第127話 いったい今は何時代なのでしょーか?
そこには驚いた顔の
驚いていた其角さんの顔がほころぶ。僕も
「其角さん!」
「
そう言いながら僕が手にしている『鬼丸』を目にして納得した表情をした。
「そうか、この刀の力でやって来たのだな。それにしても
「其角さんこそ! 何ヶ月ぶりかなぁ」
「何ヶ月ぶり……ははは、一志の方ではそのくらいの月日が流れたのだな。私は五十年ぶりだぞ」
「ええっ!? そんなに
ちっとも姿が変わらない其角さんに驚いてしまう。
「よく考えれば君達の姿も変わらないな。少ししか月日が流れていないということか」
その数ヶ月の間にいろいろあったんだけど。
気がつけば美羽が其角さんの
其角さんもそれに気がついて、土間から板間に上がるように勧めてくれた。其角さんは窓の戸を開けて家の中に明るくしてくれた。
光が入ると家の中の様子がわかる。
土間と板間だけの狭い小屋だ。板間の真ん中には
僕と美羽と
「其角さん、こっちは僕の——と、友達の曲垣君」
曲垣君には僕の身に起きた不思議な出来事を話していたので、思ったよりもすんなり受け入れてくれた。其角さんとも緊張しながら挨拶を交わしている。
「友達って言って良かった?」
「改めて言うな。気恥ずかしい」
曲垣君は少し怒りながら腕組みをする。ちょっと安心している僕を見て其角さんが
「其角さん、今って何時代?」
「何時代と言われても——鎌倉が国を支配しているが……
「鎌倉時代か。シッケンホウジョウって誰だっけ?」
曲垣君が
「北条氏だ。式目を制定したというなら
何を言われているのかわからないけど、とりあえずわかったフリだ。とにかく鎌倉時代だな。
「……そっか。——其角さんは今何して暮らしてるの?」
「ああ、私が鬼だということを知った上で受け入れてくれた者がいてな。そこで刀鍛冶の仕事を手伝っている」
「刀鍛冶?」
僕と美羽から驚きの声がもれる。だって彼が刀鍛冶をしているってことはもしかして——。
「そうだな。もしかしたらもしかするかもしれないな」
それだけはわからん、と其角さんは笑った。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます