第57話 異世界からの手紙。

エグスとフィーデンへ

桔梗です。

もう9歳です。

5年が過ぎました。

これはセオお姉さんに清書も頼むけど一緒に入れて貰います。


桜子お姉さんの絵があるから私達はエグスとフィーデンの顔をちゃんと覚えています。

裏世界の事はあまり覚えてなくてお父さんとお母さん、後はたまに会う皆から話を聞いたり、写真を見てどんなところだったかを思い出しています。

私は学校の勉強が難しくなってきたけど頑張っています。勝利も頑張っています。


私はようやく自分の名前を漢字で綺麗に書けるようになりました。

また手紙を書きます。

玉ノ井 桔梗



桔梗が手紙を出すと数日して第三基地の開かずの間に手紙が届いた。

それは初めての事で驚いた。

そして中身は裏世界の文字で、急遽プリンツァ達を呼んで読んでもらった。


手紙はトーテッドとデリーツからで、変わりないかという挨拶の後にはエグスとフィーデンそれぞれから代筆を頼まれたとあった。そしてカメラの使い方とカメラを転移させるように事付けられたと言う。


これは三ノ輪 彦一郎とワオがヒーヒー言いながら使い捨てカメラ「写りますよ」の説明書を裏世界の言葉に翻訳しながら書いて2個ずつ、4個の使い捨てカメラを送る事にした。


荷物を用意して段ボールを開かずの間の真ん中に置いて部屋を出るとすぐに召喚の光と共に消える。

戦場 闘一郎が「…そういえば、置くとすぐに召喚されますよね」と言うと岩山 巌が「本当だな。見てるんじゃないか?」と言った。


そして翌日には使い切ったカメラが届いて、驚いた事にストロボは生きていた。


そして手紙をセオに読んでもらうと「…機械の召喚はフィーデン様が行うと壊れなかったから今度は召喚がフィーデン様で転移をエグス様が行うそうです。それで使えるようなら次の荷物にカメラと結果の手紙を添えてほしいそうです」と言われる。


早速現像をすると散々送った玩具に囲まれたフィーデンとエグスの写真や少しやつれたデリーツとトーテッドの写真なんかがあった。

カラー写真だったので見てみるとデリーツの青々とした髪は健在でトーテッドは赤々とした髪色になっていた。


「…なんでずっとコルポマに居るんだ?」

桔梗を連れてきた玉ノ井夫妻が疑問を口にするとセオが説明をしてくれた。


そのセオは第三基地…と言うか、開かずの部屋の番人として雇われていて衣食住を保証されていた。


プリンツァは群馬 豪と山梨に住んだので、そうそう呼ぶ訳には行かなかった。

ワオは監視対象兼経過観察が必要として小台 空のケアを担当していて、小台 空はワオのサポートをしていてやはりそうそう呼べない。


「流転の神でフラフラとするエグス様はフラッと出かけても下手をすると1週間で帰ってくるそうです」

今まで聞いていた話と違う事に玉ノ井 勇太が「まさか玩具か?」と言うとセオは頷く。


「フィーデン様は寺院を玩具で埋め尽くされる日を楽しみにしていて、それまではコルポマからは旅立たないと言っているそうです。なんでも玩具を守るためにトーテッド様に加護を与えたとか…」

「嘘だろ?」


「しかも、今回フィーデン様が召喚をしたのは…、この前…と言っても2年前に桔梗ちゃんがマジカルナース変身セットで遊んだ事を書いた話を聞いて、トーテッド様に欲しいとねだったそうですが、トーテッド様が「ここに入ってないのは機械だからですよ。諦めてください」と言ったのが始まりで、この前勝利君が仮面デストロイヤーの変身ベルトを買ってもらった話を聞いて我慢できなくなったからフィーデン様が召喚を試したそうですよ」

この説明に玉ノ井 勇太が「…それはあれだな?カメラが使えた→機械が使えた→玩具をくれ!ってやつだな」と言うとセオは頷いて「…デリーツ様達も謝ってますね」と言った。


玉ノ井 勇太が「戦場、大変だ。デストロイヤーとマジカルナースの玩具を送らないとスタークが出てくるぞ」と言うと戦場 闘一郎は「何だそれは?毎月毎月いい加減対価を求めるレベルだぞ?」と漏らす。


ここで玉ノ井 岬(旧姓・草加 岬)が「そう言えばそもそもこれって勘定科目なんなの?」と聞くと戦場 闘一郎が「機密費と言うか防衛費だ。名目はエグスとフィーデンを怒らせて神隠しが始まると困る」と教えてくれた。


玉ノ井 勇太が呆れ半分に「ああ、お供え物か…」と言う。


「岩山さん、玩具のグレードが上がって変身ベルトと変身セットですって」

「…お前、今転売が横行していて入手困難だぞ?」


「え!?どうするんですか!?次の召喚に間に合わせないと何が起きるかわかりませんよ!」

「問屋を押さえるしかないな」

岩山 巌が問屋に自衛隊として玩具の確認をしていると飯能 翠が「闘一郎?玩具の使い方から電池の始末まで説明書を翻訳するのはどうするの?」と聞く。


戦場 闘一郎が慌てて「っ!!?セオ!」と言うとセオは説明書の翻訳の大変さを知っているので「…ワオとプリンツァ様も呼んでください」と言う。


戦場 闘一郎は「了解だ!」と言うなりスマートフォンを取り出してワオとプリンツァに電話をかけていた。

電話先からは翻訳が大変で、日本語を裏世界の言葉にすると言い回しが難しいらしく、拒否をするワオとプリンツァに戦場 闘一郎が「そこをなんとか頼む」と言っているのが聞こえてきて桔梗と勝利は笑っている。


桔梗と勝利はセオにお願いをした。

セオは何年経っても桔梗と勝利には甘い。

2人のお願いを快諾する。


そして手紙には「カラーの写真で見るエグスとフィーデンは久しぶりだから嬉しいよ。玩具は今皆で集めてるから待っててね」「変身ポーズの写真も送るから待ってるよ」と書いて貰った。


再来月には楽しそうなエグスとフィーデンの写真が届いた。

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