第17話 最悪の始まり。
二周目の明け方。
板橋 京子は絶叫で起こされた。
起きると悪臭がしていてスタークの襲撃だと言うことはすぐにわかった。
だがこの絶叫の正体がわからない。
同室の荒川 愛美と共に飛び起きるとすぐに装備を持って玄関に行く。
玄関には全員居る。
セオとワオは朝食の用意で既に起きていた。
梶原 祐一が先に来ていた玉ノ井 勇太に「今の絶叫は?」と聞くと「わからない。でも俺たちじゃない。とりあえずまだ外が薄暗いが外に出てスターク共を皆殺すぞ!」と言って全員で屋敷から飛び出した。
外は血の海だった。
そんな中で必死に叫びながら壁沿いに逃げている連中が居た。
「わぁ〜!?来るな!来るな!」
「いやぁ〜!お父さん!お母さん!」
「先生!先生!!」
そう言う連中を見て事態を理解した。何故か平和な一周目ではなく危険なタイミングで壁に放り込まれた京成学院の生徒達。
二周目と言う事で大量のグジュグジュが至る所に居る中、既に何人かはグジュグジュに殺されている。
東の京の生徒たちは初見だがグジュグジュは捕食した獲物を先に食べる。
それは前もって予備知識として堀切 拓海や三ノ輪 彦一郎から聞いていた。
何人かは見られたものではない姿になっていた。
それを初めて見た東の都の生徒達は吐きそうになりながらも何とか戦闘に入る。
「壁際の奴ら!こっちだ!家がある!早く来い!」
玉ノ井 勇太の言葉に「むり…動けないわ…助けてよ…男でしょ?」と返す女や、我先に逃げ出す男なんかも居たりする。
呆れながらも全員一丸となって救助にあたると3時間でグジュグジュは倒せた。そして助けられたのは男女合わせて7人だけだった。
死者は8名。
初めての死者に東の京高校のメンバーは塞ぎ込んでしまう。
助かった人間も怪我をしていたのでプラセを呼ぶとプラセというかデリーツから委細が回ってきた。
勇者召喚に非協力的で無理矢理転移の力を使わせて教師とコルポファ側の代表一名と教師が選んだ8人の生徒は表世界に転移されたと言う。
その時と同じくして残りの生徒達は有無を言わさずに無理矢理眠っている間に塀の中に連れて来られたと言う話だった。
しかも勇者まで連れて帰られ、更に論破や脅迫で姫のプライドをズタズタにした大久保 勝之進に対する連帯責任として京成学院の残された生徒達はこの形で塀の中に放り込んだとされていた。
「んだそれ…」
「ゴネれば帰れたのかよ…」
そんな声が漏れ聞こえる中、ストルトが現れて京成学院の生徒達を指差して「コイツらは新たな表世界の者。上手くやるんだな!」と言って帰って行った。
京成学院の治療が終わったプラセはついでだからと言って桔梗と勝利を診たいと言って普段はしないが両親と責任者と言って玉ノ井 勇太と草加 岬、梶原 祐一と宮ノ前 桜、そして三ノ輪 彦一郎を呼ぶと「私も同意見だがデリーツからだ、アイツら…帰った奴らはまだマシだったが残った奴らはロクでもないらしい。必ずトラブルになる。最悪見捨てる事も覚悟しろ。手が足りなければデリーツが手を回すと言ってる」と残して帰って行った。
三ノ輪 彦一郎達は同じ日本の人間としてなんとかそうならずに済む方法を考えようとした。
だがそれはすぐに無理だと判明した。
助かった京成学院の生徒は男子が3、女子が4の7人でコルポファの兵士たちがそう配置したのか男共をユータレス側に、女共を壁際に置き去りにしたらしい。その為、男の被害の方が甚大だった。
残された7人は既に男女仲は最悪で、更に大久保 勝之進が、未だに帰還の交渉中と思っていて、転移の力が貯まって大久保 勝之進と選ばれた8人、実際には成績優秀者が帰還した事で次に帰還できるのは自分達だと豪語して働く気はなかった。
男子の代表格は国府台 帝王、女子の代表格は勝田台 風香で国府台 帝王は何かといえば偏差値、学校のランクを前に出して「俺たちは勉強出来るんだから出来ない奴が働けよ」と言い、取り巻きの小岩 茂は「そうですよね国府台さん」と肯定する。そこで自己完結をして京成学院の男子は動かない。
女子の勝田台 風香も無茶苦茶で、戦う事は「それは男子が男なのだからやりなさい」と言い、三ノ輪 彦一郎が落とし所としてセオとワオの手伝いをさせようとすると働く事を拒否して「女だから家事炊事などと言うのは前時代的よ!性別で区分けなんてしないでください!」と言い放つ。
これには玉ノ井 勇太が「お前。戦いは男だから男がやれって言って、別のは女だからってやらせるなって無茶苦茶だろう?」と突っ込んだが「東武学園如きの男がこの私に楯突かないで」と一蹴しようとしてきた。
そして勝田台 風香から言わせると草加 岬と宮ノ前 桜はこの年で子を産んだ落伍者として盛大に見下した。それは夫である玉ノ井 勇太と梶原 祐一も同じでリーダー格の言う事を聞かなくなる。
そして桔梗と勝利を邪魔扱いして夜泣きが耐えられないと屋敷から追い出そうとした。
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