第9章 鉱山開拓と鉱山鉄道の開発② 第47話

第47話 近代的工業化と蒸気機関車 (アリス16歳)


急速に近代化と工業化が進むキルヒアイス領

お城側の開拓地の上流側に新しく作った工場区間内に有る巨大な機関車工場

機関車工場で私の空間魔法内の錬金術で作られた蒸気ボイラーは天井の重量物運搬用のクレーンで組み立て場に設置された台車の上に運ばれて行く

運搬用クレーンを動かすモーターは魔石発電を利用した電動モーターだ


この魔石発電は、なんと発電と蓄電が同時に出来る優れモノ、前から構想は有ったんだけど、魔導機関工房が出来てから実現したんだ

剣と魔法の世界での工業化、なんか最強じゃね、たぶん最強だよね

この魔石発電電動モーターは前世の知識で色々と工業化して作ったんだ

モーターを開発し発電装置と組み合わせた。勿論、魔導工房で開発した物よ

アリスがイメージとして抱いていた物をサリエル翁がアイデアを補完しゴートさんの鍛治工房で纏めた異世界と前世の知識を組み合わせた異世界ハイブリッドとも言うべき物だよね。


車などの動力には、まだ非力でレスポンスが悪くて車両の動力向きじゃ無いけど

定格出力でギヤやチェーンを介して物体を釣り上げるには問題がないの

今のところ車両だと殆どの重量が発電装置で占められていて後は運転手が乗るスペースぐらいしか無く荷物なんかは積めないんだよ

もっと高出力の発電装置とモーターが欲しいところだよね

定格出力だとコンパクトにまとめられた魔石発電装置とモーター部分の装置は設置場所の自由度が高いから好きな所に設置出来る訳さ。


現在、私アリスは特殊な部品のみを空間内収納魔法錬金術で製作している

先程の機関車のボイラーもそうだよ、それとマザーマシンの部品とかね

マザーマシンと呼ばれる汎用型工作機械とでもいうべき機械を作っているんだ

『工作機械で作られる部品が機械のすべての始まり』との言葉がある様に最初に部品を作る工作機械をマザーマシンの別名でこう呼んだりするの

『精密で複雑な部品』を『正確かつ効率的に加工』する工作機械ね

精密で複雑な部品を正確かつ効率的に加工することで高精度の部品を安価に加工することが可能になる訳なのよ、コレで


そうして汎用工作機械で産み出された部品で旋盤にフライス盤、ボール盤などを製作する。汎用工作機械は操作に熟練者が必要になるんだけど、ただ単に穴を開けたり、削ったりだと操作は簡単だし、先程のギヤやチェーンなどもこういった工作機械群で作られた物なんだ。例えばギヤなんかを鋳造で造った物を作業員さんがヤスリ掛けして削るしか無かった物が旋盤で同じ物が寸分違わず作れるの

同じ物が同一の寸法で作れれば工業での規格化が出来るし、大量に製作できる

螺子やボルトやナットも同一寸法で簡単に大量に作れる

分かり易い例で言えば自転車のチェーン一本なんかでも同一形状の部品が大量に必要になる


自転車のチェーンなどは内リンクと外リンクという部品で構成されていて

内リンクは内プレート(板)を穴の開いた前後(横から見ると左右)2個のブッシュで結合した構造となっていて、そのブッシュにはローラーがはまっているの、そのブッシュはチェーンを分解しないと見えないよ。ローラーはブッシュを軸にして自由に回転する仕組みね。このローラーはスプロケット(自転車のギヤね)の歯の溝に入って噛み合うの。 外リンクは外プレートを左右2個のピンで結合した構造となっていて内リンクは内プレートを左右2個のブッシュで結合した構造となっているのよ。 文字で説明するとこんな感じになるんだけど難しかったらお家の自転車を参考にして見てね。外リンクのピンは内リンクのブッシュの穴に入り、外リンクと内リンクを結合しているわよ。1リンクの部品点数は、内プレート2個、ローラー2個、ブッシュ2個、ピン2個および外プレート2個の合計10個も必要になっているのよ。自転車のチェーンの部品だけでコレだけ規格化された部品が必要なの。鋳造や鍛造にヤスリ掛けじゃ、とても無理よね。小さいし。


そもそもベアリングなんかも工作機械じゃないと絶対に無理だよね〜

あの完全な球体とか円柱とか、鋳造、鍛造じゃ無理、無理

鋳造や鍛造で作られた素材を工作機械群だ精密に同一の寸法に仕上げていかないと工業化なんて無理だよね。その為のマザーマシンだよ

その機械化した工房と言うより工場群は機関車工場の隣に広大な区間を与えられている。石炭を本格的に採掘する様になれば火力発電所も建築されるだろう。


それで機関車工場のお話よね。私の魔法で作ったボイラーの運ばれる設置場には線路が引いて機関車の台車の部分が設置されている。その両サイドには組み立て足場が組まれている。機関車への部品の設置は線路の上を台車事に移動して行く様になっていて工程事に部品が集積して有り効率良く部品がどんどんと取り付けられていく。所謂、流れジョブ方式というやり方なの。前世の知識をフルに使っているよねぇ。


機関車の全長は炭水車を含めて約22m、全高約3,4m、機関車重量約145tの黒い車体に先輪2軸 + 動輪3軸 + 従輪2軸という日本にあったC62という

蒸気機関車に良く似ている、というかデザイン的には完全なパクリなんだよな〜w


(これは前世で機関車マニアだった兄貴の影響が大きいんだろうね。ミリタリーマニアでメカフェチだったという黒歴史では決して無い、きっと違う、よね?)


馬力換算で1500馬力超級になる高速重量級の機関車なのね

(どうやって馬力換算したんだい?って質問は受け付けていません。悪しからず)

鉱山鉄道だから、山登るし、馬力は大事、とても大事だよね

まぁ、こんな物を作ろうとしていたから中々、上手くいかなかったんだよ

というのはあるよなぁ。技術的には随分とジャンプアップしたけど。


それ以外にも短距離用の小型機関車もバッチリ製造予定をしてるよ。


工場の外にはターンテーブルが施設してあって方向転換が可能になっている

機関車工場は将来を見越して、お城の開拓地の上琉側に広大な工業区間の敷地を整備して、そのまま工場の外側は車両基地にもなり、前述のターンテーブルでの各方面への方向転換場所や給炭所とか給水所なんかも整備しつつある

石炭は上流の石炭採掘場から線路が開通すれば運び込まれて来る予定。


此処から各所に線路が施設されて伸びて行き、お城に作っている駅がセントラル駅と呼ばれる予定なんだ。


そしていずれは鉱山鉄道からお城を経由して港湾都市まで線路は伸びる計画だし

お城からは分岐線で辺境伯のズワルド公爵領まで伸ばしても良いしね

いずれは王都まで、伸ばすのかな? 知らんけど?


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