第24話 見つかった!

 雪牙丸せつがまるは僕の叫び声を耳にしてぐるりと首をめぐらせた。妖しい光の瞳が僕を見つけた。


 ドンッ!


 再び空気を蹴ったかのように、雪牙丸は僕をめがけて急降下してくる。


 ——ヤバい!


 爛々らんらんと光る眼は確実に僕を捕らえていた。


一志かずし!」


 鬼姫の叫びが、なんだかぼんやりと僕の耳に届いた。




 そこからは、まるで夢の中の世界のようなかすみがかったふうに見えた事を覚えている。


 あれか。


 周りのものがゆっくりと動いて見えるこれは、死ぬ前の現象に違いない。


 目の前に近づいてくる雪牙丸が、これまたゆっくりと右手を振り上げる。そしてその鋭い爪が僕を引き裂こうと僕の脳天めがけて降りてきた。


 だが、僕の身体は何を思ったのか自然と動いた。


 すごく滑らかに、左の腰に据えられた黒鞘のつかに右手をかけると、雪牙丸のスピードに合わせて引き抜いた。


 あくまでもゆっくりと。


 引き抜いた刀身は薄青く光り、僕と雪牙丸の間に三日月の様に横たわった。刃を雪牙丸に向けて、反り返る三日月の橋みたいに。


 奴の瞳が見開かれる。


 衝撃は遅れて一気に押し寄せてきた。






 つづく

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