第159話 絶対また会えると僕は信じてる
なので
「いいのか? 皆に挨拶もせずに帰っても」
其角さんは念の為に僕に聞いてくる。
「うん、昨日の夜、挨拶したからいいよ」
曲垣くんも無言で頷いた。
彼は
其角さんが
「其角さん、またいつか会えるよ」
「うむ……そうだな。こちらから会いにいくかもな」
「そうしてよ。待ってるからね」
僕は『鬼丸』を自由自在に操れるわけではない。其角さんが時を超えて会いに来てくれる方が再会のチャンスは多い。
僕は黙ったまま俯いている美羽に声をかけた。
「美羽も元気で。母さんにはちゃんと伝えておくよ」
美羽は顔を上げて僕を見つめる。今にもこぼれ落ちそうな涙を浮かべて、美羽は小さく「うん」と答えた。
「また会えるよって言ったばかりなのに、泣くなよ」
「うん、うん……
彼女が頷くたびにきらきらとした涙がこぼれ落ちる。せつなくて寂しくて見ていられなくて、僕は其角さんを促した。
「其角さん、お願いします」
「では一志、ゆくぞ」
「はい」
両手を差し出した其角さんのその手に、僕と曲垣くんはそれぞれ手をのせる。
ぐらりと空間が歪み、
「其角さん、美羽をお願いします!」
僕は最後に叫んだ。
「ああ、任せてくれ!」
力強い返事が返って来る。
美羽もお別れの言葉を叫んだ。
「一志、曲垣さん、会いにいくからね!」
「
「美羽、幸せに——!」
僕の願いを込めた言葉を最後に、僕らはぐるぐると回る空間に飲み込まれた。
つづく
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