第211話 鬼力の反魂玉


『どうじゃ? 鬼姫の鬼力きりき其奴そやつらの『反魂玉』に入れてやれば良いぞ』


 得意気な『鬼丸』が胸(?)を張る。


『……』


『なに、少し入れてやるだけで違いが出るはずじゃ。心配するな』


『心配してるわけじゃねぇよ。——ナオヤ、タクミ、君らはこれを試したいと思うか?』


一志かずし』が二人に向かって尋ねると、意外にも二人は素直に頷いた。


「意外? そうかなぁ。僕らは今、何をしたら良いかわからないまま生きてるんだよ。それって辛くない?」


 ナオヤの言葉にタクミも頷く。


「変化が起きるならやってみたいのさ」


 ナオヤの返事を聞いて、『一志』は心を決めた。




『では、やってみる。『鬼丸』頼む』


『では鬼姫のツノを其奴に近づけてみい。わしが力を貸すぞい』


『一志』が美紅のツノを指先で持ち、ナオヤに近づけた。ふわりと何かが渦巻くのが感じられた。これが鬼力なのだろう。


 鬼の力が、鬼の遺物『反魂玉』と引き合っている感覚がある。キラキラと光の粒が角から発せられナオヤの胸の辺りに向かって吸い込まれていく。


 しばらくして光は止み、『鬼丸』がため息をついた。


『どうじゃ? いんの気を取り込んでいる時とは違うじゃろ?』


 ナオヤは光が吸い込まれた自分の胸を見下ろした後、そこを手で抑えた。


「……!」





つづく

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