第201話 ユウタの回想

 ——マダ、イキテイタイカ?


 どんな返事をしたのか覚えていない。でも反射的にそう願ったのだろう。


 ——コレヲ、ノメ。


 何かが口に入れられた。それを押し込まれた瞬間、身体が痛みから解放される。


 ——オマエノ、ノゾミガカナウマデ、ソノチカラハツヅク。


 傷がみるみるうちに修復され驚くユウタの手を赤いコートのその人は引っ張った。気がつくといつの間にか事故現場から離れていた。


 だが、家に帰ろうとしたユウタは警告を受ける。


 ——ショウキヲ、マトッテイキル、ワレラハ、コノマチヲ、ハナレラレナイ。


 街を離れれば、死ぬ。


 ユウタは自分の心に問う。


 何のために生きたいと思ったのか?


 ——奴らに仕返しをしたい。やり返したい。


 ユウタはこの街に潜むことを決意したのだった。





 つづく

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