第8章 キルヒアイス領開拓記⑨第43話

第43話 光の宝珠の秘密③(アリス15歳)


『彼奴らは敵だ‼️』アリスの決意は固まった。

決意が固まれば、次にやるべきことは行動だ‼️


彼女は優しくアリスを抱きしめていた母親に礼を言うと力強く立ち上がった

自分のやるべきことをやろうと決意したアリスの眼には光が戻っていた

光の教団を敵と認識し、その意識を共有しようと皆んなに話しかけた。


魔法使い達はそれぞれの得意とする魔法の属性の神々を信仰して居る者が多い

例えば土魔法であれば女神のシブ・ウルーラ様、火の魔法であれば女神の

ヒノカ・ルビヤ様という様に信奉する神々を崇める

その神々の眷族達の心臓に在る精霊石を奪い命を奪うという行為は、

その神々に対して仇なす者と言う事でもある。


それぞれの理解と賛同は早かった。


魔法使い達は集団に対する帰属意識が傭兵などに比べれば薄い

そんな集団だが、自分達が信奉する神々を貶める行為となると話しは別だ


『一致団結して事にあたるべし』となった

意外だったのが何時もは好々爺とした感じの古代魔法に詳しいサリエルさんが

一番激昂した事だ (お爺ちゃん血管切れるよ)

彼は敬虔な自然への信奉者だった、神の御業で自分は魔法を使い生業とする

即ち神々への絶対的な信奉者でもある。


そんなお爺ちゃんが言った「嬢ちゃん転写のスキルの魔法紙って作れる?」

「はい、できますよ」と返事して快くサラッと魔法陣を転写した

普通あまり、そんな事は魔法使い達はしない。それだけでお金になるからだ

でも良いじゃん、ウチの魔法軍団なんだし

例の魔法紙で繋がれた秘密の契約グループなんだからさ


暫く、その魔法紙を眺めていたサリエル老が「おっ、ほほ、ほう」と感嘆の

言葉を漏らした。すると魔法紙はぼっと燃えて塵となる一回しか使えないのだ

「うむ、ワシも習得したぞい、転写のスキル」

そしてお母様から魔法紙をニ枚貰うと何事かを念じ魔法陣を描いた


その魔法紙をセシリアさんとマイロンさんに渡して習得をする様に促した

「どうかの?」と促すサリエル老。


「「はい、私も習得しました」」と二人が答える

あらら、転写のスキル持ちがこれで四人だね、イージーじゃん

そして彼は語った。


自分が便利と思い他人に譲渡しても良いと思うスキルや魔法を互いに

譲渡し合うのはどうかと

うんアリスも良いと思った。それで空間収納魔法はどうかなと提案した

四属性の魔法を習得するのが発動の要因だったと説明したよ。


不得意な魔法は他の魔法使いに魔法陣を転写して貰って覚えれば良いし

特に土魔法の得意な人は習得すべきだと思うとアリスは力説した

だって例の土木工事などの他に大量輸送にも利点が多いしね

大量輸送は戦時の兵站線にも大きく関わる問題でもあるし


四属性の土、火、風、水に空間収納魔法と光と雷の全魔法属性の適正を覚えると創造魔法が使える様になるとも伝えた。先程の転写と解析のスキルもこの場で、

開発した事も、この事実には室内が騒めいた。


サリエル爺さんは、なんかね、目がキラキラしてるw

彼は水魔法が不得意で光と雷を習得して無いらしい

普通の習得方法は何処かの魔法使いに長年弟子入りして奉仕してから

トンデモ無く高い魔法陣を買って憶えるらしいからね

そんなに全属性とか普通は必要としないし、されないし

アリスって恵まれていたのねぇ、お師匠さんはお母様だし、後は独学だしね。


実際には二つのスキル魔法をこの場で作ったからね

まぁ、そんな事実を皆さまにバラしても良いかなぁ?なんて思ったんだ

『お母様!止めてよ、その苦笑い‼︎』でも美人はどんな表情でもサマになるよねぇ

サリエル老は『うむ、うむ』と頷いているし。


まぁ、それぞれの可能性が拡がるという事で概ねその方針は好評だったよ

私自身のスキルや魔法は絶対に秘密だと言う魔法使いは居なかったしね

嫌だったら黙ってりゃいいんだし、でも鑑定持ちも多いから鑑定阻害アイテムをキルヒアイス領持ちで、この場の魔法使い達に支給する事になった。


もしバレて王族や貴族の囲い込みって、嫌だもんねぇ皆んなも・・・

基本的に冒険者で魔法使いという人種は自由人が多いからね。不自由は嫌いなの


それとこの場の秘密も守る事も併せて決めた

さて問題は光の宝珠だ、このままでは宝珠のコピーが出来ない

魔法陣解析は出来たが材料が問題だった

う〜ん、代用材料は無いかなぁ、と考えていると


『解、個体名アリス・キルヒアイスは代用材料の創造が可能です』

とアナウンスさんが教えてくれた

『それはどう作るの?』と聞いてみた

『四属性と光と雷の魔石を等分に錬成すれば可能です』

『個体名アリス・キルヒアイスのスキル空間収納内錬成で可能です』

マジかよぉ〜、私って作れちゃうの?


「お母様、私は精霊石の代用品を作れるみたいです」

これには皆んなも驚いた。だって、そうでしょショックのあまり

さっき泣いてたんですもの。そんな娘が、いきなり私作れます。ですものね

「嬢ちゃん、それって創造魔法?」とサリエル爺さん


「えっとぉ〜、空間収納内でのスキルです・・・」説明が難しいな

それで工作スキルとか元々、持ってて、空間収納魔法を覚えてから収納内での

加工、錬成、錬金のスキルを覚えましたと説明したよ

アリス作のアリス運河やらお城やら色々やらかしていたから皆んな納得したんだ

特に一緒に仕事してたセシリア嬢とマイロンさんは特に良い笑顔で納得していた


だって土を収納したら大量のレンガや石材となって出て来るからねぇ(遠い魔法)

まぁ土木工事に携わっていた人達は早くから秘密の契約を結んではいたけどねぇ

やり過ぎる娘ですいません、お母様。


取り敢えず今日は解散という事になり希望する人には転写スキルとか各魔法の

魔法陣の魔法紙を持ち帰る事となった。それぞれ練習して下さいって事だよ



ちょいと色々な事をバラした私にお母様の目付きが怖いんですけど〜

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