第2章 ERROR転生 第7話

第7話 父ちゃんやらかした (男って奴は)



やぁ、皆さんご機嫌いかがですか? アリス・キルヒアイスです。


異世界転生時にERROR表示をされて性別が希望通りにはいかないし…

武士ではなくて、農民の娘だし…それに場所が、日本じゃぁ… 無いし…


無い無い尽くしだった僕。でも、でもね。

順調に異世界赤ん坊ライフを楽しんでいた僕だったのですが…


我がキルヒアイス家では大事件が起こっていたのですよ。


なんとっ❗️ メイドのアグネスが妊娠していたのだ‼️

旦那さんも彼氏も居ない筈なのに… (当社調べ)


アグネスは相手の名前は誰だかは頑なにも語らない

もう隠しようもないぐらいにアグネスのお腹は大きくなっていた。


発覚してからアグネスは我が家を出て行こうとした

季節は冬だった。此処はオルザルド帝国と言う国の辺境領ズワルドというところの更にずっとずっと東に行った片田舎。オリエントの村というところ。


日本で言うと、北海道ぐらいの気候だ。真冬には日中でも氷点下にもなる様な

土地だ。この頃は赤ん坊だったから、知らない事実だったけれども


身重の女性が仕事も無く住む所も無い状態でたった一人では生き抜く事は出来ないし、ましてや出産と育児なんて簡単に出来る土地では無い

何処かに旅立つ事も出来ない。交通網なんて便利な物は無い世界だ。


移動手段は徒歩か馬車だよ。


でもって突然の父ちゃんの土下座が始まった。


そうしたら、アグネスが

「ごめんなさい。私が悪いんです、旦那様は悪くありません」

と、父ちゃんの隣で一緒に土下座しだすアグネス。


『あぁ、こっちの世界でも土下座ってあるんだ〜 』

と結構間抜けな事を思っていた僕。あ〜あ、前世で男性経験の無い僕でも

分かり易い構図です。家庭崩壊の危機なんですよね〜


ウチの父ちゃん、やらかしちゃったんだなぁ……(遠い目…)

何って、そりゃ浮気じゃん‼️


しかも僕の妊娠中にって事だよね、最低でしょ。


本当に男って奴は、男性不信で、この世界でも彼氏ができなかったら

父ちゃんの所為だからね❗️


まぁ、僕は赤ん坊だから精々

「バブッ、ブ〜ッ、バブッ❗️」って怒りを表現すぐらい。

でも僕の抗議の声も「ブッ・・・」の途中で終わった。


その時、僕はお母ちゃんに抱っこされていたんだけど…

ウチのお母ちゃんは美人さんだ。その美人のお母ちゃんが物凄く怒っている

僕はその時、お母ちゃんに抱かれていたんだがお母ちゃんの顔を見上げていた。


本気で怒っている美人さんって、見た事あるかなぁ?


夜叉って、言うのか? 般若って言うのか?

とにかく、物凄〜く『怖い‼️』


ぱっちりとした綺麗な瞳が、細く半眼となってお父ちゃんを睨んでいるし

所謂、冷たい瞳だ、氷点下?いや、絶対零度だ‼️


その視線の先は土下座するお父ちゃんに・・・・


悪いのは、お父ちゃんだけど、ほんの少し本当に、ほんの少しだけ

お父ちゃんに同情するぐらいの、とっても冷たい視線だった

美人さんが怒ると怖いと言うのは本当だった。


感情を押し殺した無表情な顔に半眼の冷たい視線

前世でも、あんな怖い顔を見た事は無い。僕は恐怖で固まった。


お母ちゃんの顔は夜叉か般若かと思う様な怖い顔だけど

夜叉は異教徒を食べる人食いの鬼だし、般若は嫉妬に狂う女性のお面だから

般若面だよね。


前世の田舎の実家で夜中にふと目覚めた時に、視線が合ってしまった般若と

呼ばれたお面の怖さがあった。


本気で怒った、お母ちゃん、でもね必死に耐えたような口調だったけど

床で土下座してるアグネスに優しく言ったよ。


今は冬、外は氷点下だ。暖房が有るとはいえ土間の床はとても冷たい。


「お腹の赤ちゃんに障るから、あなたは暖炉の前に座りなさい」

と、優しく言った。


うんお母ちゃん、男前だ❗️ 格好いいぞ‼️

その分、お父ちゃんに対する視線が怖いんですけど・・・‼️


お母ちゃんは暖炉の前のアグネスに僕を預けて「ちょっと待っててね」

と優しくアグネスに言った。

そうして、お父ちゃんは耳を思いっ切り引っ張られたまま

夫婦の寝室へと拉致連行されて行った。


部屋からは物凄い物音と

良い子の僕には書けない様な罵詈雑言が聴こえてきた。


暫くして、塩をかけられたナメクジみたいにシオシオと大人しいお父ちゃんが

お母ちゃんに耳を引っ張られながら出て来た右目の周りにはくっきりと青タンが

あんな漫画みたいなモノは生まれて初めて見たよ。

(あっ!前世も含めてです)


父ちゃんはそのまま、床に正座させられた。

(我が家での地位が下がった為に都合により『お』が抜けてただの父ちゃんになっています)


そうしてお母ちゃんは暖炉の前に座っていたアグネスの元にやってきた

アグネスから僕を受け取りつつ、お母ちゃんは優しくアグネスに語りかけた。


『生まれくる子供には罪が無い』と

『このまま、我が家に居て子供を出産する事』

『アグネスの子供もキルヒアイス家の正当な子供として受け入れる事』

『貴女に罪は無い、悪いのはカール❗️私は貴女を許します。できれば、このまま我が家に留まって欲しい』


という事を慈母の眼差しでお母ちゃんはアグネスに諭す様に優しく語り続けた。


うん、凛々しいぞ❗️お母ちゃん‼️

こうして我が家にはやらかした父ちゃんの所為で近い将来、僕の弟か妹が加わる事になった。


こうしてやらしかした父ちゃんの我が家での序列は最底辺となった。

『あ〜あ、男って奴は・・・・』




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今回は訂正少なめです。


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