二年の教室へと向かいましょうかね。二年生の教室がある廊下に到着。
ガラガラ
おっと、教室の扉が開き先生が出て来た。
「あっ、先生お疲れ様です」
ペコリ、挨拶は大事やしな。
「ん? おぉ勇大さん、お疲れ様です。どうされました?」
「購買で生徒手帳の落とし物がありまして、届けに参りました」
「そうでしたか、私はこの後週末会議で、······時間がないですが、入ってください」
忙しそうな先生と一緒に教室に戻るが、この教室って確か······。
ガヤガヤ
生徒たちが帰り支度と、部活へ行く準備をしている中、先生がパンパンと手を打つと、一斉にこちらに視線が集まる、まだ結構残ってるんやね。
「皆少し待ってくれ、購買で生徒手帳を落とした者がいるらしく、勇大さんが届けに来てくれた。」
「ユタさんお疲れ! 誰だ? 落としたの?」
声を上げたのは
「おいコラ! 俺はユウタだ! ちびっこ聖!!」
「なっ! これから伸びるんです! バインキュッバインってなるんです!!」
パンパン! 先生が手を打つ、流石先生やね、一発で皆が黙って集中。
「はいはい、ところで勇大さん、生徒手帳に名前書いてありました?」
「二年七組の、
生徒手帳の表紙をめくり確認、そう、ここは二年一組······教室ちゃうやん。
「ふむ、七組の清水先生はいつも連絡事項のみで、終礼は早く終わらせるからな、仕方がない私が届けておくよ、室岡君はサッカー部なのでまだ校内にいるだろうしね」
「ありがとうございます。中を確認せず二年生の生徒手帳の色しかわからなかったので、助かります。」
すると、名前は分からんが、俺と変わらん身長で、百七十五くらいあるショートカット、日に焼けた小麦色の将来美人さんになりそうな······とか考えてたら、俺達に声をかけてきました。
「私、サッカー部のマネージャーしてますから、届けましょうか?」
「おお、先生もこの後、週末会議だから助かるが、頼めるか?」
先生は俺から受け取った生徒手帳を、小麦色マネージャーちゃんに。
「はい。では私はこれで失礼します」
「よろしくお願いしますね、では勇大さん、私も会議に行きますね」
マネージャーちゃんと、先生は教室を出ていきました。
ガヤガヤ······。
「ユタさん、この後どうするんです? 週末だし、パン貰ったんでしょ?」
「聖······はぁ、勇大な。後、貰ってない。ちゃんと値切って買ってきたぞ」
「ちびっこ達元気いっぱいだから、いっぱい食べるしねぇ~」
「聖さん。勇大さんと仲がよろしいのですね」
肩までのふわっとした柔らかそうな髮質だ。某大会社の会長の孫娘で、お父さんも系列会社の社長さん、セレブ美少女ですね~。
俺の父さんと同級生な会長爺さんは、なんと俺の釣り仲間で、たまに遊びに行ったりしてるからこの子とも知り合いだ。
「そだよ~、うちの下宿に住んでるからね~、託児? もしてるから、ユタさん一緒に遊んでくれるんだ!」
「そんな感じだな」
「そんで、小さい子達からユタさんって呼ばれてるから、私もユタさん!」
満面の笑みで、ほぼ無い胸を張り、ふんすっ! だから! はぁ。呼び名は治らんのかね。
「あらあら、そうでしたのね」
微笑む
ピシッ!
鋭い音が鳴り床が光り出た、なんじゃこれと下に目が行ったら、今度は天井も光り出してますやん!
パンッ!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ガヤガヤ
ん? 何で寝てんの?
硬い床に横になり、寝ていたようだ······ん? へっ!?
ガバリと上半身を起こす、石造りっぽい床と十数名の子供達が、······後は真っ白な空間が広がっている。
「ユタさん! 起きた! よかったよ~」
聖が駆け寄り、ダイブしてくる!
