第240話 そんな結末ないでしょう?
「え?」
なに?
「今回、お前に戻る時にそう言っていた。多分二度と現れないだろうと」
「えー! じゃあ、これから怖いヤツと戦う時は——?」
「自分で戦うしかないだろうな」
現代でもグラサンや派手シャツみたいなチンピラに絡まれたりすることだって起きるかもしれない。
「どっ、どうしよう?」
急に心細くなる。
虎の威を借る狐が虎を失ったみたいな気持ちだ。背中がスカスカして不安が増す。
「どうしようって言ったって、来ないもんは来ないぞ」
「ヤバい。すっかり頼りにしてた」
「……いざとなれば頼れるのは自分だけだ。稽古するしかないだろうな。それに——」
「それに、なに?」
「そもそも武道者はその技を一般人に振るっていいものじゃない。知ってるだろ?」
「待って! 僕はやってない! やったのは僕の中の人で——」
ええと、僕が覚えている限りでは、グラサンと派手シャツ相手に振り回したくらいだ。あとは——たぶん人外か鎌倉時代の武士が相手のはず。
グラサンたちは何も言ってこないから時効としよう。
「うん、時効、時効です」
「何を一人で狼狽えてるんだ? 」
「ななな、なんでもない!」
「まあ、俺もあの人に会いたいからな。とにかくお前をビシバシ鍛えることにする」
「なんで!? なんで僕を鍛えることになるの?」
「うるさい。とにかくお前が研鑽を積めばいいんだ」
「なんでー!?」
僕の悲鳴は凍える夜空に吸い込まれて消えていった。
『新宿編』終わり
次回『再会編』
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