第112話 鬼ヶ島の記憶7
「
その声にハッと気がついて顔を上げると、目の前に
——よく無事だったものだ。
「美羽、助かったぞ。礼を言う」
それからは折を見て二人は入れ替わりを続けた。美紅も美羽の身体を動かすことに慣れ、成長するにつれ
同時に美羽にも
「そう、腕全体に力をためて——手の
「こう?」
「そう。同じように飛ぶ時は——」
逆に美羽は残っている人間達の情報を美紅に教えた。
「今日は××が居なくなった」
「——その者は雪牙丸の
「……うん。昨日、喧嘩してたから多分……」
——多分、始末された。
鬼としては敵が減るのは喜ぶべきところだが、雪牙丸の行動は異常である。仲間である人間を一人また一人と消して行くのである。
「このままでは人が居なくなるのではないか?」
「……」
美羽は表情を曇らせた。
そしてしばらくしてから、その表情はついに悲しみの色を濃くし、美羽は美紅に抱きついて泣き出した。
「
その一言で鬼姫は全てを察する。
雪牙丸はついに肉親すらも手にかけたのだ。
泣きじゃくる美羽を
つづく
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