第194話 一志ではない一志またもや現る
それだけで
——あの人が来た。
曲垣は近づき過ぎないよう注意しながら声をかける。近づき過ぎれば『彼』が抜刀できなくなるからだ。
「俺は子どもの方へ行きます」
まさに鬼のような能力を使うレッドには
『一志』は横目でちらりと曲垣を見ると、改めてレッドに向き直る。
いつもより強い緊張が走るのを曲垣は見た。
『……悪いが状況が把握できない。何が起きている?』
「どういうことですか?」
一志ではない一志は未来から来ているはずだ。
だから一志が体験したことや記憶は持っているはずである。
『わからん。俺の記憶に無い事が起きている、としか言いようがない』
「!?」
これほど奇妙な事件を大人になったからといって忘れるはずがない。
『今はいつだ?』
「高二の二月です」
『……やはりこんな奴は見た覚えがないな』
それでも抜刀の構えを崩さないのは、レッドの力を感じ取っているからに違いない。
『この赤いのは敵だな?』
「はい。すみませんが
『えらく信頼されたものだな』
曲垣がユウタに向かって走り出すのを見送りながら、『一志』は笑った。
つづく
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