「グハッ!」
目の前が真っ暗になり、僅かながらも、“ふにょ” っとクッション······もう少し堪能······は、ヤバいから、聖の
「何する! 鼻血出るやろが!」
鼻をさすりながら、まだコアラのように引っ付いて離れない、聖の頭を撫でておく、はぁぁ、しゃあないか。
「皆起きたのに、ユタさんだけ中々起きないから」
涙を浮かべ、うるうるしている、間近だと残念な髪形が見えないから可愛いんだよなコイツ。
「はぁぁ、すまんな、······ってかここなに? 何やらおかしな所みたいやけど?」
『ふむ、最後の者は落ち着いておるな』
後ろから、声がかかり振り向くと、ふよふよと浮かぶ光の玉が······浮いてますやん!
「どわっ! 何だ!? 何で光が浮いてるねん!」
『おお、そうじゃの。では姿を合わせるか』
パアッと光りが人の形をとっていく、光が収束し小さな男の子が目の前に現れた······どっかで見た様な?
『これで良いかの? お主の若かりし姿を借り受けたが、どうじゃ?』
······はっ? 何? 俺? パニックになり何が何だか、ヤバい頭の整理が出来へん。
『ふむ、混乱しているようじゃな。』
昔の俺そっくりの男の子が、俺のおでこに触れる。
『ついでに、皆に説明した記憶も追記しておくかの』
パァと光が指先からおでこに近付き、そしてそのまま頭の中に入っていくんかい!
なるほど、異世界召喚······アモルファス王国の勇者召喚で喚ばれる途中だそうだ。
この場所は、神様から “職業” と “スキル” を貰える場所で、他の皆は、“勇者” や、“回復術士” 、“魔道士” など、ロールプレイングゲームの様な、“職業” と、“限界突破” 、“回復魔法” 、“属性魔法” などのスキルを
『どうじゃ? 落ち着き理解出来たじゃろ?』
「はい。神様、ところで俺はどうすれば良いのですか? 皆のように職業やスキルを頂き異世界へ行くのでしょうか?」
『そうじゃの。お主は少々年齢が、皆より進んでおるの。』
俺と、近くにいる聖と、紗々以外で、少し離れた所に居た子達も、近くによってきたね。
「おっさんだから、役に立たないだろうし、適当で良いじゃないですか?」
おいコラ! 確かにおっさんだがムカつくガキだな!
「そうだよなぁ。購買の用務員だし、俺らに付いて来られないよ絶対」
そうだそうだとガキ二人がうるさい。
女の子達はその後ろに居て、心配そうに
俺の近くに来た、ガキ二人の内一人がこそこそと神様に耳打ち、ガキ共いらん事言ってへんやろな。
『ふむ、そうじゃの確かに肉体的に厳しかろう、では行くぞ』
「はっ?」
訳もわからない内に神様と二人? 一人と一柱? 以外見えなくなり、床に座っていたはずが宙に浮いているよこれ!
それに目の前で両手を俺の頭に置く神様も、同じく浮いている。
『お主も難儀よの、若返りは言われるまでもなくするのだが、職業とスキルは下級にしてくれとは、嫌われたもんじゃの』
はっ? あのガキそんなこと言ってたのか!
『しかし、職業やスキルはその者に既に適性があるからのぉ、ほっほっほっ」
「告げに来た者はどうにか上級職じゃが成長率は無いのぉ、ほっほっほっ」
ほお、職は良いけど先がないってことか?
「しかし、お主はすごいの、低級職から神級まで全ての適性があるぞ、どうする? 適性があるからと言ってすぐには使えんが、何事にも修練が必要じゃから全て入れとくかの。後はスキルじゃが、ふむ、こちらも入れとくとしよう。』
「あの、何だか偉いことになりそうなんですが大丈夫ですか?」
『大丈夫じゃな。』
と
へっ?
『お主には借りがあるからの、猫を助けてくれたこと憶えているか? あやつはこれから行ってもらう世界の管理神じゃから、お主には最大限の祝福を頼まれておる』
へっ?
「学校に迷い込んだ猫?」
『そうじゃ。あやつは世界を渡った時に失敗しおって、あのままならあやつの世界が崩壊する所じゃ、ほっほっほっ。猫缶美味かったと言っておったぞ』
確かに、ひょろひょろガリガリになってたから、カリカリのキャットフードじゃなくて、給料貰ってすぐだったから缶詰にしたんだよな。
「すぐに居なくなったから心配でしたが、無事帰れたのですね、良かったです」
『ふむふむ。善き哉善き哉、よし、全て付与したぞ。後は、戻る前に当たり障りのない、見せる用のステータスにしておくかのぉ、ほっほっほっ』
はい?
