第192話 青い光が呼び寄せたもの


 突然、青い光を放った『鬼丸おにまる』に僕らは驚いた。


 ただの光ではなく、手には衝撃を受ける。


「何これ!」


『ふっふっふ、わしが今放ったのは、いわゆる鬼のじゃ』


「気? 鬼力きりきみたいな?」


『まあ、そうじゃの。鬼に関わりのある者なら、何か起こったと馳せ参じるであろう』


 得意げな『鬼丸』だが、僕らが驚いたせいで的場まとば黒木くろきが振り返る。


 マズいな。


「それに、鬼の関係者が集まるってことは——」


 その時、上空から何かが降って来た。


 轟音と共に、僕らと的場達の間に落ちて来たはアスファルトの歩道を砕き、破片を散らした。


 もうもうと白い煙が立ち込めたのは、衝撃と熱のせいだろうか?


 そしてその煙が晴れたそこに立っていたのは——。


「ユウタ……! それにレッド!」





『どうじゃ、すぐに会えたじゃろ』


「こんな急に会いたくなかったよ!」


 僕は『鬼丸』に怒鳴りながらいつでも抜刀出来る構えを取る。曲垣まがきくんも肩からかけていた竹刀入れから木刀を取り出した。


 レッドは相変わらず赤いフードを目深にかぶり、顔は見えない。どんな表情なのかもわからないが、身体から滲み出るオーラは平然としているように感じた。


 反対にユウタは不思議そうな顔をして僕を見た。正確に言うと僕の手の中にある『鬼丸』を見ていた。


「それの気配か——」


『鬼丸』の気に呼ばれてやって来たからだろう。何が自分達を呼んだのか、確認したのだ。


 いつレッドに飛びかかられても良いように僕と曲垣くんは構えを崩さない。


 このかなり不利な緊張状態を破ったのは、向かい側にいる的場の小さな悲鳴だった。




 つづく

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