第18話 其角さんの回想 5
全くもって
殺す必要はない。
どのくらい自失していたのか、気がつくとだいぶ陽が傾いていた。
「すまぬ、
「別に、なんて事ありません」
にこりと微笑む美羽に、其角ははっとして問いただす。この少女の身こそ危ういのではないか。なんといっても最強の『鬼姫』の角を腕に埋め込んでいるのだから。
「私は……多分大丈夫」
「何故そう言い切れる?」
「——私は雪牙丸の妹だから」
「ええっ!!」
僕は目の前の美羽を見た。美羽は目を
「あの、そのなんといって良いか……」
「気にしないで、
美羽はそのくりくりと大きな瞳で其角さんを見た。それはそうだろう。半身を失う程の怪我だ。詳しく聞けば、数日前、雪牙丸に見つかった其角さんは辛くも逃げ切ったが、代わりに大怪我を負い、この洞窟にかろうじて隠れたのだという。
「このままでは私の命が危うい。私が死んでもこの結界は生き続けるが、この力を込めた角が奴に渡れば——結界は消える」
「僕は、どうすれば……?」
はっきりいってアレと戦うなんて無理だ。見ただけでわかるやつだ。
「その刀だ」
其角さんは僕が握りしめている『
つづく
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