『まずは、言語理解は普通に付けて、鍛冶士を職業に、スキルは、鑑定、身体強化、アイテムボックスかの、ほっほっほっ』
『本当は、鍛冶士は神鍛冶士、スキルは、鑑定は神眼、身体強化は神体強化、アイテムボックスは無限収納じゃがの。ほっほっほっ』
そして俺を見て
『しかも、レベルMAXじゃ!』
おいっ!
「や、やり過ぎでは?」
『構わん。あやつはの、お主にはのんびりまったり過ごして欲しいと言っておったからのぉ、簡単には死なない様にとしたまでじゃ』
「えっ? 勇者の手伝いとか、しないと駄目なのですよね? 良いのですか?」
『適当で良いと言っておったぞ。今回の召喚も魔物対策じゃったかな? 近隣の諸国との戦争の為? とか抜かしておるからのぉ、お主はすぐではないがその国を離れる事を薦めていたぞ、少なくとも女の子達は連れていって保護するのが良かろう』
はぁ、何か分からない内におかしな事に、ってかこれ聴いておかないとな。
「チラッと聞いた様な事で、異世界とかで良くある奴隷とかにされたりしない?」
『されるぞい』
おいっ!
「それって大丈夫?」
『大丈夫じゃ、お主はな。何時でも解けるのじゃ、他の奴もお主なら解けるのじゃ』
ほっ、なら良い、良いのか? まぁ何とかして逃げるって事だな。
『では、戻るぞ肉体は召喚時に若返るからの、後は奴隷の事は内緒に、あやつの頼みなのでよろしくな』
と言ったとたんに足元に床の感触が戻った、皆が此方に注目し集まってくる。
『これで準備は終いじゃ、何か今のうちに聞きたいことはあるかの?』
「おっさんの職業は何になった?」
糞ガキ! コイツはそのうちキャーン言わしたる!
『ん? 気になるかの。向こうにつけばすぐ鑑定してくれるぞい。』
「あぁ、他の皆は話し合いで分かったから、おっさんのも聞きたいじゃん」
話し合いなら俺に聞け! こんな奴絶対逃げる時は置いていく!
他の皆は、······女子だけだが、すまなさそうに此方を見て小さく頭を下げている、女の子は連れて逃げよう。
『まぁ、良いのかのぉ、支援職の鍛冶士を望んだのでな、その願いのままにしたぞい。お主達男子は戦闘職のみだ、女子もほぼ戦闘職だと支援職が少なく後々苦労するからの、良い選択じゃった、ほっほっほっ。』
なるほど、男子は戦闘職ばかり選んだって事か、まぁ召喚した国はその方が嬉しいだろうが、奴隷だぞ、やってられやんな。
「おっさん、分かってるじゃん! 俺らの邪魔だけはすんなよ!」
はいはい、奴隷になって頑張ってくださいよっと。
『では、良いのかの。皆には帰ることの出来ない旅にはなるが、頑張るのじゃぞ』
また床が輝き出したやん!
「えっ? 帰れないって?」
「嘘だ! ちょっと待て!」
「嫌ぁぁ!」
「ふざけんなっ!」
何だ、帰れないって······
辺りが光りに包まれ
『勇大が選んだ者以外はな、ほっほっほっ。』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「成功だ!」
「よし! 予定より少ない様だが問題あるまい!」
壁も天井も石造りの床に転がっている俺達の周りから、少し離れた所で、何やら喜んでいる魔法使いみたいな服を着た、白い
それに、数人の魔法使いみたいな人が、百メートル走った後みたいに膝に手をつき、肩で息をしているやん。
「おい! そこの白髭の爺さん! 帰れないってどういう事だよ!」
おぉ! 糞ガキ、俺もそれ聞きたいと思った所だったよ、ナイスだ! ちょっと+補正しておいてやるぞ! 神様も最後に爆弾放りやがるし······ん? にしては俺落ち着いてるな? どうしてだ?
