第91話 流行りのコーヒーショップで
僕と
向かい側には今季限定のカフェラテを口に運ぶ
「その飾りがなんだってんだ?」
「いや、その……」
僕よりも美紅の方が詳しいのだが、彼女は金色の瞳を輝かせてうずらの卵に見入っている。少しだけその瞳に影が差した気がしたが、気のせいだろうか。
「美紅、お茶が冷めちゃうよ」
美紅は流行りのコーヒーショップに入ってもコーヒーよりは紅茶を好んでそれを頼んでいた。ちなみに僕は曲垣君と同じものにした。
「うむ。間違いない、本物じゃ」
断言した美紅に冷たい目を向けて曲垣君が聞く。
「なんの
「
「誰が無知蒙昧だ」
「『反魂玉』って何?」
曲垣君のツッコミをスルーして僕が聞くと、美紅は誇らしげに胸を張る。
「死せる者の魂をひととき地上に呼び戻す宝玉じゃ」
「ええー? 本当?」
「馬鹿らしい」
曲垣君は信じてない。だけど僕は鬼も知っているし、しゃべる刀も知っている。だから美紅の言うことも真実なんだと思ってる。
「最後の心残り叶えるためにかりそめの命を与えてくれる物だが……そうだな、これは穴を
「じゃあ使えないの?」
「無理だな。『反魂玉』は
「……お前らが何を言っているのかさっぱりわからん」
曲垣君は僕らの目の前から『反魂玉』を取りあげた。
「ふん、壊れているから害はないが、お主はそれをどこで手に入れた?」
「……」
答えず
「教えてよ曲垣君」
僕が両手を合わせて拝むと
「この前、ばあちゃんがくれた。そん時にはもう紐は通してあったぞ」
それを聞くと美紅は身を乗り出した。
「その者と話がしたい。どこにおる?」
「なんでお前に……」
「お願い! 曲垣君!」
再び手を合わせると、曲垣君は呆れ顔をしながら、
「わかった」
としぶしぶ了承してくれた。
つづく
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