第153話 曲垣くんの無関心と美羽の心配
僕らが木刀を振って稽古している間に——つまり
あいかわらず僕の手元にある黒鞘の刀・『鬼丸』はうんともすんとも言わず、時を超える気配がない。
「ま、いざとなれば
其角さんに頼めば、いつでも元の時代に送ってくれるんだけど、なんかまだその時じゃない気がする。
というのも、
ついでに言えば
あれ以来持ち前の明るさがなりを潜めて、いつも何かを考えている。それでいて時折目が合うと、すすっと視線を外されてしまう。
何か僕に言いたいことでもあるのだろうか?
「どう思う? 曲垣くん」
「なにが?」
「美羽の事」
「?」
「元気ないなって、思って」
曲垣くんは少し首を捻って「そうか?」と答える。どうやら曲垣くんは興味のない物はよく見ない傾向があるようだ。
そこへ僕らを呼ぶ声がした。
「おおーい、曲垣殿ー!」
其角さんだ。
何か長い物を抱えてやって来る。もしかしたらあれは——。
小走りにやって来た其角さんは、布に包まれたそれをそっと地面に置いた。僕らの目の前でゆっくりと包みを開くと——。
「あ!」
包みの中から現れたのは、鈍く光る一振りの刀だった。
つづく
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