第200話 核心と確信
「レッド!」
初めて見るレッドの惑乱した姿にユウタもまた驚きを隠せない。
いつも無言で自分の命令に従うレッド。
どんな相手にも無敵の強さを誇るレッド。
そのレッドが、声を上げて逃げ出したのだ。
「……なんで……?」
レッドが飛び去った空を見つめながらつぶやいたユウタの腕を、
「離せよ!」
「——なるほど。お前にはああいう能力は無いんだな」
空から舞い降りてきた時はレッドにつかまってやって来たのだろう。ユウタの手も
「離せってば!」
『少し、お前と話がしたい』
曲垣とユウタの前に近づいてきた『
「だからってなんでこの店なんだ?」
『理由を知ってて
結局、ユウタを連れて全員で『
目の前にクリームソーダを置かれた曲垣が
珍しげに眺めながら、ひと時の平和を感じてつぶやいた。
「レッドがいなければ安全ってことか」
ようやく解放されたユウタは、不貞腐れた顔でカウンターのスツールに腰掛けた。
「大丈夫?」
「気にしないでよマヤ姉さん」
ユウタは黒いキャップを脱いでカウンターに置くと、椅子を回転させて『一志』達の方に向き直った。
「で、何を聞きたいってんだ?」
『お前の知る限りの
「全て、ね。だけど僕よりも君らの方がレッドに詳しいみたいだったよな。僕は彼女の本名さえ知らなかったわけだし」
レッドが『
『おそらく彼女は記憶を失くしたのだ。正しい使い方をしなかった『反魂玉』は彼女に鬼と同じような能力を与え、記憶が混乱した彼女は姿を消した』
それが昭和七年の話。
『だが
『反魂玉』に執着するのは鬼の気が
『それから時がたち、二十年前に君と出会った。死にかけていた君に手持ちの『反魂玉』を与えたのだろう』
ユウタはこくりと頷いた。
「僕がレッドに初めて会った時、レッドは今と違って話が出来た。と、言ってもほんのわずかな間だったけど」
ユウタは思い返す。
つづく
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