っと、白髭爺さんが何か喋るな。
「ようこそアモルファス王国へ」
「勇者の皆様。帰れないとは?」
「召喚されたけど、元に帰れないって神様に言われたぞ! 何してくれてんだ!!」
「ふむ、そういう事ですか。もちろん帰れますよ」
「なっ! 本当か!」
「はい。召喚とは送還と二つで一つの魔法になります。それには膨大な魔力が必要になりますので、すぐにとは参りません、最短で千日程度必要になります。」
「千日······」
三年くらいか?
「それに、お帰りになる際は、
「そっ、そうか! 焦るじゃねえか、ったくよお」
「ちなみに、この場所は、もし召喚者が、人族でない者や、狂暴な者が召喚された場合の為、この腕輪が無いと出入りが出来ない様に結界が張られています」
と短い金髪イケメン野郎が、ニッコリとスマイル振り撒く······爆発してしまえ!
「では、皆様、まずは、皆様の職業とスキルを確認していきたいと思いますが、ステータスと、声に出しても、念じても良いので試して下さいませ」
「おう! ステータス!」
糞ガキが、やってみるようだ。
「よっしゃ~! 言った通り魔法剣士だ! スキルも剣術、火属性魔法だぜ!」
「おお! 上級職ですね。スキルレベルはいかほどですか?」
「ん? おっ両方レベル3だな!」
「良いですね。レベルはですね、1は見習い、2は駆け出し、3~5は一人前、6、7は上級者、8、9は達人、10は現在低級スキルの方一名のみとなりますが、そのスキルに関しては並ぶ者無しと、因みにその方は身体強化で素手でも斬撃を掴み傷付かないと、いわれています」
なんと! それは凄いが、レベ3はとりあえず一人前なんやね。
俺はどうかなっと、ステータス!
名前 ユタ
性別 ♂
年齢 9歳 ※48
職業 鍛冶士Lv 2 ※神鍛冶士Lv MAX▼
スキル
鑑定Lv 1 ※神眼
身体強化Lv 2 ※神体強化
アイテムボックスLv 1 ※無限収納
精神耐性 ※完全耐性▼
HP 3 ※測定不能
MP 3 ※測定不能
STR 3 ※測定不能
DEF 3 ※測定不能
AGL 3 ※測定不能
DEX 3 ※測定不能
MIND 3 ※測定不能
INT 3 ※測定不能
LUK 3 ※測定不能
おい······。
エライ事になってますやん、途中の▼はとポチっとな!
ぶはっ!!
職業が並んでますやん!
スキルは······並んでますやん!
どないせ~言うねん!
あら? 灰色? ポ······ポチっとな。
現在使用不可
【修練により解放されます】
あぁ、“入れとくの” って入ってるだけかい!
なるほど、いきなり最強スタートではなく、ぼちぼち上げてく感じやね。 んで、元々表示部分は、現状使えるってことやね。
まぁ、これに関しては落ち着いてから検証しますかね。
「お~! スゲ~な!」
「はい、しかも支援職の鍛冶士の方なので戦いはしませんが、なんでも真っ赤に焼けた鉄を素手で持っても大丈夫だそうですよ」
焼けた鉄て、まぁ、鍛冶やるならめっちゃ有効やね。
「最強じゃん!」
「しかし、武器の使用が、スキルが無い為に、素人に毛が生えた程度で、負けませんが勝つことは出来ないとおっしゃってます」
「勿体ね~な!」
確かに勿体ないなぁ、覚えられないのかね?
「そうなのですよ、スキルとは修練で憶える事が出来るのですが、適正が無いといくら修練しても駄目なのですよね。アルバト様も残念がっておりました。」
アルバト様? あぁ、鍛冶士の方ね。
「ちなみに皆様は、勇者でありますので、全てのスキルが獲得可能です。ですが、初期に出てないスキルは、レベル10まではまず上がらないでしょう、3~5くらいまでは上がりますので、手数を増やすために修練することをおすすめします」
ほうほう、まぁ、色々やってみますかね。
ってか、年齢 9歳······※48······おい!
まだ腰を床に下ろしたままの姿勢で、目線を下に、着ている服等はそのままの様だが、ズボンの裾がペタンとなり、履いていた靴が、スニーカーだが脱げている。
手を上げてみる······袖から手が出てない? ドキドキしながら袖を捲ると? ん? 小さな手が? ん?
