第23話 鬼姫VS雪牙丸


「じゃあ、美紅みくが負けたら——」


 僕の弱気な言葉に其角きかくさんは強い口調で返してきた。


「負けぬ! 鬼姫は、鬼姫はきっと皆のあだを討つ!」


 そう言いながらも少し不安が混じった瞳で空中で戦う美紅を見上げた。


 それはそうだろう。


 美紅の方が文句無しに強いなら、其角さんたちはとっくにこの島から逃げているか——或いは再び鬼の一族の再建に励んでいたに違いない。


 鬼姫も無敵じゃない……。


 ますます三人で空間移動する事が難しく思えてきた。


 それでも僕はあの可憐な美羽みうを置いて行くことは出来ないと心に誓う。例え鬼姫がもれなく付いてきたとしても、美羽を連れて行かなくては。




「あっ!」


 その時、美紅が空中でよろめいた。まともに攻撃を喰らったらしい。そこへ雷撃をまとった雪牙丸せつがまるの蒼牙が襲いかかる。


 ガッ!


 美紅もまた金色の雷撃を放つ爪で受け止めた。しかし上空からの攻撃に押されて段々と高度を下げてしまう。


「美紅!」


 僕はつい飛び出してしまった。


 飛び出してから後悔する。


 僕一人。


 手には黒鞘の刀が一振り。






 つづく

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