第4章 アリスと水龍 第16話

第16話  水龍の加護と水の宝珠


貰ってばかりだなぁ、と思った僕は水龍さんにお伺いをたてた。


「私如き人の娘に大いなる恩恵の下賜、感謝致します」

「御礼に水龍様には何を奉納すれば、良いのでしょうか?」

そうだよねぇ、普通に供物とか供えるよね〜


僕に将来『嫁に来い』って言われたら困るなけどなぁ

でも好みと違うとか言ってたしなぁ。大丈夫かなぁ? 大丈夫だよね⁉︎

と想っていたら大きな笑い声と共に


『ははっ、案ずるで無い』

『もうちょっとこう、胸と尻が大きければのw』


えっ❗️ 心が読まれたの⁉️


水龍さんちょっとHな笑いの顔だった。

オッパイ星人か、コイツは⁉️ プンスカ、大人になるまで待ってろよ〜‼️


大人になればお母ちゃん並みに、おっきなオッパイになってみせると

密かに心に誓うアリスであった。


『礼と申すならば毎年のこの月に、』

『牛か鹿の肉を一頭分と法蓮草を30貫(約110kg)ほど捧げれば良い』


法蓮草って、あのほうれん草?

水龍のスクルド様って、ポパイ?ポパイなの?


「水龍のスクルド様、それだけで宜しいのですか?」と問うと。


『其方が将来、より善き女子に成れば、嫁に・・・』


えっ〜、やばいヤツか〜⁉️ と思った瞬間。


『来いとは言わぬから、安心せい。はっはっはっ』と大笑いされた。

そして『ならば、我を崇めよ』と続けて言った。


うん『我を崇めよ』だから信仰すれば良いのよね。


「はい、水龍様、賜りました」と返事を返す良い子の僕

祠か神社を建てて祀れば良いのかな? 水龍様、和風だしwww


僕は自分の畑を持っているんだ。収穫量増大畑とと趣味の薬草園

だって僕って豊穣の女神の加護持ちじゃん。だから両親も好きにさせてくれる。


薬草園だけど、これはお母ちゃんにポーションを作って貰っている

現金収入の家計の足しにして貰ってる。自分家で育てているから原価は安いし

僕もお母ちゃんに教わりながら作っているんだ。


畑では試験的な物も含めて色々な作物を育てているよ

栄養価の高い作物も村に定着させたいし、家でも美味しい物を食べたいもんね。


帝国辺境領ズワルドのオリエント村は痩せた土地が多い

村には無い作物の種などを父ちゃんに都に行った時に仕入れて貰っていた

試験栽培とかしてる物が有るしスグルト様用の法蓮草栽培も必要だね。


父ちゃんに牛とか鶏を買って来てもらって酪農を始める予定もあったしね

少し酪農の予定を早めるかなぁ。肥料の為に牛糞や鶏糞も必要だし。


なんて事を考えていると

『それに我には嫁が、もう10人おるしな、これ以上増えると・・・』

げっ、10人って⁉️ まぁ、ここは一夫多妻が罷り通る文化だしねぇ。


増えると何?

『本妻様が、怖いからのう・・・』あっスグルト様、遠い目だよ。


一夫多妻以外には逆に一妻多夫の女傑も居るしね。

まぁ、性と倫理に関しては、おおらかな面も有る異世界なんだ。


あっ、メイドのアグネスなんだけど、うちの父ちゃんの第二婦人に収まったよ。

本人はお母ちゃんに遠慮して随分と固辞してたけど

「息子のトールの将来の事をキチンと考えなさい。我が家の正式な後継者なんだから」とお母ちゃんに優しく諭されたんだ


それで冒険者にして戦士であるカール・キルヒアイスの第二婦人に

めでたく収まったんだ。お母ちゃんは女としての度量が凄いわ

弟のトールの事も分け隔てなく愛しているし、アグネスにも優しいしね

未だに何かあればキツく当たられてるのは父ちゃんぐらいだよw


でもね、元腐女子の精神年齢アラフォーのアリスとしては、どんな夫婦生活なんだろとイケナイ事を妄想してしまうのよ。乙女なのにさw


あぁ、そうだ、水龍のスクルド様が怖がる本妻さんって?

「あのう・・・スクルド様の奥様って・・・」


『火龍のカグツチ姫じゃ・・・』えっ、火龍と水龍って、凄く相性悪そう。


『火の山、カグツチ火山の龍王の姫での・・・』

『我が人間の姿でいる時に一目惚れされてのう・・・』


龍族でも一目惚れあるんだ、人の姿のスクルド様はイケメンだしね

んっ?龍王の娘?龍の王だからスクルド様の上司なの?

あぁ〜 だから断れ無かったんだ〜 と一人で納得してると


『普段は善き、おなごだし、大層な美人なのじゃが・・・』

『火龍だけに、怒ると、タ・イ・ヘ・ン・に怖い・・・』


うん、奥さんの話しになるとスクルド様は遠い目で話しの歯切れが悪いよね

わぁ〜、僕の頭の中に炎を吐いて荒れ狂う火龍のイメージが・・・

なんか大変そうなのは伝わったよ。


うん、明日にでも、水龍様を祀る祠でも作ろう

いずれは立派な神社を建ててあげる。と僕は心に誓ったんだ

それから、水龍のスクルド様とは別れたんだ。


用水路を作る許可も貰ったし、僕はるんるんと家路に着いた。

まぁ、帰ってからは物凄い騒動があったんだけど・・・



それは、また別のお話し。










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