第65話 僕に起きた変化

 少し肌寒くなって来た台所の隅っこでようかんを食べていると、母さんがやって来て「今日は練習に行くの?」と尋ねて来た。


「練習じゃなくて稽古けいこ


「はいはい稽古ね。それでどうするの?」


「今日はテスト前だから——」


「行かない」と言う前に美羽みうが割って入った。


「行こう! 私、『どうじょう』に行ったことないよ!」


「いや、そんな面白いものじゃないから……」


 志乃しの姉さんの行方ゆくえがわかってから、僕は少し考えた。このまま『鬼丸』が手元にあるということはいつかまた時を飛ぶ可能性があるということだ。


 だから僕は剣の使い方を習う事にした。『鬼丸』を使って戦うことが出来るなら、と思ったのである。


 近所の居合いあいを教えている場所はないかと探したところ、卒業した中学校近くの剣道場で週二回、水曜日と土曜日に居合を習う事が出来るとわかり、早速通い始めたのだった。




 つづく

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