第8章 キルヒアイス領の開発⑤第38話

第38話  石切場とブリキの開発⑤(アリス15歳)


お父様が子爵になってから二年が経ちキルヒアイス子爵令嬢の

アリスである私は15歳になった。


スグルト川には荷物運搬用の船着き場に盛んに船が出入りしている

最早、見慣れた海竜が牽引する舟艇部隊はスグルド川の風物詩になっていたよ


街とお城の方の川辺にそれぞれに二ヶづつあるんだよ

木材運搬用の船着き場と石材運搬用の専用の船着き場だね

旧アリスシティーの貯木場も貯まるそばから減っていく


石材運搬船は上流の石切場から石を運んで来る。都市とお城の建設用の石材だ

戻りは木材を運んで石切場を整備する建築資材や人を運んでいる

石切場は上流に向かった調査団が良質な岩がある場所を見つけて来たヤツだ

更にその上流にも有力な鉱物資源があるという天龍様の話しだった

石切場は調査団の拠点と道路や鉄道路線の開発拠点でもあった。


石切場には砦を建設して食堂付きの作業員宿舎も作り警備が常駐している

石を運ぶ為の大き目の新しい舟艇もできたし、舟艇は箱型だから石材を積むのに積載効率が良い。それぞれの場所には鉄製の簡易クレーンが設置してあって積み下ろしに活躍していた。これには専用の人足さん達が居る。


蒸気機関の開発はまだモノになって無かった。試作品は出来てるが量産化にもたついていた。私の空間収納内錬成加工も鉄も加工できるようになったから試験

モデルを作ってみたんだ。それをモデルにして量産化を目指しているんだけど中々、上手く事は運ばない足踏み状態だよ

最悪は私が何基かボイラー部分を作る手もあるんだよなぁ

鉱山鉄道が完成間近になったら、その手もアリかな、車台は現状の工作技術でも作れるしね。ボイラーの蒸気細管部分で上手く行かないのよ、圧力に耐えられる物が作れ無いんだから〜


中世ぐらいの技術から、いきなり近世への技術ジャンプは幾らアリスの前世の

知識があっても中々難しく、まだ無理な話しだった。もう少しなんだけどねぇ

それに魔法がある世界では色々な所で科学が遅れてるんだよね〜


川の横断には相変わらずロープを使った原始的な物なんだがw


それに今は川沿いの堤防作りと道と線路の建設も佳境だった

例の石切場を拠点とした上流へは新たな道が作られて線路の敷設も始まった

下流への道には線路が併設して敷設してある

これは線路も併設し堤防も整備するという大掛かりな物だ

キルヒアイス領の魔法軍団は本当に頼りになるなぁ

線路は蒸気機関が出来るまでは馬車鉄道で代替えして輸送しても良いかな

そうすると馬は何頭仕立てになるのかなぁ、ずっと登り坂とかキツいよね


当分の間は海竜さんの牽引する舟艇部隊は大活躍だろうなぁ

魔法使いは幾ら居ても足りなかったから海竜さんで牽引する舟艇部隊は助かるよ

これで、アリスシティーを拠点とした海運業も成り立っているしね。


船を引っ張る海竜が居れば風に関係なくアリスシティーまで中型船まで川を

遡って入ってこれる。


併せてスクルド川の下流にあった小さな二つの漁村の場所に港湾都市の建設も

進んでいる。大きな造船所や大型船に対応した整備された港も作っており

塩田も新しく作った。港湾都市への開拓は此処もキルヒアイス領として認められた土地だし貧しい漁村の村長達は二つ返事でOKしたよ。


開発費は勿論、キルヒアイス家で持つしね

そこには港湾都市を作り立派な海龍像と海龍神社も新たに作っている

エルダー工務店の支社も出来たんだよ。港湾都市には、もう大企業じゃんw


港湾都市では大型船での海運業を予定しているが、漁業も引き続き行われる

水運を通して運ばれる魚介類はキルヒアイス領の食卓を豊かにするだろう

気の早い水の魔法使い(氷を生み出せる)は漁村に冷凍倉庫と冷凍保冷庫付き舟艇を建造していた。勿論、費用はワインベルグ商会の金融部門が出している。


取り敢えずは、アリスシティー両岸での開発だった

魔の森開からの木材の切り出して供給し、跡地にアリスシティーの本拠地を作る


後は両岸での農地、牧場の拡張だった。特に新しい牧場では馬の放牧を始めた。

騎兵隊の創設と馬車鉄道等の要望を満たす為だ。


魔の森側の開拓地点には簡易な砦を作り内部には頑丈なシェルターもあるし警備も常駐だしね。城塞の幅20mの堀から奥に10km程を更地にした

水龍の支配区域の水流域を拡大する事にした。

天龍スクルドさんの念波と水龍ハシグチの影響力で新たな堀から10km程は

新たな支配区域となり、モンスターも出てこないのだが、万が一に備えてだ

(精神的安心とも言う)


現在の城壁から奥に10km程入った所に新たな堀と城壁を作るのだ。これで一辺が20kmの四角形の城塞になる


モンスターの襲撃に備えて更に奥に5kmを更地にする

城壁の高さは50mをなんと予定している。内部は練兵場や騎士団と兵員の宿舎や

兵器工房が新たに作られる事になった。


常駐の警備の冒険者達や作業員達は交代で滞在する

宿舎にも食堂は有るが品数で飽きもくるから、そこで川渡しの舟艇で運ばれて来るキッチンカーならぬキッチン馬車の出番だった

機動性の有るキッチン馬車は道が有れば何処にでも出没した

数台のキッチン馬車でメニューも豊富だよ


馬車と言いながらコイルスプリングにゴムタイヤという例の新型のヤツだ

それに食材と調理器具を一式を積んである便利な馬車だった

調理器具は魔石で火力を得るか薪を使う二タイプが有った。


食材は保冷庫を開発したよ、木の箱に断熱材用の獣の毛皮等を張り付けて

その表面にはブリキ(薄い鉄板に錫をメッキした物)を貼り付けた箱だった

中には氷を入れて冷やす様にしてある。氷は水魔法の氷系で造ったwww


これは前世で祖母から聞いた記憶の産物だった

昔の冷蔵庫は電気を使わず氷を入れて冷やしていたと

面白い話では、その氷を何故だか米屋さんが配達してたらしい

氷なのだが、氷系魔法を使える魔法使いさん達が数人で組んで大きな氷の冷凍庫を作り氷の塊を切り出して売る商売を始めた

勿論、資金提供はワインベルグ商会だった。


そのブリキの作り方は鉄素地を塩酸の希釈溶液に吊るして浸しもう片方に錫を吊るす。そして弱い電流を流すんだ、すると浸漬して電解することによって錫皮膜が表面に作れる。腐女子の頃に金属部品にメッキをしたくてサン◯ール洗剤を利用するメッキ加工した知識が役に立ったよ。錫はこの世界でも普通にハンダ付けの素材で普及していたから素材集めは楽だった。


ブリキの製造には電撃系の魔法が得意な魔法使いの人に弱く電流を流して貰って

量産したんだよ。流す電撃が弱くて良いので楽なんだだそうだ。


取り敢えずメッキの仕方を確立すれば後は電力の確保かな

いずれは魔石発電とかも考えようかな、水力発電の方がいいかな?


簡単な生活魔法はあったこの世界で、より上級な魔法を使い科学の代わりに

使う様になって来たなぁ


でも産業改革をもっと進めて科学を発展させなくてはイケないなぁw





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