落ち着け、深呼吸だ!
吸って~吸って~吸って~吸って~吐く~
もう一度確認······。
「なんじゃこりゃー!」
皆が一斉に此方を向くが、そんなこと関係ない!
とりあえず立ち上がり頭から足先まで触診?
ペタペタペタ······
「若返るって若過ぎじゃー!」
「何だ! デカい声出しやがってガキ! ってお前誰だ?」
「あんな子いた? ちょっとかわいいね~♪」
「······」
「ねえねえ。君って迷子かな? お母さんは?」
「······おい、聖」
「君! お姉さんに呼びすては駄目だよ!」
「俺だ」
「オレ君て言うのね♪ 中々カッコいい名前ねぇ~」
と聖が頭を撫でてくる。
「最近のキラキラネームってのかしら? でも可愛い~♪」
「けっ! ガキが」
はぁ、気付けよまったく······って無理か、何かテンパったのが
「おい聖、俺だ、勇大だ!」
「へっ?」
「なっ!? おっさん!?」
「ぶはっ! 神様ナイス! 神様におっさんは年寄りだから若返させろって、今の神様くらいって言っといたんだけど······ナイス! GJ!」
あかん、ブチ切れそうや······。
一発シバク! 糞ガキに向かって走りだし!
バタン!
ズボンの裾を踏み見事に顔面ダイブしていた。
「痛っー」
鼻を押さえるが痛みが······ん? 痛くないぞ?
「あ~! 大丈夫ユタさ~ん!」
声の方見ると聖が突進して来る······おい! ちょっと待て!
ズシン!
「グハッ!」
ぐっ! コイツは! ってこれも痛くない?
あっ! 身体強化! ってか神体強化か! スゲ~な、完全に鼻から転けたのに、聖のタックルは、大人の時でも結構しんどいのが、ふわっと触ってきた程度とはこれ、バレない様にしないと面倒くさい事になりそうやね。
あかん整理出来やんから、とりあえずは痛いふりしとこかね。
「おい聖、どけ」
またコアラ状態の聖の頭をナデナデ······しながら糞ガキに目を向ける。
「糞ガキ! いらん事しやがって何考えてんだ!」
「はぁ~! おっさん若返って良かったじゃん! 感謝しろよギャハハハ!」
よし! やっぱり二発シバク! 聖をひっぺがえし立ち上がり糞ガキに向かって走りだし!
「駄目!」
聖が事もあろうにズボンの裾を······。
ズルっ! スポっ! バタン!
「痛っ!」
って痛くないって! すぐさま立ち上がり
「キャー!」
ん? 声を上げる方を見ると、顔を手で隠した女の子達が
何か······。
スースーする······。
下半身が······。
目線を下に······。
パオン? 大丈夫だ! シャツで見えてない! はず!
足元には三組千円のトランクス······。
その向こうには俺のズボンを胸に抱えこんでいる聖······。
そっとトランクスを拾い履くがブカブカ······。
「ユ、ユタさん······ごめんなさい」
皆の沈黙が痛い······。
「聖、ズボン返せ」
膝立ちのまま近くに来て、そっと渡してくれる。
何とかズボンを履き、ベルトを限界まで締める。
ベルト穴で調節するタイプだと詰んでいたが、フリー調節のタイプで助かった。
ズボンの
上着は中に入れるとゴワゴワで気持ち悪いから外出し······。
わ~い♪ ワンピースみたい♪
ってやってられるか!
とりあえずは! ダッシュ! 糞ガキにこのやり場の無い怒りも追加で三発だ!
ドンッ! 「ギャッ!」 (鳩尾に正拳一発目)
ゴンッ! 「グハッ!」 (アッパー気味に顎へ二発目)
グシャ! 「ギョピ!」 (膝蹴りを下から突き上げる様にゴールデンボールへ)
オマケに前屈みになった糞ガキの顔面に!
