第135話 儀式のような
「とうとう始まるな」
「うん」
「僕、現代にいる時調べたんだけどさ。『
「『鬼丸国綱』はこの時代にはすでに造られている。たしか、鎌倉に刀鍛冶を招いて造られたはずだ」
「なあんだ、関係ないのか」
「そうとも言えない」
曲垣君が説明してくれたところによると、
それに『鬼丸国綱』を作った人ももしかしたらこの土地の出身かもしれない。
「来たぞ」
曲垣君が口元を引き締める。
ここからはおしゃべりはできない。
藤十郎さんたち刀工の人達が特別な装束に身を包み、頭に
僕らも口に白い紙をくわえる。
神に奉納する刀を打つ時の、この里の決まりらしい。
普通、刀を作るには一週間から十日かかるらしいのだが、この時の藤十郎さん達は『
あのキラッキラの
この四角い塊を刀の形に伸ばしていくのだ。
打つのは藤十郎さん。腰を落として四角い塊を支えるのは
この二人はふいごの担当だ。
彼らの送る風で炭は真っ赤に燃え上がり、鉄をも溶かすのだ。
目と目で皆が頷きあい、刀造りが始まった。
つづく
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