第13話 やっぱりアイツは恐ろしい奴
僕は自分の家の蔵からここまで来た話と、『
「信じられんが、やはりその刀に使われているのは、私の
「其角様?」
「大丈夫だ。いつか私の角が外界で刀に封じられ、
其角さんは
「君は私達の
「意味がわかんないんだけど」
「そうだろうね。
「この島の鬼達が、人間と争って敗れたってのは聞いた——聞きました」
僕の言葉に、彼はうなずいた。
「そうか。それでは美羽の手の甲に鬼の角が埋められている話は?」
「ええ、まあ。その角を持っていた鬼と同じ能力が使えるとか」
「そうだよ。そして角を取られた鬼は死ぬ」
今度は僕がうなずいた。そこまでは美羽から聞いていたからだ。
「その角を執拗に集めた若者がいる。名を
その名前を聞いた時、瞬時に空から舞い降りた青年を思い出した。濃い
「逢ったのか。そう、奴が力を求めて鬼狩りをした急先鋒だ。そして
其角は眉を
「——角を手にした人間からもそれを奪い始めたのだ」
彼の話によると、雪牙丸は手に入れた鬼の能力に飽き足らず、一緒に鬼を狩った仲間からも角を奪ったのだと言う。
「拒む者、立ち向かう者、全て雪牙丸に殺された」
「……でも、なんだってそんなに力を欲しがるんですかね? 他の人が持つのが嫌だったのかな」
「いや、そうではない。鬼は一人一人持ち得る力が違うのだ」
話を聞くと、美羽(美紅)のように空を飛ぶ者、雷撃を使える者、他にも隠行の術に長ける者、風を操る者、剛力、眼力、先読み——さまざまな鬼がいたらしい。
「つまり、雪牙丸は全部の能力を欲しくなったわけか」
「もちろん親子などで同一の能力を持つ者もいる。しかしどの鬼がどんな能力を持っているのか、
だから手当たり次第に狩ったというのか。僕は背筋に冷たいものを感じながら、恐る恐る口を開いた。
「その……鬼の人達って、何人くらいいたんですか?」
其角はすっと目を細めると、「二百人ほどだ」と答えた。
「小さな島の小さな村だ。平和な村だったんだよ——」
つづく
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