ビシュッ! 返事は無い。 (顎を掠めるように肘打ち)
糞ガキはそのままうつ伏せに、お尻を上げた状態でピクピクしている。
「よし! とりあえず今はこのくらいにしといてやる! 次は男の娘になるくらいに潰してやるから憶えておけよ!」
ん? 周りが静かやね。
「あ~、すまないが、今の状況を説明して頂けますか?」
イケメンが、そんな事聞いて来るので説明してやった。
「······というわけで、その糞ガキに躾をしたって感じですね」
とイケメンに負けないように微笑み返してやった。
「な、るほど? では貴方は四十八歳だったが、その、そこで動かなくなっている少年のせいで肉体的に九歳であると? そういう事ですか、ね?」
納得いってるのかいってないのか、複雑そうな顔で苦笑している。
チッ! 苦笑もイケメンか!
「はい。まぁ、その糞ガキの自業自得ですな! はっはっはっ」
「はははっ。で、では、少々ゴタゴタバタバタしましたが、話を進めてもよろしいでしょうか?」
「あぁ、いいんじゃない」
「えっ! ユタさん良いの? ピクピクしたままだけど······」
「はぁ、しゃーないか!」
糞ガキの頬にそこそこ勢いを付けて上げよう。
「ふんっ!」
バチン!
「ぐはっ!」
「よし起きろ! 話を進めるからシャキッとしてろ!」
まだダメージが残っているようだが知らん! 結構手加減したからいけるやろ。
「準備出来ましたよ」
イケメンさんに笑顔を向けてやった。
「は、はい! で、では話を進めますね。まずはご自身の職業とスキルは確認して頂いたと思います。しかし、私共や、他の皆様は他者の事が分かりません。それを調べる道具を用意してありますので、部屋の移動をしたいと思います。そこで先ほど? あぁ、少しゴタゴタしましたのでお忘れかも知れませんが、この部屋から外ヘ出る為の腕輪の装着をお願いします。後、この腕輪は生活魔法と、小さいですがアイテムボックスが使える様になってます」
そしてさらに奴隷にするスキルもついてますよって事ですね、中々やりますなぁ、神様に聞いてなかったら普通に騙されるよ。
「では、出入口の両脇にいる兵士から腕輪を受け取り、装着後、隣の部屋に移動をお願い致します」
皆がゾロゾロと出口に向かい、糞ガキは内股でヒョコヒョコ、うぷぷ。
よし俺も行くか。
「はいこれを装着お願いいたしますね」
「結構デカイですね、これ、手でないと駄目ですか? 俺は、鍛冶士ですので手にはなるべく何も着けたくないのですが、足首では駄目ですかね?」
「はぁ、そうですね、少々お待ちを」
兵士さんは白髭爺さんに聞きに行って、爺さんと一緒に戻って来た。
「ふむ。確かにその体格で鍛冶士の作業、······難しいか······おい、今アイテムボックスに何か入ってるか?」
「はっ! 予備の剣が入っております!」
「よし、一度手首より外し足首に着けてみよ!」
「はっ!」
兵士さん腕輪を外し、おぉっ! デカくなった! 足首に······入らないですよね、ブーツ脱いで装着!
シュッ! ほうほう今度は縮むとサイズがピッタリやん。
「排出!」
何も無いところから、手のひらの上に剣が瞬間的に現れた! おお~スゲ~!
「うむ。問題ないようだな、よしご苦労、元に戻し装備を整えよ!」
「はっ!」
「では、問題ないようなので足首で宜しいですよ、しかし、先ほどの話は本当のようですな、気の使いようは素晴らしい、ふざけておるように見えて話はきちんと理解しておる、四十八歳と聞こえたのだが、私と同年、これから宜しくお願い致します」
はいはい、奴隷にするしね。今だけかな優しくするのは、馬鹿ならね、賢いなら暫くは優しくして、修練がある程度まで進むまではこのまま、その方が自主的にもやる気が出るから、スキルの成長も良いよな。
さて、どっちに転ぶか······。
「こちらこそ宜しくお願い致します。よいしょっと! おおっ! ピッタリですね! 歩くのも······はい! 邪魔にならないようです!」
「では、隣の部屋ヘ移動しましょう」
はっ、白髭爺さん、一瞬悪い顔したよん! その後はニコニコ、なるほど、賢い方だって事か。
しばらくは情報を集めて、良いタイミングで脱走かね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます