第180話 死者も甦る街

「どういう事だ?」


曲垣まがきくんは覚えてるかな? 美紅みくが『反魂玉』は死者にかりそめの命を与えて心残りを消すためのものだって話をしていた」


「そういえば……」


「たぶん憶測なんだけど、鬼が正しい使い方で『反魂玉』を使うと、まともな意識を持った甦り方をするんじゃないかな。だけどかなめさんは使い方を知らないから、口に入れて——飲み込んだ」


「それで四つ足で飛び掛かるような化け物になったのか」


 そう、たぶんそうなんだ。


「でもそうなると、この『反魂玉』に鬼力きりきを入れた鬼は使い方を知らないのかな? そのまま飲み込んだら化け物になっちゃうのに……」


 ふと気がつくと、ヨウコさんが硬直して小刻みに震えている。顔色が白を通り越して真っ青だ。


 しまった。


 曲垣くんと一緒につい喋りすぎた。


「あの、ヨウコさん。コレを飲み込まなければ大丈夫だから。それにまず死にかけなんてならないでしょ」


「いーや、そうとも言い切れないよ」


 オペラがいつもの顔でピンク色の髪を揺らしながら言う。


「ここがどこだと思ってるのさ? 大遊戯場歌舞伎町だよ」




 つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る